Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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クモの糸を束ねたバイオリンの弦

artscene2012-04-21

クモの糸を研究している奈良県立医大の大崎茂芳特任教授(65)(生体高分子学)が、クモの糸を束ねたバイオリンの弦は、広く使われるナイロン製の弦より強く、音質も優れているとの調査結果を、米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」の最新号(13日発行)で発表した。既に各国の演奏家らから、問い合わせが寄せられているという。


 大崎教授は約35年間、クモの糸を研究しており、2年前に約1万本ずつより合わせた太さ0・75〜1ミリの弦を作ることに成功した。電子顕微鏡による調査では、より合わせることでクモの糸の断面は円形から多角形に変形することが判明。これによって円形のナイロンの弦に比べて強度は4割、弾性が3割増していた。音の周波数の解析では、高音域でナイロン弦の倍以上、強い音が出ることがわかった。プロ奏者にナイロンの弦のバイオリンと弾き比べてもらったところ、クモの糸の方が輪郭のしっかりした音で、柔らかく深みがあるとの評価を得た。