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マリ 世界遺産都市の古文書救出 秘密裏に移送

artscene2013-02-02


イスラム過激派が支配していた西アフリカ・マリ北部の世界遺産都市トンブクトゥから、南部の首都バマコに秘密裏に移送されていた歴史的古文書=2013年1月31日



フランスが軍事介入した西アフリカ・マリ北部の世界遺産都市トンブクトゥの研究所に保管され、イスラム過激派による破壊が懸念されていた歴史的に貴重な古文書の約6割が、南部の首都バマコに秘密裏に移送されていた。



 古文書は、所蔵元のアフメド・ババ高等教育・イスラム研究所(マリ政府管轄)のアブドゥルカドリ・マイガ所長が公開。金属製衣装箱約30箱に納めた約2万5000点がバマコ市内に保管されている。


 古文書は最古のものが13世紀ごろとされる。主にアラビア文字で書かれ、イスラム教や天文学、医学など幅広い分野に及び、当時の学術水準を示す極めて貴重な内容で「世界のかけがえのない遺産」(マイガ所長)だ。



 トンブクトゥは古来、サハラ砂漠の貿易中継地として栄える一方、15世紀ごろにはイスラム神学校が100校以上あり、イスラム研究が隆盛した学術都市だった。古文書は家庭に散逸していたものも多く、収集・保存を目的に「アフメド・ババ高等教育・イスラム研究所」が1973年に発足した。

 Mainichi




マリ古文書救出:2万5000点、粉ミルクや米の袋で隠し バマコ(マリ南部)


イスラム過激派が支配する街で、ひそかに続けられた古文書救出作戦。交易商人の手助けで世界的に貴重な遺産の多くは安全地帯に届いていた−−。世界遺産であるマリ北部の都市トンブクトゥから移送されたアフメド・ババ高等教育・イスラム研究所所蔵の古文書は約2万5000点に及ぶ。アブドゥルカドリ・マイガ同研究所長が毎日新聞の取材に作戦の詳細を語った。

 マリ北部は昨年4月、世俗主義の反政府武装組織やイスラム過激派が制圧した。5月以降、偶像崇拝の禁止に厳格な過激派が、トンブクトゥにあるイスラム教指導者の聖廟(せいびょう)を破壊。7月には世俗主義組織を北部の各都市部から追い出し、支配を固めた。

 マイガ所長によると救出作戦は昨年7−10月に実施した。バマコに避難していた研究所員らが約1200キロ離れたトンブクトゥに潜入。街中をパトロールする過激派戦闘員の目を避けながら、深夜などに研究所から徐々に文書を回収した。

 最終的には、研究所が所蔵する古文書約4万5000点のうち、旧棟に保存されていた約2万5000点を運び出すことができた。

 だが、南アフリカ政府の支援で建てられた新棟は過激派が放火し、約2万点の所蔵文書の多数が焼失・破損した可能性があるという。

 反政府武装組織やイスラム過激派は旧棟にはあまり関心を払わなかった。マイガ所長は「建物が古くて、汚い感じがしたからだろう」と言う。おかげで古文書は難を逃れたとも言えそうだ。

 古文書は衣装箱に入れ、複数回に分けてバマコ行きのバスやトラックで運んだという。移送には、トンブクトゥバマコの間でさまざまな商品を取引する交易商人の助けを借りた。商人は文書入り衣装箱の上に、粉ミルクや米の袋など実際の取引商品を載せてカムフラージュした。到着を待ち構えた研究所員らがバマコで受け取った。

 マイガ所長は「大きな危険を伴う作戦だった」と振り返る。イスラム過激派は1月に軍事介入したフランス軍とマリ政府軍の共同作戦を受けトンブクトゥから撤退した。