Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

オリエントの美術

artscene2013-02-13




2013年1月11日(金)〜3月24日(日)

出光美術館のオリエントコレクションは、エジプト・イラン・トルコ・地中海地域を中心に、多岐にわたる考古美術品が充実し、国内有数のコレクション。


http://www.idemitsu.co.jp/museum/

出光佐三初代館長(1885〜1981)は、オリエント美術の蒐集の経緯や目的などについて、多くを語っておらず、また記録もほとんど残っていません。しかし、そのはじまりは、1950年代終わり頃に、縁あってイランのルリスターン青銅器コレクションを入手する機会を得たことに端を発しています。後に出光美術館の理事となる三上次男博士(1907〜87)がイスラーム陶器研究者でもあったことから、その監修の下にコレクションが充実し、1966年の開館時にはすでにコレクションの主要な一分野へと成長していました。そして1979年、秋以降は中近東文化センター(東京三鷹市)で常時公開してきましたが、この度、陶器・金属器・ガラス器・石製品などから厳選したオリエント美術の名品展を、34年ぶりに出光美術館で開催いたします。


今回の展覧会では、出光美術館のオリエント美術品の特徴である先史時代からイスラーム時代にわたる幅広い作品を紹介します。また種類も石製品・土器・陶器・ガラス器・金属器、そして細密画などバラエティーに富んだ作品を選びました。時代・材質・地域においてこれだけ多岐にわたる作品と点数を一コレクションで提供できるのは、日本では出光美術館のみでしょう。また日本では出光コレクションでなければ見られない作品や世界にも数例しかない作品も含まれています。
世界の二大文明を含み、東西文化交流の交差点でもあった中近東の地で華やかに花開いた数々の作品を通して、オリエント美術の世界と中近東の歴史散歩をお楽しみください。



木棺頭部 エジプト 前1千年紀 出光美術館
色絵騎馬人物文鉢 イラン 12〜13世紀 出光美術館


列品解説のおしらせ
1月17日(木)、1月31日(木)、2月14日(木)、
2月28日(木)、3月14日(木)
いずれも午前10時30分より


1月18日(金)、2月1日(金)、2月15日(金)、
3月1日(金)、3月15日(金)
いずれも午後6時より



開館時間
午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
毎週金曜日は午後7時まで(入館は午後6時30分まで)





入館料
一般1,000円/高・大生700円(団体20名以上 各200円引)
中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です)

障害者手帳をお持ちの方は200円引、その介護者1名は無料です


休館日
毎週月曜日



出光コレクションに日本でも屈指のオリエント美術品があることをご存じの方は、少ないのではないでしょうか。そのコレクションが34年ぶりに出光美術館で展示されます。まさに丸の内に「オリエントの世界」がよみがえるのです。この機会に、ぜひとも「オリエントの美術」の世界をご堪能ください。





はじめのコーナーでは中近東の「文明のあけぼの」を先史時代の土器や土偶を通して紹介します。日本の縄文土器にはない、筆で絵を描いて土器を飾る装飾法が中近東では一般的でした。描かれる絵は、様々な風土を含む中近東では地域ごとに異なりますが、当時の人々にとって大事なものが描かれました。むかしの人々が私達に残したメッセージです。

女性土偶 イラン 前10〜6世紀 出光美術館





次に古代エジプトの王朝時代の作品を紹介します。ミイラを入れる木棺蓋や朱鷺(とき)のミイラ、そしてオシリスやイシスなどの神々青銅像、墓に副葬する船の模型など、古代エジプトの冥界をイメージさせる作品を展示します。しかしそこに描かれた絵からは生き生きした人々の生活も感じられます。


木棺蓋 エジプト 前10世紀 出光美術館

葬送用彩色船模型 エジプト 前22〜18世紀
出光美術館


金製高杯 イラン 前10〜6世紀 出光美術館
楔(くさび)形文字を生みだしたメソポタミアの人々が作り出した作品には、その所有者や様々な記録を記した楔形文字の文章が記されています。それは粘土板だけではなく青銅の武器などにも文字が見られます。また紀元前の9〜7世紀頃にオリエントの大国となったアッシリアの首都ニムルドから出土した象牙製品なども展示します。その時代は旧約聖書の舞台になった時代でもありました。当時のオリエント世界の文明の高さを物語る作品です。


作品に秘められた歴史とトピック
それぞれの作品に秘められた歴史や物語をトピックとしてご紹介します。たとえば「イラクのニムルド遺跡で出土した象牙飾板とサスペンス作家アガサ・クリスティーの物語」「正倉院御物の白瑠璃碗と井上靖松本清張の小説」「平安時代に日本に運ばれたイスラーム陶器」など、話題としてお話していただけそうなトピックを盛り込んでいます。ちょっと変わった作品の鑑賞をお試しください。

