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快慶作の仏像が重文に

artscene2012-04-22


文化審議会宮田亮平会長)は20日高野山金剛峯寺が所有する鎌倉時代の仏像2体を重要文化財(重文)に指定するよう文部科学大臣に答申した。



 「木造執金剛神立像(もくぞうしゅこんごうしんりゅうぞう)」




 「木造深沙大将立像(もくぞうじんじゃたいしょうりゅうぞう)」

 
 和歌山県内の美術工芸品の国指定は7年ぶり。今回の指定を入れて県内の重文(美術工芸品)は305件となる。


 木造執金剛神立像は高さ約1・3メートル。昨年秋、仏像の首部分の内側に、鎌倉時代の仏師、快慶が使用した称号で「あん」と読む梵字(ぼんじ)と「阿弥陀(あみだ)仏」と書かれた墨書が見つかり、快慶の作品であることが判明した。


 木造深沙大将立像は高さ約1・3メートル。執金剛神立像と一対で造られ、同じく快慶の作品とみられる。いずれも国の重文に指定されている快慶作の「四天王立像」とともに高野山に安置されていた。


 これまで2像は写実的な表現など仏像の特徴から快慶一門の作品と見られていたが作者が分かっておらず、国の文化財指定は受けていなかった。古文書から2像を造らせたのが鎌倉初期の僧侶、重源であることも分かっており、作者や作品の背景が明確になったことで、文化財としての価値が高まった。



 ■ 登録有形文化財へ 和歌山市の旧松井家別邸

 このほか文化審議会は、和歌山市堀止西の「旧松井家別邸」を登録有形文化財にするよう答申した。旧松井家別邸は現在、飲食店チェーン「がんこフードサービス」(大阪市)の日本料理店「がんこ六三園」として利用されている。


 旧松井家別邸は大正から昭和初期にかけて造営された屋敷で、敷地の南側に庭園、北側に建物がある。質の高い和風建築が特徴的な玄関棟や座敷棟で構成する母屋のほか、洋風建築を取り入れた給水塔、浴室棟などがある。和風を主体としながら洋風を取り入れる当時流行した近代邸宅の特徴が残されている。


 登録有形文化財は近代の文化建造物を幅広く保護する制度で、指定に比べて規制が緩い。歴史的景観への寄与、再現が容易でないことなどを登録の基準にしている。