Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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「MU[無] - ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」展

artscene2013-01-18




「映画」と「彫刻」という異なる表現領域で国際的に活躍するポルトガルの鬼才、ペドロ コスタとルイ シャフェス。ドキュメンタリーとフィクションの境界線に立つユニークな映画監督ペドロ コスタは、ロカルノ国際映画祭山形国際ドキュメンタリー映画祭で受賞するなど高い評価を受け、静謐な映像美と破壊的な世界観の共存する作品で観客を魅 了し続けています。またルイ シャフェスは、ヴェネツィア ビエンナーレサンパウロ ビエンナーレ等の国際展にポルトガル代表として出品するなどの活躍を見せ、主に鉄を用いて彫刻表現のさまざまな可能性を追求しています。プライベートでも親しい二人が、日本映画の巨匠小津安二郎監督に敬意を表し「MU[無]」と名付けた本展は、邸宅としての記憶が存在する原美術館の空間を意識して制作された新作各3点を加えた映像インスタレーション5点、彫刻5点の計10点で構成されます。ペドロ コスタの代表作「ヴァンダの部屋」「コロッサル・ユース」の映像素材が、 ルイ シャフェスの鉄の彫刻とともにインスタレーションとして新たな形で提示されるのも見どころの一つです。光と影、動と静―相反する要素が対決し、生み出される空間、時間とは―異なる二つの才能が出会うこの異色の展覧会で、一期一会の体験をして頂ければ幸いです。



[関連イベント]
連続講演会
場所: 原美術館 ザ・ホール
参加費: イベント一回につき 一般 2,000円(入館料込)、原美術館メンバーおよび同伴者1名様まで1,000円
定員: 80名(要予約)
※申込方法等詳細は公式ホームページをご覧ください


第1回 アーティストトーク ペドロ コスタ&ルイ シャフェス(英日逐次通訳付)
日時: 12月8日(土)13:00-15:00


第2回 講演 杉田敦ポルトガルの現代美術について」(美術批評家・女子美術大学教授)
日時: 12月16日(日)14:30‐16:00


第3回 講演 港千尋「空虚(ヴォイド)と映画−インスタレーションをめぐって」(写真家、映像人類学者、多摩美術大学教授)
日時: 延期のため詳細は後日お知らせします


第4回 講演 諏訪敦彦存在の彼方へ—ペドロ コスタの映画空間」+ペドロ コスタ短編映画上映(映画監督・東京造形大学学長)
日時: 12月22日(土)14:00-16:00


第5回 講演 瀬下直樹(建築家)
日時: 2月2日(土)14:30-16:00




2012年12月07日 〜 2013年03月10日


http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum/HCswtynKZoergI3pWOi6



入場料

一般 1000円、大高生 700円、小中生500円

原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料)



11:00から17:00まで
水曜日は20:00まで


休館


月曜日
祝日の場合は開館し翌日火曜日休館、水曜日祝日の場合は17時閉館



アクセス

〒140-0001
東京都品川区北品川4-7-25
電話: 03-3445-0651

品川駅高輪口より徒歩15分


The current exhibition at the Hara Museum of Contemporary Art is a double-barrelled affair that combines the work of two of Portugal's most renowned artists; Pedro Costa and Rui Chafes. Chafes' works are three-dimensional metal constructions, exclusively in grey or black. Pedro Costa's work has, since his film 1989 film 'Blood', been something of a bulwark against the easy heroic narrative template of Hollywood films.

http://www.a-n.co.uk/interface/reviews/preview/2888976





【作家について】


ペドロ・コスタ(1959年生まれ)
ヴァンダの部屋」(2000年)や「コロッサル・ユース」(2006年)などを通し、一般的な劇映画の文法・話法にとらわれず、ドキュメンタリーとフィクションの境界線に立つユニークな映画監督として知られています。今回、「映画館」の「ロードショー」という空間的・時間的フォーマットではなく、「美術館」の「展覧会」という空間的・時間的フォーマットでの作品発表の試みも、彼の実験的姿勢の現れです。したがって鑑賞者を待ち受けているのは、映画館の客席で映画を観るのとは一味違う映像体験の空間と時間なのです。



ルイ シャフェス(1966年生まれ)
主に鉄を素材とする彫刻家として活躍しており、ヴェネチアビエンナーレサンパウロビエンナーレにもポルトガル代表として出品してきました。鉄にこだわりながら、「面」「線」あるいは「塊」、「置く」「ぶら下げる」あるいは「立てかける」など、彫刻的表現のさまざまなイディオムを駆使して、幅広い造形を手がけています。抽象とも具象ともとれる造形は暗示性・象徴性に富むと同時に、室内・野外を問わず作品を設置した空間と対話し、緊張を生み出しながら、空間全体を作品としての環境に書き換えていきます。


右:ペドロ・コスタ
左:ルイ・シャフェス
中央にあるのはルイの「虚無より軽く」と題された作品です。


プライベートでも仲の良い二人が、2005年にポルトガルポルト(セラルヴィス美術館)で開催した展覧会に出品した作品を再構築し、原美術館バージョンとして、映像と彫刻という一見、関連性の薄い作品同士が、二人が小津安二郎の墓碑に刻まれた一文字「無」に触発され付けたタイトルを横軸にし奇妙なまでのマッチングを魅せています。