象牙飾板 イラク 前9〜7世紀 出光美術館



青年頭像(奉献像) イタリア 前3〜2世紀
出光美術館
昭和50年(1975)、イタリア・ローマの国立東洋美術館と出光美術館はお互いの資料を交換しました。昭和51〜58年にかけて資料室に展示されたのが、その時日本にやってきたエトルリアの資料です。エトルリアは紀元前7世紀に全盛期を迎えたイタリア中部で繁栄した国でした。しかし紀元前3世紀にはローマに滅ぼされたのです。このコーナーでは出光美術館の国際的な活動とともに、ローマ以前に繁栄したエトルリアの作品を紹介します。



ローマ時代以前に流通していた不透明なコア・ガラスをご紹介します。この時代はガラス製作技法の制約もあり、ガラスはごく限られた用途にしか使われていませんでした。色彩豊かな不透明なコア・ガラスをご紹介します。

香油瓶・アンフォリスコス形 東地中海地域
前2中期〜後1世紀初期 出光美術館


金彩鉢 東地中海地域 前3〜2世紀 出光美術館
ローマ時代に誕生した「吹きガラス技法」は、ガラスの生産と用途に画期的な革新を興しました。2000年を経た現代でも私達は吹きガラス技法を使っているのです。吹いてガラスを製作するため原材料のガラスが少なくても一つの製品ができたのです。また吹くことによりガラスが薄くなるため、透明というイメージを持つようになったのです。安価なガラス製品は、ローマ市民の日常生活に不可欠な素材となりました。透明なローマ・ガラスの作品を通して当時の高い技術をご紹介します。


正倉院の白瑠璃碗とシルクロード

カット装飾碗 イラン 6世紀 出光美術館
正倉院御物にある白瑠璃碗は、中近東で製作されたガラス碗です。はるばるシルクロードを通って日本まで運ばれました。本展ではイランで出土したササン・ガラスを通して、日本と中近東とのシルクロードを介した文化交流もあわせてご紹介します。






中近東で陶磁器生産が産業として成立したのはイスラーム時代以降でした。産業としての陶磁器生産は、中近東各地のマーケットのニーズによりバラエティーに富んだ陶器が製作されたのです。このコーナーでは当館の中近東コレクションの主要部分であるペルシア陶器を中心に、日本では珍しいトルコ陶器のコレクションも展示します。様々な色彩と大胆なデザインで彩られたイスラーム陶器をお楽しみください。


藍釉多彩花卉文把手付瓶 トルコ 16世紀後半
出光美術館

色絵騎馬人物文鉢 イラン 12〜13世紀
出光美術館蔵 



イスラームの偶像否定の教えにより、絵画や彫刻など鑑賞芸術はイスラーム美術では発展しませんでした。イスラーム芸術は実用芸術とも称される使うための品々を飾る美だったのです。ミニアチュールは、その中で挿絵として本に描かれた絵画でした。非常に繊細な線と色彩に彩られたミニアチュールや写本を展示します。

スルタン座図 トルコ 16〜17世紀 出光美術館
〈1月11日〜2月17日展示〉


象嵌燭台 イラクまたはイラン 14世紀中期
出光美術館蔵 
中近東の人々は、昔から金属の器を好み、特に金や銀の製品は憧れの的でした。日常使う器にも青銅や真鍮で製作された金属器があります。日本のイスラームコレクションには、あまり優美なイスラーム金属器はありませんが、出光コレクションには青銅や真鍮の美しい金属器があります。特に七宝製の筆箱や水煙草の器具、そしてアストロラーベと称される天体観測儀は、出光コレクションならではの作品です。



イスラーム時代のガラス職人たちは、ローマ時代にあった古いガラス技法を再発見して、ガラスの新たな使い方を開発しました。それはガラスのランプという照明器具や、「吸い玉」または「吸い瓢(ふくべ)」と呼ばれる医療器具でした。イスラーム時代には、現代の私達が使っているガラス製品の基礎が作られたといっても過言ではありません。しかし日本のイスラームコレクションにはガラス製品が多くはありません。出光コレクションのイスラームガラスの作品をお楽しみください。



Access

〒100-0005
東京都千代田区丸の内3-1-1 
帝劇ビル9階
(出光専用エレベーター9階)


「有楽町」駅 国際フォーラム口より徒歩5分

東京メトロ有楽町線「有楽町」駅/都営三田線「日比谷」駅
B3出口より徒歩3分

東京メトロ日比谷線・千代田線「日比谷」駅 有楽町線方面 地下連絡通路経由
B3出口より徒歩3分