東京・上野 東京藝術大美術館
合掌 郡山市美術館
今、美術の力で ―被災地美術館所蔵作品から―
2011年8月2日(火)- 8月21日(日)
月曜休館
午前10時―午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場: 東京藝術大学大学美術館
観覧料: 無料
寄付金は公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団を通じて被災地域の文化財の救援と修理・保存に活用。
協力: 茨城大学、茨城県近代美術館、茨城県天心記念五浦美術館、いわき市立美術館、岩手県立美術館、郡山市立美術館、水戸芸術館、水戸市立博物館、宮城県美術館
企画協力: 小泉晋弥(茨城大学教授)
3月11日の東日本大震災と大津波によって、五浦海岸の岡倉天心ゆかりの六角堂が流失したことは、報道等で採り上げられ、文化財の被災を強く印象づけました。同時に該当地域の美術館・博物館も多く被災いたしました。震災から4ヵ月が経過した現在、すでに開館した施設もあれば、未だ開館の見通しの立たない施設もあり、被災の程度によって状況は様々です。復興の兆しは見えつつありますが、東北から北関東にわたる広大な被災地に点在する施設が、それぞれで復興の声を挙げるにしても、その声は相対的に小さなものとならざるをえません。
今回の展覧会では、被災地美術館の所蔵品から、この度の震災およびかつての震災や原発事故に関連する作品や、復興を支えるような表現をもった地元ゆかりの作家による作品などが選抜されています。これらを、今、一つの会場に結集することで、厳しい現状を乗り越えるエネルギーとしたいとの願いから本展は企画されました。幸い、茨城大学、茨城県近代美術館、茨城県天心記念五浦美術館、いわき市立美術館、岩手県立美術館、郡山市立美術館、水戸芸術館(水戸市立博物館)、宮城県美術館の9機関に賛同していただき、それぞれの立場で所蔵作品から本展出品作品を選んでいただきました。
集まったおよそ30件の作品群は、大きく3つのタイプに分かれます。
1)地元にゆかりの作家による代表的作品
2)五浦地域の被災に関連して岡倉天心ゆかりの作家、作品
3)チェルノブイリ原発事故以降の世相を反映した現代美術
各館の復興へ向けた取り組みは多様であり、今後の道のりも様々です。しかし、この度集結した作品には、困難に立ち向かっている方々の心に寄り添い、励ましと勇気とを与えてくれる力が満ちあふれています。それはまさしく「美術の力」というべきものだといってよいでしょう。
この展覧会が東京で開催されることによって、被災地域の美術館の現状を多くの方々に共有してもらう機会となるとともに、各館には復興を支えて行くであろう素晴らしい作品が所蔵されていることを知っていただける好機ともなるでしょう。
【展示構成】
◆セクション1 「復興期の精神」◆
中村彝 《髑髏の静物》 1923年|茨城県近代美術館
中村彝 《カルピスの包み紙のある静物》 1923年|茨城県近代美術館
荘司福 《祈》 1964年|宮城県美術館
斎藤隆 《西へ》 1991年|宮城県美術館
佐藤静司 《合掌》 1986年|郡山市立美術館
吉田清志 《雪待つ山(剱岳・八ツ峰)》 1993年|岩手県立美術館
本田健 《山あるき - 十一月》 2006-09年|岩手県立美術館
大沼かねよ 《雪を踏む》 1937年|宮城県栗原市教育委員会(宮城県美術館寄託)
◆セクション2 「岡倉天心 日本美術の再興者」◆
「旧六角堂、瓦・棟札」 | 茨城大学
「龍王丸(復元模型)」 | 茨城県天心記念五浦美術館
横山大観 《海暾》 1905年|茨城県近代美術館
横山大観 《朝霧》 1934年|茨城県近代美術館
木村武山 《小春》 1914年|茨城大学
平山郁夫 《日本美術院血脉図》 1965年|茨城大学
塩出英雄 《五浦》 1970年|茨城大学
平櫛田中 《五浦釣人》 1943年|東京藝術大学
◆セクション3 「美術の力」◆
アントニー・ゴームリー 《領域 XIII》 2000年|郡山市立美術館
佐藤潤四郎 《オブジェ・手》 1984年頃|郡山市立美術館
佐藤潤四郎 《オブジェ・仏足跡》 1984年頃|郡山市立美術館
宮島達男 《カウンター・ヒストリー》 1989年|いわき市立美術館
中村一美 《破庵29(奥聖)》 1997年|いわき市立美術館
河口龍夫 《関係―叡智・鉛の百科事典》 1997年|いわき市立美術館
河口龍夫 《関係―再生・ひまわりの種子とマムサスの歯》 1998年|水戸芸術館
マグダレーナ・アバカノヴィッチ《ベンチの上の立像》 1989年|水戸芸術館
小野隆生 《男のいる部屋でIII》 1998年|岩手県立美術館
小野隆生 《日付のない置き手紙》 1998年|岩手県立美術館
小野隆生 《みがかれた黒い靴》 1990年|岩手県立美術館