Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

ボストン美術館 日本美術の至宝

artscene2012-02-12




東京国立博物館140周年 特別展


ボストン美術館 日本美術の至宝」




http://www.boston-nippon.jp

http://www.tnm.jp

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1416

巡回予定


名古屋ボストン美術館 2012年6月23日(土)〜9月17日(月・祝)・2012年9月29日(土)〜12月9日(日)


九州国立博物館 2013年1月1日(火・祝)〜3月17日(日)


大阪市立美術館 2013年4月2日(火)〜6月16日(日)





関連事業<講演会・講座> 記念講演会(1)継続する歴史:ボストンの日本美術 (講演は英語。日本語逐次通訳付)
平成館 大講堂 2012年3月20日(火) 10:30 〜 12:00 <講演会・講座> 記念講演会(2)奇才・曽我蕭白を語る
平成館 大講堂 2012年4月21日(土) 13:30 〜 15:00 <講演会・講座> 記念講演会(3)ボストン美術館の日本絵画
平成館 大講堂 2012年5月12日(土) 13:30 〜 15:00



上野駅公園口・鶯谷駅 歩10分

東京メトロ
千代田線 根津駅 歩15分


東京国立博物館140周年 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」

平成館 特別展示室 2012年3月20日(火) 〜 2012年6月10日(日)




ボストン美術館


アメリカで最も古い美術館の1つに数えられるボストン美術館は、1870年に設立され、1876年の独立記念日に開館しました。開館時には5600点であった収蔵作品は、ボストン市民による寄贈によって増え続け、現在では、古代から現代までの45万点以上のコレクションを誇ります。


2010年には、5年もの歳月をかけて進められてきたボストン美術館の大改修プロジェクトが完成しました。この計画によって、新たにアメリカ館が建設されたほか、特別展や教育プログラムを行うスペースも拡充されました。140年の歴史を誇るボストン美術館は、常に進化し、魅力的な美術館へと生まれ変わり続けています。


アメリカ・ボストン美術館アメリカのボストン美術館は、"東洋美術の殿堂"と称されます。100年以上にわたる日本美術の収集は、アーネスト・フェノロサ岡倉天心に始まり、今や10万点を超えます。海外にある日本美術コレクションとしては、世界随一の規模と質の高さを誇ります。


その中から厳選された仏像・仏画に絵巻、中世水墨画から近世絵画まで、約90点を紹介します。修復を終え、日本初公開となる曽我蕭白(そがしょうはく)の最高傑作『雲龍図』をはじめ、長谷川等伯(はせがわとうはく)、尾形光琳(おがたこうりん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)などの手による、かつて海を渡った"まぼろしの国宝"とも呼べる日本美術の至宝が一堂に里帰りします。



会 期 2012年3月20日(火・祝)〜6月10日(日)
会 場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間 9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝・休日は18:00まで開館)


休館日 月曜日(ただし4月30日(月・休)は開館)


観覧料金
一般1500円
大学生1200円
高校生900円
中学生以下無料







展覧会のみどころ

第一章 仏のかたち 神のすがた
 ボストン美術館仏画・仏像のコレクションは、海外屈指の質の高いものとして著名です。
本展では、奈良から鎌倉までの仏画・仏像に垂迹画・神像を加え、日本に残っていれば国宝や重要文化財の指定を受けてしかるべき、絵画17点、彫刻4点を選んでいます。

  法華堂根本曼荼羅図(ほっけどうこんぽんまんだらず)
奈良時代・8世紀 アメリカ・ボストン美術館

霊鷲山(りょうじゅせん)で釈迦が諸尊や衆生(しゅじょう)に囲まれ法華経を説く光景をあらわしており、日本のみならず東洋美術の歴史を語る上で重要な作品です。

普賢延命菩薩像(ふげんえんめいぼさつぞう)
平安時代・12世紀中頃 アメリカ・ボストン美術館

普賢菩薩は、病を消し生命力を増すという菩薩です。二臂(にひ)の普賢延命像は天台密教で用いられ、二臂像に四方をかためる四天王が付いているものは非常に珍しいです。


馬頭観音菩薩像(ばとうかんのんぼさつぞう)
平安時代・12世紀中頃 アメリカ・ボストン美術館

馬頭観音は、六観音のうちの一つで、畜生道(ちくしょうどう)におちた衆生を救済する仏として信仰されてきました。院政仏画にみられる壮麗で装飾性の高い表現が特色です。

弥勒菩薩立像(みろくぼさつりゅうぞう)
快慶作 鎌倉時代・文治5年(1189) アメリカ・ボストン美術館

この作品は、作者が快慶であること、そして像内に納められた経典の奥書きより、文治5年(1189)に制作されたことが判明するという点で注目されるばかりでなく、表現の素晴らしさという点でも、在外の仏像中で最も重要といえます。

