Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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篠山紀信展 写真力

artscene2012-07-23


John Lennon Yoko Ono 1980


篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN

篠山紀信(1940-)は、60年代後半より活動を始め、現在に至るまで膨大な数の作品を発表し続けています。本展では、「人と時代」「ポートレイト」「フェイム(名声)」をテーマに、アイドル、女優、俳優、スポーツ選手など、私たちもよく知る著名人たちの姿がずらりと並びます。それは篠山自身が、時代の「好奇心の装置」であり「メディア」でもあることを感じさせます。それぞれの写真は単なるポートレイトではなく、日本人が生きてきた時代や社会、環境が同時に写りこんでいるのです。「人(ピープル)」というシンプルな切り口で「日本人とは何か」を問いかける作品は、写真自体がひとつひとつの『事件』のように、観客の心に強く刻みこまれるものになるでしょう。


2012年 10月3日〜12月24日



写真家・篠山紀信(しのやま・きしん 1940-)の国内公立美術館初となる大回顧展を開催いたします。


篠山は、1950年代後半より写真家活動をスタートさせ、常に「今」を敏感に感じ取りながら時代のトップを走り続け、アイドル、俳優、スポーツ選手といった著名人、都市と建築、ヌードと自然、日本の伝統文化など多様なジャンルの写真を撮影、発信してきました。なかでも、時代の象徴となる人物を写したポートレートは膨大な数に上ります。


写真のメディア性に着目し、斬新な手法で時代を切り拓いてきた篠山にとって、写真とは、時代の先端を切り取り、時代に挑戦する生の表現でした。その想いが、これまで自身の写真を振り返ることをためらわせ、またそれ故に、篠山の写真を批評の文脈から捉えられにくくする傾向もありました。しかし今回篠山は、半世紀以上にも及ぶ活動のなかで、写真が時空、虚構をも超えて脳裏に強烈なイメージを焼き付ける装置、起爆剤であるとの信念から、写真がもつ力を、ポートレートという一見シンプルな切り口で、美術館というスペクタクルな空間を大胆に使い、迫力あふれるスケールで蘇らせます。



本展では、三島由紀夫ジョン・レノンオノ・ヨーコ山口百恵から、AKB48、2011年3月11日に起こった東日本大震災で被災された方々まで、「時代の映し鏡」である篠山が50年以上にわたり撮り続けてきた人々のポートレート約130点を一堂に展示します。
各時代を象徴する人々のイメージを通して、日本が歩んできた時代を、そして己を思い起こさせる「写真の力」を改めて問う、ドラマティックな展覧会にご期待下さい。

篠山紀信(しのやま・きしん)


1940年、真言宗円照寺の住職の次男として東京に生まれる。日本大学藝術学部写真学科に入学、並行して東京綜合写真専門学校に通う。
在学中の61年に広告制作会社ライトパブリシティ写真部に入社。大学卒業後に、『カメラ毎日』『アサヒカメラ』『話の特集』などの雑誌に作品を発表、66年東京国立近代美術館「現代写真の10人」展に選出される。76年、ヴェネツィアビエンナーレ日本館に『家』を出品。


雑誌『GORO』で女性グラビア写真を撮影した「激写」シリーズが人気を呼び、「激写」が社会現象となる。80年代に入ると『写楽』創刊に関わったほか、磯崎新との『建築行脚』シリーズ、「シノラマ」で都市の様相をとらえるなど多様なジャンルを展開する。91年には樋口可南子の写真集『Water Fruit』で「ヘアヌード論争」を、また宮沢りえの写真集『Santa Fe』がセンセーションを巻き起こす。


一方で、6代目三遊亭圓生、5代目坂東玉三郎を長年撮り続け、歌舞伎座のフィナーレを撮影した『THE LAST SHOW』を出版するなど、日本の伝統芸能に関する貴重な写真も数多く残している。最近ではデジタルカメラで撮影した写真と映像の新しい表現「digi+KISHIN」を展開する等、常に話題性のある作品を発表し、写真表現に新風を送り込んでいる。