夢窓疎石と鎌倉の禅宗文化
後醍醐天皇や足利尊氏など、時の権力者からの崇敬を集める一方、鎌倉・瑞泉寺の庭園など、禅の思想に基づいた庭造りに大きな足跡を残した僧、夢窓疎石の生涯を振り返る展覧会
が神奈川県立歴史博物館(横浜市中区)で28日まで開かれている。本格的な文化財修復をした「夢窓疎石像」(相模原市の光明寺蔵、県指定文化財)のお披露目も兼ねた展覧会でもある。
http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/sogo/tokuchin.html
国の重要文化財の頂相(肖像画)、木像、古文書21点を含む約50点を展示。修復が終わった頂相は絹に描かれたもの。中国の高僧が疎石をたたえる言葉(賛)も見られる。また、瑞泉寺が所蔵する「夢窓疎石坐像」の目は、鎌倉時代末期から南北朝時代という激動の中世を生き抜いた意志の強さが宿っているようにも見える。竜の紋が織り込まれている「九条袈裟」など、ゆかりの品も紹介されている。
梅沢恵学芸員
「頂相に添えられた賛からは疎石が日本のみならず、中国でも知られた僧であったことが分かり、頂相を通して中世の日中の交流も垣間見えます」
月曜休館
一般300円、20歳未満・学生200円、65歳以上・高校生100円。
県立歴史博物館 Tel 045(201)0926。
会期:2012年9月1日(土)〜9月28日(金)
夢窓疎石(1275〜1351)は、鎌倉幕府が滅び、新政権が京都に樹立された激動の時代に活躍した禅僧です。鎌倉には夢窓疎石が中国僧一山一寧(いっさんいちねい)に参禅した建長寺、高峰顕日(こうほうけんにち)に印可を与えられた浄智寺、塔所(たっしょ)である円覚寺黄梅院(おうばいいん)などゆかりの寺院が数多くあります。また、夢窓疎石は世界遺産登録をめざす「武家の古都・鎌倉」の主要構成資産の一つである瑞泉寺庭園(国指定名勝)の作者としても知られています。
本展では、鎌倉の禅宗文化に大きな影響をあたえた夢窓疎石のゆかりの寺院に伝わる頂相(禅宗の祖師像)や中世文書など重要文化財を含む約50点の文化財を展示します。あわせて館蔵の禅宗美術コレクションもご堪能ください。
◇ 展示数 約50点
◇ 主な展示品
重要文化財 無等周位筆
夢窓疎石像 南北朝時代 妙智院
(京都市)
神奈川県指定文化財 月江正印賛
夢窓疎石像 南北朝時代 光明寺
重要文化財 白茶地団龍文紋羅九条袈裟(夢窓疎石料) 南宋〜元時代 円覚寺
(鎌倉市)
神奈川県指定文化財 菩薩半跏像 南宋時代
神奈川県立歴史博物館
清拙正澄墨蹟 建武五年
(1338) 神奈川県立歴史博物館
開館時間:午前9時30分〜午後5時
(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日(9月17日は開館)
9/1(SAT) 〜 9/28(FRI)
9:30 〜 17:00
最終入館16:30
[除外日・休館日:毎週月曜日(祝日を除く)]
神奈川県立歴史博物館
Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History
〒231-0006
神奈川県横浜市中区南仲通5-60
常設展観覧料
一般300円、20才未満・学生200円、65歳以上・高校生100円、
中学生以下・障がい者手帳をお持ちの方は無料