Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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奈良国立博物館

artscene2011-10-04





 http://www.narahaku.go.jp/exhibition/special.html



 現代に響く天平の音色…東京で正倉院フォーラム


復元楽器の音色を交えながら「正倉院の楽器と天平の音楽」の対談が行われた(2日)
 

 奈良時代の貴重な宝物を伝える正倉院奈良市)の魅力を語り合う「正倉院フォーラム2011東京」(主催・読売新聞社、NHK、後援・奈良国立博物館)が2日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開かれた。第63回正倉院展(10月29日〜11月14日、同博物館)を前に、約1000人の聴衆が熱心に耳を傾けた。



 フォーラムでは、湯山賢一奈良国立博物館長が基調講演し、「終戦直後に行われた第1回の正倉院展は多くの日本人を励ました。今年は東日本大震災があったが、連綿と続く日本文化を象徴する正倉院展が、被災者の励みになるよう願っています」と語り、正倉院展で展示される「金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうのからたち)」などを紹介した。



 続いて、正倉院の資料をもとに復元した楽器を使う演奏グループ「天平楽府(てんぴょうがふ)」が「平城(へいじょう)もみじ」や「仏国残照」など5曲を演奏。さらに、西山厚・同博物館学芸部長と天平楽府代表の劉宏軍(リュウホンジュン)さんが「正倉院の楽器と天平の音楽」をテーマに対談。楽器の実演を交えながら、天平時代へ思いを誘うエピソードを披露していた。






奈良国立博物館奈良市登大路町50番地)


会期 2011年10月29日(土)−11月14日(月)会期中無休



午前9時〜午後6時(入館は午後5時30分まで)


ただし、金曜・土曜・日曜・祝日は午後7時まで(入館は午後6時30分まで)


料金
当日     前売・団体 オータムレイト
一般     1000円 900円 700円
高校・大学生 700円 600円 500円
小・中学生 400円 300円 200円



※団体は責任者が引率する20名以上です。


障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。


※この観覧料金にて、なら仏像館および青銅器館もご覧になれます。


※オータムレイトは、閉館1時間30分前以降に販売する当日券の料金です。
(販売は当館当日券売場のみ)




本年の正倉院展は、北倉7件、中倉26件、南倉26件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の総計62件の宝物が出陳されます。正倉院宝物の全体が概観できるような内容になっておりますが、時機を得た宝物、仏教関係の宝物が充実致しております。また、初出陳も例年よりやや多く、17件を数えるのも注目されます。


 昨年東大寺金堂鎮壇具(とうだいじこんどうちんだんぐ)(国宝、奈良・東大寺所蔵)中の金銀荘大刀(きんぎんそうのたち)より光学調査によって「陰剣」、「陽剣」の銘文が発見され話題となったのは記憶に新しいところです。これらは宝物の献納(けんのう)目録である「国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)」に「除物」の貼紙がされ、宝庫より持ち出されたことはわかるものの行方がわからなかった「陰宝剣(いんのほうけん)」、「陽宝剣(ようのほうけん)」に比定されるものとして論議を呼びました。本年の正倉院展では、これに関係する品である、「陰宝剣」、「陽宝剣」の出蔵について記した文書「出蔵帳(しゅつぞうちょう)」が出陳されます。古代の名刀として高名な金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうのからたち)、大型の刀子(とうす)・斑犀把漆鞘銀漆荘刀子(はんさいのつかうるしのさやぎんうるしそうのとうす)など古式を伝える刀剣も併せてご覧いただけます。


 また聖武天皇が着装された可能性もある七条織成樹皮色袈裟(しちじょうしょくせいじゅひしょくのけさ)やその包みである御袈裟庶ク袷(おんけさのつつみのあわせ)、その容器である御袈裟箱(おんけさのはこ)、そしてこの箱を収めた御袈裟箱袋(おんけさのはこのふくろ)など一連の品が、復元模造とともに出陳されます。殊に模造七条織成樹皮色袈裟は平成19年〜21年度にかけ、3ヵ年度を費やして復元されたもので、正倉院宝物にしかみられない「織成」技法の復元に取り組んだ貴重な品です。このほか仏前を飾った荘厳具(しょうごんぐ)である金銅華鬘形裁文(こんどうのけまんがたさいもん)や纐纈布幡(こうけちぬののばん)、我が国最古級の密教法具として名高い鉄三鈷(てつのさんこ)などの仏具類、光明皇后称徳天皇が書写を発願(ほつがん)した経典など、聖武天皇光明皇后が推進した奈良朝仏教を考える上で重要な品々が並びます。


 さらに、香道が盛んになる中世以降「蘭奢待(らんじゃたい)」と呼ばれ、希代の名香として時の権力者にも珍重された黄熟香(おうじゅくこう)をはじめ、香木を材料に用いた沈香把鞘金銀荘刀子(じんこうのつかさやきんぎんそうのとうす)、表面に沈香の粉末を漆で練ったものを塗り込み、丁子(ちょうじ)などを半肉に埋めた沈香末塗経筒(じんこうまつぬりのきょうづつ)など、香に関する宝物が赤銅柄香炉(しゃくどうのえごうろ)・赤銅合子(しゃくどうのごうす)などの香炉類とともに出陳されるのも話題の一つです。



 このほか古代の染織技法の一つである臈纈(ろうけち)によって制作された宝物、碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)などの華やかな工芸品、地方自治体の戸籍や決算報告書、公文書の授受報告書など古代の生活をうかがい知ることのできる文書類、古代の東大寺の地図など、奈良時代を間近に感じることのできる宝物が充実致します