第二章 海を渡った二大絵巻
 ボストン美術館日本美術コレクションの中でひと際傑出した存在なのが、遣唐使吉備真備(きびのまきび)の活躍をユーモラスに描く「吉備大臣入唐絵巻(きびだいじんにっとうえまき)」と、平治の乱を濃密で計算された画面構成でダイナミックに描く「平治物語絵巻(へいじものがたりえまき)」です。異なるコンセプトと手法で描かれたこの2つの傑作を、今回特別に全場面展示いたします。


吉備大臣入唐絵巻 (きびだいじんにっとうえまき) (部分) 平安時代・12世紀後半 アメリカ・ボストン美術館
遣唐使として唐へ渡った奈良時代の学者・吉備真備(695〜775)が、唐人の難問に不思議な力で立ち向かうという物語を絵画化した作品です。もとは全長24メートルを超える長大な絵巻でしたが、現在は保存の観点から4巻に改装され保管されています。
後白河法皇(ごしらかわほうおう)(1127〜1192)が制作させた絵巻コレクションの1つと考えられており、当時の絵所預(えどころあずかり)であった常盤光長の筆と伝えられています。


平治物語絵巻「三条殿夜討巻」(へいじものがたりえまき「さんじょうどのようちのまき」)  (部分)
鎌倉時代・13世紀後半 アメリカ・ボストン美術館
平治元年(1159)に勃発した平治の乱は、その3年前に起きた保元の乱とともに、武士の台頭を示す大きな変革の1つであり、源平争乱の幕開けとなる戦いでした。「平治物語絵巻」はその約100年後に制作された絵巻で、もとは十五巻近い大作であったと考えられていますが、現在は三巻と色紙状に切断された数葉のみ現存し、別に二巻分の模本が伝わっています。
この作品は、平治の乱のきっかけである藤原信頼および源義朝による後白河上皇の拉致と御所三条殿の焼討を描いており、合戦絵巻の最高傑作といえます。

第三章 静寂と輝き−中世水墨画と初期狩野派
 鎌倉時代から室町時代にかけて、禅僧画家を軸に発展した水墨画の閑寂にして高雅な世界。職業画家、狩野派の二代元信(もとのぶ)らによる花鳥図屏風や、金地金雲(きんじきんうん)きらめく扇絵(おうぎえ)といった初期狩野派の華麗な成果。
中世から近世初頭にいたる水墨画を担った画家たちによる絵画表現の変貌をご覧ください。



山水図(さんすいず) 祥啓(しょうけい)筆
室町時代・15世紀末〜16世紀初
アメリカ・ボストン美術館

鎌倉の建長寺(けんちょうじ)の書記を務め、関東で活躍した禅僧画家、祥啓の代表作です。中国・南宋の宮廷画家、夏珪(かけい)に由来する画法にもとづき、遥かに広がる水辺の景が描かれ、自然の崇高さが見事に表現されています。



金山寺図扇面(きんざんじずせんめん)
伝狩野元信筆 景徐周麟(けいじょしゅうりん)賛
室町時代・16世紀前半 アメリカ・ボストン美術館

中国の名刹金山寺を金雲とともに鮮麗な彩色で描いています。賛者、景徐周麟の没年(1518)から、16世紀初頭の制作と推定でき、狩野派による金碧画(きんぺきが)の現存最古の遺品として重要です。今回の修復を経て、日本初公開です。

松に麝香猫図屏風
(まつにじゃこうねこずびょうぶ)
伝狩野雅楽助筆
室町時代・16世紀中頃
アメリカ・ボストン美術館

花、葉、鳥獣を彩色し、周囲の山水を墨で描く、初期狩野派による水墨山水・着色花鳥図とでも称すべき諸作品の中でも品格の高い典型的作例です。麝香猫は強い芳香を放つ麝香腺を有する猫のことです。

第四章 華ひらく近世絵画
 近世初期の障壁画制作で活躍した狩野派、長谷川派、雲谷派、曽我派の屏風絵に、江戸狩野の探幽、それと対峙する京狩野の山雪、永納父子、尾形光琳に代表される琳派、さらに伊藤若冲や風俗画などスーパースターたちの個性豊かな作品の競演です。


龍虎図屏風 (りゅうこずびょうぶ) 長谷川等伯筆 江戸時代・慶長11年(1606) アメリカ・ボストン美術館
中国南宋の画家牧谿(もっけい)の「龍虎図」に学んで描かれたもので、奥ゆきの浅い空間に筆勢を強調して描かれた長谷川等伯(1539〜1610)晩年の作風をよく伝える作品です。68歳の年記があります。


四季花鳥図屏風(しきかちょうずびょうぶ) 狩野永納筆 江戸時代・17世紀後半 アメリカ・ボストン美術館
江戸時代に、安土桃山時代の豪壮な狩野派の画風を継承した京狩野家の三代目狩野永納(かのうえいのう)(1631〜97)が、父狩野山雪の画風を継承して水平、垂直、斜めの方向性を強調して描いた金地濃彩の豪華な花鳥図です。

