Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

国宝 興福寺仏頭展

artscene2013-10-03



白鳳の微笑みに会いに


会  期 Schedule:

2013年9月3日(Tue 火)- 11月24日(Sun 日)


http://butto.exhn.jp

http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/kouhukuji/kouhukuji_ja.htm



開館時間 Open time:
10:00 - 17:00

休 館 日
毎週月曜日(ただし、10月14日、11月4日は開館)、10月15日、11月5日
close on Monday

会  場 place
東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)
Tokyo university of fine arts (Ueno,Tokyo)


主  催
東京藝術大学法相宗大本山興福寺


日本経済新聞社

後  援 / 文化庁


第一章
 興福寺では、中国で唐代に誕生し、遣唐使を通じて日本にもたらされた法相宗の教義が、1300年の間、脈々と受け継がれてきました。インドから高僧、玄奘三蔵が伝えたという教義は「唯識」という言葉に代表され、一切の事物は、人が認識する内容によって、その存在が規定されている、という考え方が大きなテーマになっており、この思想は現代でも色あせることがありません。
 会場では重要文化財厨子入り木造弥勒菩薩半跏像」(鎌倉時代)や2幅の「慈恩大師像」をはじめとする高僧たちの頂相(肖像画)のほか、法相宗関連の書跡・絵画類も展示して、法相の深遠な世界にいざないます。




第2章
 「板彫十二神将像」は、平安時代(11世紀)の作。かつては東金堂の薬師如来像の台座の周囲に配されていたともいわれています。ヒノキのわずか厚さ3センチ前後の板を彫り、表情豊かでたくましく、躍動感のある神将たちの姿を見事に描き出しています。きわめて高い技術力で制作された、我が国の浮彫像のなかで屈指の名品です。12点そろっての寺外での展示は、今回が初めて。彩色は薄れてしまっても褪せることのない、作品の迫力を間近で感じていただきます。




第3章

 平安末期、興福寺の堂衆たちが飛鳥の山田寺から運びこんだ巨大な白鳳時代の仏像(現仏頭)は、東金堂の本尊、薬師如来として安置されました。15世紀初頭に火災に遭い、現在は頭部のみが国宝館に残りますが、「白鳳の貴公子」ともいわれる高貴な表情は、見る角度によって厳しくも、またやさしくも見える、神秘的な魅力をたたえています。また、現在も東金堂に安置されている国宝「木造十二神将立像」(鎌倉時代)は、本尊・薬師如来の眷属(従者)として、その守護神の役割を果たしてきました。仏頭が15世紀初頭の火災で本尊の座を新しい薬師如来に譲ってから、今日までそろって並ぶことはなく、今回の展覧会での展示が、実に約600年ぶりの再会の場となります。



第4章

 本展のメイン展示となる「仏頭」は、いかにつくられ、当初はどのような姿をしていたのか、坐像なのか倚像なのか。手がかりとなる文書史料は現段階で見つかっていません。本展では、東京・調布の深大寺から、同じ白鳳時代の仏像である重要文化財「銅造釈迦如来倚像」を特別出陳いただきます。



出品目録
http://butto.exhn.jp/exhibition/images/butouten_list.pdf





奈良・興福寺の創建1300年を記念して「国宝 興福寺仏頭展」を開催します。展覧会では現存する東金堂をテーマとし、同寺の代表的な名宝である国宝「銅造仏頭」(白鳳時代)をはじめ、東金堂ゆかりの名品を展示します。「仏頭」の守護神として造られた国宝「木造十二神将立像」(鎌倉時代)、浮彫の最高傑作として有名な国宝「板彫十二神将像」(平安時代)の各12点、計24点が初めてそろって登場するほか、法相宗に関わる至宝も展示。「仏頭」と同じ白鳳仏として、東京・調布の深大寺所蔵の重要文化財「銅造釈迦如来倚像」も特別陳列され、国宝25点、重要文化財31点など約70点の至宝が集う豪華な展示となります。ヴァーチャル・リアリティーVR)技術を使って、仏頭頭部の復元に挑むとともに、同寺で進む中金堂再建事業についても紹介します。

 興福寺は全国の国宝仏像彫刻のおよそ15%を所蔵する、まさに仏像の宝庫です。また平城京の時代から法相宗の教えを広め、絵画や書跡など宗派の名品を1300年の間、数々の災害から守り今日に伝えてきました。本展では、その中から国宝・重要文化財合わせて50点を超える重厚なラインアップを組みました。ことし一番の見ごたえある仏教美術の展覧会です。


 「銅造仏頭」は破損仏でありながら、異例ともいえる国宝指定を受けている仏像です。それは微笑んでいるようで威厳のある、まさに「白鳳の貴公子」という呼称にふさわしい優れた造形性に大きな理由があるでしょう。また天武7年(678)に鋳造を開始して同14年(685)に完成した白鳳期の仏像でありながら、頭部だけで総高98.3センチという巨大なスケールを誇り、日本の彫刻史上、見逃してはならない存在であることも重要です。表面を鍍金(金メッキ)した金銅仏であった当初の姿からの変貌ぶりには、単に1300年を超える歳月の長さだけではなく仏像が経てきた謎めいた遍歴に想いを致さずにはいられません。会場では「仏頭」を360度可能な限りのアングルからご覧いただくことで、仏像の魅力を存分に味わっていただきます。




