Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

尾形光琳<紅白梅図屏風>

artscene2011-12-16


中央の流水は銀箔 東京理科大教授が発表


 江戸時代の画家、尾形光琳(1658〜1716年)が描いた国宝「紅白梅図屏風(びょうぶ)」について、画面中央の川の部分に銀箔を張り、一部を硫化させて流水模様を浮かび上がらせていたことが分かった。東京理科大の中井泉教授(分析化学)が16日、同作品を所蔵する静岡県熱海市MOA美術館で開かれた研究会で発表した。


 中井教授は同屏風の調査を2年前から続けてきた。今年10月、3種類の高感度分析装置で川の部分を調べたところ、全体に銀が銀箔の状態で残っていることを確認。硫黄も検出した。中井教授は「川全体に銀箔が貼られ、流水模様は(にじみ防止に使われる)どうさなどを使って描き、それ以外の部分を硫化させて黒くした」と分析。コンピューターグラフィックス(CG)で制作当時の予想図を再現した。


 同屏風をめぐっては、同美術館と東京文化財研究所が03〜04年に行った共同研究で、金箔ではなく金粉をにかわで溶いた金泥(きんでい)である可能性が浮上。だが、中井教授が昨年、「金箔の可能性が高い」と発表していた。今回の調査で、結晶の並ぶ向きや金地の厚みなどから、中井教授は「金箔と確定した」と述べた。