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仏像内に金属製 「五臓」

artscene2013-01-09



長崎市寺町、興福寺の本尊「釈迦如来坐像」(木造、高さ80・8センチ)の体内に、内臓を模した金属製の「五臓」が入っていることが分かった。調査した九州国立博物館(福岡県太宰府市)と長崎歴史文化博物館長崎市)が8日、発表した。


 仏像は17世紀末〜18世紀初頭に清代の中国で造られた。昨年10月、X線透過撮影などで調査し、腹部に「五臓」(長さ約15・5センチ)が見つかった。肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓(ひぞう)の五臓と咽喉にそれぞれ見立てた薄い金属板が針金状の線でつながれ、脊髄を意味する木の棒に結ばれているとみられる。


 五臓の周囲には複数の球状の影があり、六腑(ろっぷ)に見立てた穀類などの可能性もあるという。中国には、五臓六腑の模型を入れ、仏像に生命を宿らせる思想がある。


 像の背面には、銅製とみられる鏡(直径10・3センチ、厚さ約1・1センチ)も入っていた。鏡は仏の魂の象徴とされる。


 同博物館によると、金属製の五臓が確認された中国の仏像は、これで国内で11例、イタリアで1例となった。うち県内は8例を占めている。金属製の五臓と鏡が一緒に見つかったのは今回が初めて。


 同博物館の楠井隆志主任研究員は「制作年代や制作者を特定したり、五臓の形をより鮮明にしたりできれば、中国の仏像の研究にも寄与することができる」と話している。