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欧州最古の約4万800年前

artscene2012-06-14


 スペイン北部エルカスティージョ洞窟の壁画。赤い丸い模様が欧州最古の約4万800年前、手の形は約3万7300年前と推定された。動物らしい絵もある。


 スペイン北部にある世界遺産アルタミラ洞窟など11カ所の洞窟壁画をウラン・トリウム年代測定法で調べ直したところ、エルカスティージョ洞窟の壁に残る赤い丸い模様について新しい発見があった。これが遅くとも約4万800年前に描かれた可能性が高いことが分かり、英国のブリストル大などの欧州研究チームが15日付の米科学誌サイエンスに発表する。


http://www.sciencemag.org/content/336/6087/1409



 これまでは、フランス南部にあるショーベ洞窟の壁画が放射性炭素年代測定法で3万8800〜3万5300年前と推定され、欧州で発見された壁画で最古とされていたが、新年代測定法で塗り替えられた可能性がある。また、これは現代の人類である現生人類=ホモ・サピエンスに近い人類の祖先や、現生人類と同時期に地球上に生息していたネアンデルタール人が描いた可能性もある。



 研究チームはスペイン北西部にある11の洞窟に描かれた壁画50点について、壁画を覆っていた炭酸カルシウムの堆積物を、ウラン・トリウム年代測定と呼ばれる方法を使って調べた。赤い円盤形の壁画は4万800年、手の形をした壁画は3万7300年、棒の形の壁画は3万5600年以上も前のものであることが分かったが、今まで最古と考えられていた壁画より少なくとも4000年は古い。現代の人類に近い祖先が欧州に到達したのは4万2000〜4万1000年前だったとされる。さらに、芸術作品は人類の認知力や象徴的行動の進化を調べる上で貴重な手がかりとされ、言語の発達と関連付けられることもある。



 研究チームでは、ネアンデルタール人は狩猟や採取だけでなく壁画制作の能力も持っていた可能性があると見ており、今回の測定結果はこの説を裏付けるものだと解説するが、結論を出すためにはさらに調査を行う必要があるとしている。