 国宝に指定された十二神将像は、全国で4件あります。奈良・新薬師寺の塑像(奈良時代、但し指定は11体)、京都・広隆寺の木造(平安時代)、それに興福寺の板彫十二神将像(平安時代)と木造十二神将立像(鎌倉時代)の4組です。本展では、2組の十二神将がすべてそろった形で出陳します。興福寺を出て、全点そろっての展示は、史上初めてのことです。いずれも日本木彫史上屈指の名品で、会場では美の競演を存分に楽しんでいただきます。




 厚さ3センチほどのヒノキの平板から彫り出した十二面のレリーフ。高さは1メートル前後、幅は40センチ前後。因達羅(いんだら)大将像が2材を使っているほかは1材から彫り出している。彩色が施されているが、剥がれ素地が出ている。正面向き1面、左向き6面、右向き5面。迷企羅(めきら)大将像が短い衣を着て裸足であるほかは武装した姿。彫り口に変化をつけて陰影を強調して絵画の隈どりと同様の効果を出しつつ、骨格を太く描き手の位置などを体の前面に置いたり、背後に隠したり、構図に工夫することで立体感を強調している。永承元年(1046)に火災があり本尊が焼失し、仏像彫刻の巨匠、定朝が再興した際には、東金堂本尊薬師如来像の台座に張り付けられていた可能性がある。



 ヒノキ材の寄木造りで彩色が鮮やかに残る。像高は120センチ前後。12体とも武装しており、伐折羅(ばさら)大将立像が草履をはいているほかは沓(くつ)をはく。波夷羅(はいら)大将立像で台座に固定するための沓裏のほぞに「建永二年四月廿九日菜色了」の墨書銘があり、建永2年(1207)に彩色を終えたことがわかり、そのころに制作されたものとわかる。作者は明らかではないが分担して制作したと考えられ、12体の作風にはややばらつきがある。12体それぞれに個性的な動きをつけ、全体をまとめ上げる技量は高く評価される。11世紀以降の制作に見られる特徴として、各像とも頭部の髻(もとどり)に干支の動物をつけている。




 白鳳時代に制作された「銅造仏頭」は、興福寺に建立当初から安置されていた仏像ではありません。もとは飛鳥の山田寺の丈六像として鋳造されました。山田寺蘇我馬子の孫でありながら、大化の改新中大兄皇子天智天皇)側について蘇我入鹿を滅ぼした蘇我倉山田石川麻呂が発願して着工されましたが、石川麻呂は大化5年(649)に謀反の嫌疑をかけられ自害。造営はいったん中断の後、再開されました。この寺の中心となる像として「仏頭」の鋳造が始まったのは678年で7年の歳月を経て685年に開眼供養したとされています。どのような経緯で鋳造が行われたのか、誰がどのように制作したのか。像については「丈六」との表現が史料にみられるだけで詳しい形状は解明されていません。


 興福寺藤原氏の氏寺として摂関家の庇護を受け、平安末期には大和国奈良県)随一の勢力を誇り、平氏を脅かす存在となっていました。治承4年(1180)、平重衡の兵火で興福寺の建造物は壊滅しましたが、復興は即座に進められました。しかし、東金堂の仏像制作は、藤原氏の代表者の九条兼実から指示が出ていたにも関わらず遅々として進まず、文治3年(1187)に堂衆が山田寺から丈六像など三尊像を移送したのです。その後、文治5年(1189)に興福寺に参拝に出向いた兼実は、東金堂に運び込まれた像を見て「とても東金堂にふさわしい。像を移したことはよい機縁となった」(『玉葉』文治5年8月22日条)というように語ったといいます。




 興福寺東金堂に安置された「銅造仏頭」に応永18年(1411)12月、またもや転機が訪れます。火災のために東金堂が焼け、「仏頭」は運び出すことができないまま破損してしまいました。その後の所在についての記述は途絶え、所在不明となっていましたが、昭和12年(1937)10月、東金堂の解体修理中に現本尊台座内にあるのが偶然発見されました。「仏頭」は台座の中で木箱の上に乗せられ、本尊と同じ西向きに置かれていたのです。誰がどのような思いで「仏頭」をここに収めたのか、それがどうして伝えられずに来たのか。謎は深まるばかりです。