松島図屏風(まつしまずびょうぶ)
尾形光琳筆 江戸時代・18世紀前半
アメリカ・ボストン美術館

荒磯に島を配した「松島図」は、俵屋宗達をはじめ琳派の主要テーマです。尾形光琳(おがたこうりん)(1658〜1716)も宗達にならって何度か描いたようです。本図は、光琳独自の解釈を加え、ダイナミックで色彩感の強い表現が見られます。

鸚鵡図(おうむず)
伊藤若冲筆 江戸時代・18世紀後半 アメリカ・ボストン美術館

精緻な花鳥図を得意とした伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)(1716〜1800)の初期の作品です。「動植綵絵」に先行するもので、その中の一幅「老松鸚鵡図(ろうしょうおうむず)」には、本図を左右反転させた鸚鵡が描かれています。

第五章 奇才 曽我蕭白(そがしょうはく)
 ボストン美術館の日本美術コレクションの中でひときわ異彩を放つ曽我蕭白(1730〜1781)の作品群。エネルギーを画面に打ち付けたような直情的画風ですが、そこには幻想的な空気が流れてもいます。
シニカルなまなざしとユーモアが共存する蕭白の最初期から晩年の作品までが揃います。

雲龍図(うんりゅうず)(部分)
曽我蕭白筆 江戸時代・宝暦13年(1763)
アメリカ・ボストン美術館

1911年ボストン美術館に収められたときから、襖から剥がされた状態で保管されてきた巨大な龍です。今回の修復作業により公開が可能となりました。伝来は明らかではありませんが、寺院の襖かと考えられます。34歳の作です。

虎渓三笑図屏風 (こけいさんしょうずびょうぶ) 曽我蕭白
江戸時代・18世紀後半 アメリカ・ボストン美術館

廬山に隠棲した東晋(とうしん)の僧慧遠(えおん)のもとを訪れた陶淵明(とうえんめい)と陸修静(りくしゅうせい)が描かれています。話に夢中になって俗世に通ずるとして渡らぬと決めた橋を越えたことに気付いて、三人で大笑した場面です。蕭白にはめずらしく穏やかな画風がうかがえる楽しげな作品です。

風仙図屏風(ふうせんずびょうぶ) 曽我蕭白
江戸時代・18世紀後半 アメリカ・ボストン美術館

一陣の風の中で剣を持つ中国の仙人陳楠(ちんなん)が、池に潜む龍を追い出して天の水門を開かせ、旱魃(かんばつ)を救う場面とされています。龍は黒雲となって画面の上に勢いよく昇っています。

第六章 アメリカ人を魅了した日本のわざ −刀剣と染織
 明治時代、海外に渡った工芸品は多くの人々を魅了しました。これを可能にしたのは、日本の工芸が技術的に高度な発達を遂げていたからです。
ビゲローらが収集した刀剣と染織作品を取り上げ、彼らを感嘆させた精緻なわざの美をご覧いただきます。


短刀 尻懸則長
(たんとう しっかけのりなが)
尻懸則長作
鎌倉時代・文保3年(1319) アメリカ・ボストン美術館

ボストン美術館には五百口を超える刀剣があり、資料的価値の高い作品も多くあります。この短刀もそうした一口で、銘より大和・尻懸派の則長が、文保3年(1319)の48歳のときに制作したことが分かります。



梨地秋草蒔絵合口
(なしじあきくさまきえのあいくち)
紫原寿良作
江戸〜明治時代・19世紀 アメリカ・ボストン美術館

豪華な作風を示す拵(こしらえ)(外装)で、鞘は梨地で秋草の蒔絵とし、金具は金無垢で卓越した彫金技法によって秋草をあらわしています。明治時代には、こうした精緻な技巧を凝らした工芸作品が海外の人々を魅了しました。



唐織 紅地流水芦菊槌車模様
(からおり べにじりゅうすいあしきくつちぐるまもよう)
江戸時代・18世紀 アメリカ・ボストン美術館

まるで刺繍を施したかのように絹糸のつやを生かし、のびのびとした絵画的な模様は、江戸時代中期における最高の技術を駆使して織られた唐織であることがうかがえます。まさに諸大名家が式楽である能に入れ込んだ江戸時代中期の特注品といえるでしょう。日本初公開です。


小袖 白綸子地松葉梅唐草竹輪模様
(こそで しろりんずじまつばうめからくさたけわもよう)
江戸時代・18世紀 アメリカ・ボストン美術館

伝存例が少ない元禄小袖です。伝統的な吉祥模様である松竹梅を大きな松葉・竹輪・梅唐草といった意匠で個性的に表わしています。摺匹田(すりびった)(型紙による鹿の子模様)を多用して吉祥文を中心とする王朝風の模様を表わしたデザインは、元禄期(1688〜1704)の特徴です。日本初公開。