Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

千葉・DIC川村記念美術館

artscene2011-09-07




http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/next.html



視覚の実験室 モホイ=ナジ・ラースロー/イン・モーション




9月17日(土)―12月11日(日)


9:30-17:00(入館は16:30まで)


休館日 月曜日 (9/19と10/10は開館)および10/11(火)




レオナルド・ダ・ヴィンチにも匹敵する多彩な仕事を展開し、20世紀美術に新しいヴィジョンをもたらした芸術家。それが、モホイ=ナジ・ラースロー。



モホイ=ナジは、社会主義革命や世界大戦が勃発する不安定な情勢下、母国ハンガリーからオーストリア、ドイツ、オランダ、イギリス、アメリカへと移り住みながら、「アートとテクノロジーの融合」を目指して実験を繰り返し、新たな芸術価値の創造に挑み続けました。



彼が手がけた仕事は、絵画、写真、彫刻、グラフィック・デザイン、舞台美術、映画と多岐にわたりますが、それらはいずれも、彼の革新的なアイデアが生み出した「光と運動による造形」でした。こうしたマルチ・アーティストとしての活躍のみならず、ドイツの総合芸術学校「バウハウス」で教鞭をとり、後にシカゴに設立された「ニュー・バウハウス」の校長を務めたモホイ=ナジは、教育者としても名を馳せ、その芸術理念や教育哲学は広く後世に伝えられています。



本展は、多数の貴重な初公開作品を含む遺族のコレクションを中心に、ハンガリー時代の素描や構成主義作品、代表作となるキネティック彫刻《ライト・スペース・モデュレータ》、カメラを使わない写真「フォトグラム」、アメリカ時代のカラフルな絵画など、国内外から集められた約270点によってモホイ=ナジの全貌を明らかにする、日本で最初の本格的な回顧展です。



日本におけるモホイ=ナジ芸術の紹介は意外に早く、1926年に雑誌『アサヒカメラ』に写真が掲載されたのを皮切りに、作品そのものも1971年から現在に至るまで、主に「バウハウス」に関連する展覧会にたびたび出品されてきました。著書『絵画・写真・映画』『材料から建築へ』(ともに〈バウハウス叢書〉)の翻訳本も1992年に出版されています。



ところが、絵画、写真、彫刻、グラフィック・デザインなど、表現があまりに多様で、作家像を捉えづらかったためか、これまで本格的な回顧展が国内で行われることはありませんでした。本展では、遺族が所蔵する貴重な初公開作品を含む約270点によって、モホイ=ナジの全貌を明らかにします。



出展作品


《 死にゆく兵士 》
1917年 クレヨン、紙
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション




《 風景(オーブダの造船場の橋 》
1918-19年 油彩、ビーバー・ボード
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション


著書
『 材料から建築へ 』 (バウハウス叢書14)
1929年 
ミサワホーム株式会社/神奈川県立近代美術館(仲田文庫)
※会期中に入れ替えあり





《 無題(ベルリンのラジオ塔から) 》
1928/1973年 ゼラチンシルバープリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション




雑誌 『 ディー・ノイエ・リーニエ 』 表紙デザイン
1932年10月号
神奈川県立近代美術館(仲田文庫)




《 スペース・モデュレータ CH 1 》
1943年 油彩・カンヴァス
DIC川村記念美術館




《どのようにして私は若く美しいままでいられるか?》
1920年代 
フォト・プラスティック、ゼラチンシルバープリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション




創造活動は幅広い分野に及びましたが、モホイ=ナジが生涯にわたって取り組んだのは、アートとテクノロジーを融合させ、新たなヴィジョン(視覚)をもたらす「光と運動による造形」を実現することでした。光を透過・反射する新素材のプラスティックや金属を用いたり、カメラを使わずに、印画紙と光源の間に被写体を置いて感光させる写真「フォトグラム」の実験を繰り返したりしたほか、映画製作や舞台美術の仕事を通じても、光・運動・空間の関係性を探究しています。なかでも、8年にわたる構想の末に完成させた、機械仕掛けで動く彫刻《ライト・スペース・モデュレータ》は、モホイ=ナジの造形思想を色濃く反映した代表作です。





《 自画像 》
1926年 ゼラチンシルバープリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション



《 無題 》
1922年 フォトグラム、ゼラチンシルバープリント
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション




映画 『 ロブスターの一生 』のパンフレット
1935年 (監督・撮影をモホイ=ナジが担当)
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション



《 無題(ネオンサイン) 》
1939年 35mmコダクロームフィルム
ハトゥラ・モホイ=ナジ・コレクション





モホイ=ナジは《ライト・スペース・モデュレータ》を初公開した1930年、そのアイデアについて、次のように述べています。



「恒常的に人工的な電気の光が供給されるようになって、今日私たちは苦もなく豊かな光の効果を得られるようになった。電力によって、人は変わることなく絶えず繰り返されるさまざまな運動を、あらかじめ予定した通りに実施することができる。光と運動は、今日のそのような関係に呼応して、再び造形要素となる。バロック時代の噴水、つまりバロックの祝祭の噴水や水による舞台は、光の噴水や機械と電気による運動の戯れによって、創造的に復活するのだ」



モホイ=ナジが本作に取り組んだ1920-30年代、安定して供給される電気は人々の生活を変え、その心を明るく照らし出しました。彼らの驚きや喜びは、どれほど大きかったことでしょう。もちろん、電気の恩恵によって生まれる「光」と「運動」をいち早く芸術作品の重要な構成要素にしたモホイ=ナジの功績も見逃せません。電気の効力や役割について考えることの多い今こそ、かつて本作が世間に与えたインパクトを振り返りつつ、現代のメディア・アートの萌芽をそこに見出すことができるのではないでしょうか。



《ライト・スペース・モデュレータ》は、開館時間中、30分毎に約2分間、稼働させます。作品が回転しながら表情を変えゆくさまと、周囲の壁に映る光の戯れをお楽しみください。




《 ライト・スペース・モデュレータ (電気舞台のための光の小道具) 》 
1922-30/2006年 金属、プラスチック、ガラス、絵具、木、電気モーター
ハーバード大学附属ブッシュ=ライジンガー美術館






井口壽乃[埼玉大学教授]

9月17日(土)14:00-15:00

本展監修者の井口氏が、モホイ=ナジ芸術の魅力について語ります。ハンガリーへ留学し、20世紀東欧の前衛芸術を研究してきた同氏ならではの興味深い話を作品の前で聞ける絶好のチャンスです。






山本政幸[多摩美術大学准教授]

10月15日(土)14:00-15:00

モホイ=ナジやバウハウスの作家たちが手がけたタイポグラフィ。その特色と現代のグラフィック・デザインに与えた影響についてお話しいただきます。

先着60名|当日12:00より館内受付で整理券配布





林寿美[DIC川村記念美術館学芸課長]

10月9日(日)・11月3日(木)14:00-15:00

本展を担当する学芸員が、モホイ=ナジ展会場で作品を解説します。






9/17・10/9・10/15・11/3を除く毎日 14:00-15:00

当館ガイドスタッフがコレクション展示とモホイ=ナジ展の作品を解説します。






9月24日(土)10:30-16:00

写真家・浅見俊哉氏と、モホイ=ナジが発明したカメラを使わない写真「フォトグラム」を作ります。庭園を歩いて秋の風景を楽しみながら、おもしろそうな影をつかまえてみましょう。フォトグラムを作ったあとはモホイ=ナジ展をみんなで見て、自由に語り合います。



会場=自然散策路と館内レクチャールーム
対象=小学生以上|定員25名|要予約|参加費1000円(入館料別)



持ち物
お弁当と飲み物
自分の大切な〈思い出〉や〈記憶〉をひきだしてくれるもの  例)子どもの頃に遊んだおもちゃ、友だちからの贈り物など


お申し込み  電話043-498-2672


goshitsumon + @ + kawamura-museum.com


氏名、年齢、住所、電話番号をお知らせください


担当:学芸部  林 寿美  



浅見 俊哉

1982年東京生まれ。文教大学教育学部美術専修卒業。埼玉県越谷市在住。写真や映像作品を手がけるほか、美術教育、地域アートプロジェクト、ワークショップなどの活動を行っている。
http://asaworks.exblog.jp/


入館料:

一般1,200円
学生・65歳以上1,000円
小中学生・高校生500円



障がい者手帳をお持ちの方(+付き添い1名まで同料金)]


※美術教育サポートプログラムもご活用ください。(1クラス 3500円)




■モホイ=ナジ展のチケット半券で「瀧口修造マルセル・デュシャン」展が割引になります。

一般 800円 →640円
大学生 560円 →450円




■瀧口とデュシャン展のチケット半券で「モホイ=ナジ/イン・モーション」展が割引になります。

一般 1,200円 →1,000円
学生・65歳以上 1,000円 →800円
※招待券の半券はお使いになれません



千葉市美術館シャトルバス  11月26日(土)、27(日)、12月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)の6日間、



千葉市美術館と当館を往復する無料送迎バスを運行 【所要時間:約40〜50分】

千葉市美術館発 13:00 / 15:00
■DIC川村記念美術館発 14:00 / 16:00

モホイ=ナジ 視覚の実験室

モホイ=ナジ 視覚の実験室

ハンガリー・アヴァンギャルド―MAとモホイ=ナジ

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