 十二神将薬師如来の眷属(従者)であり、それぞれが7,000の兵を率いる、いわば師団長でした。「板彫十二神将像」は平安時代の作、「木造十二神将立像」は鎌倉時代の作例です。ところが応永18年(1411)の落雷による東金堂火災で、「仏頭」は所在不明となり、昭和12年(1937)に本尊台座内で発見されてからも今日まで「仏頭」と「木造十二神将立像」がそろって並べられることはありませんでした。それが今回は、主従の600年ぶりの再会の場となります。また、それにあわせて「板彫十二神将像」も出品されます。


 仏頭が15世紀、落雷による火災で破損するまではどのような姿だったのでしょうか?残された文献にも、その姿について触れたものはなく、大きな謎となっています。今回の展覧会では破損した頭部がどのような形状であったのか、最新のVR技術で復元を試みました。残された頭部の亀裂などから、欠落部の金属部分のカーブなどを推測し、一つのフォルムを導き出します。 復元映像は会場内で公開します。出来上がった姿から古代・白鳳仏のイメージを膨らませてください。再建中の中金堂もVR映像で往時の姿に再現します。





■ 「仏頭のひみつ ─制作工程を中心に─」

日 時 10月5日(土)午後2時〜午後3時30分
講 師 松田誠一郎(東京藝術大学 教授)

■ 「仏頭─数奇とその宗教性」

日 時 10月19日(土)午後2時〜午後3時30分
講 師 多川俊映法相宗大本山興福寺 貫首

■「鎌倉復興期の興福寺東金堂諸仏 ─銅造仏頭と木造十二神将像について」

日 時 11月10日(日)午後2時〜午後3時30分
講 師 金子啓明(興福寺国宝館 館長)




国宝「銅造仏頭」が、昭和12年(1937)10月29日に東金堂で発見されたことを記念して特別法要とトークショーを実施します。

■ 特別法要と特別鑑賞の夕べ

日 時 10月29日(火)午後6時〜午後8時
内 容 参加者限定の本展特別鑑賞会を実施するほか、展示会場内で興福寺貫首以下の寺僧による特別法要を行います。定員200名

■ 「見仏記」トークショーと特別鑑賞の夕べ

日 時 10月30日(水)午後6時30分〜午後8時30分
内 容 参加者限定の本展特別鑑賞会を実施するほか、本展仏頭大使のみうらじゅんさん、いとうせいこうさんによるトークショーを行います。会場は東京藝術大学内。定員150名。

※参加申込み受付は終了しました。当日受付は行っておりません。



講話 興福寺の歴史

毎週水曜日、土曜日の午前11時、午後2時開始(各回約20分)

ただし11月13日(水)のみ開催がございません。あらかじめご了承ください。
内 容 焼失・再建を繰り返してきた興福寺伽藍の中で、数奇な運命をたどった銅造仏頭と東金堂、300年ぶりの再建が進んでいる中金堂の歴史を寺僧よりわかりやすく解説します。展示会場内で開催。参加無料。








日 時 10月3日(木)午後7時30分〜午後9時

■ 第1部 対談「興福寺ってどんな寺院なの?」

講 師 籔内佐斗司(彫刻家、東京藝術大学大学院 教授)、
辻明俊(興福寺 録事)
内 容 「せんとくん」(平城遷都1300年記念マスコットキャラクター)の生みの親でもある籔内佐斗司教授と、興福寺で広報・企画事業を担当されている辻明俊録事が、1300年に渡る興福寺の歴史や法相宗についてわかりやすく紹介します。

■ 第2部 「仏像装束ショー&仏像鑑賞基礎講座」

講 師 中村志野(東京藝術大学大学院 保存修復彫刻研究室 教育研究助手 博士(文化財))
内 容 仏の世界観や仏像の種類・技法など、展覧会をより楽しむための知識を概説します。また、会場からモデルを募って、「如来、菩薩、明王、神将」の装束を体験するショーも実施します。同研究室の小沼祥子さんが制作した模刻「興福寺八部衆のうち乾闥婆立像」もステージに展示します。

定員に達したため、お申込み受付を終了いたしました。




こども教室

日 時 10月19日(土)
?午前10時30分〜午前11時50分
?午後2時〜午後3時20分
内 容 第1部 紙芝居「きぼうのほほえみを観に行こう!キセキのほとけさま」
興福寺や仏頭の歴史について、紙芝居で楽しく学びます。

第2部 体験教室「仏像ファッションを学ぼう!」
「どうして色んな種類の仏像があるの?」「仏像のちがいはどこでわかるの?」「仏像ってどういうふうにつくられているの?」など、仏像のファッションに注目しながらみんなの疑問にお答えします。仏像ファッションの体験や仏像模刻の見学など、楽しい体験教室です。
講 師 中村志野、中嶋莉恵(東京藝術大学大学院 保存修復彫刻研究室 教育研究助手)
定 員 子供40名(対象:小学校高学年〜中学生)
先着順。各回とも当日展覧会受付にて開演30分前より入場整理券を配布します。会場は東京藝術大学内。
参加費 無料
ただし、保護者の同伴が必要で、保護者は本展の観覧券(半券可)が必要となります。


興福寺―美術史研究のあゆみ

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