Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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群馬県立館林美術館

artscene2011-08-13


「生誕100年 藤牧義夫展」


 群馬県館林出身の藤牧義夫(1911−1935?)は、創作版画の分野で1930年代に活動した木版画家。

 
 1911年館林市に生まれ、少年期から絵の才能を示し、16歳で上京し働きながら独学で木版画を学ぶ。新版画集団に参加するなどして頭角をあらわし、1935年に行方が分からなくなった。一説には自殺とも言われるが定かではない。


 藤牧は、大震災後に復興した1930年代の東京の風景を、上野や浅草などの町並みを主題に、独特の彫りによる木版画で表現し、また近世の伝統を継承しつつ、現代的な感覚で隅田川などに取材する、10数メートルにも及ぶ白描絵巻4巻を描いている。ごく短い制作活動のゆえに、幻の版画家として一度は埋もれかけたが、1978年の展覧会(かんらん舎)により再び注目を浴び、以来関東圏や地元館林を中心に着実な調査が重ねられている。

 
 本展は生誕100年を記念して、群馬県立館林美術館と神奈川県立近代美術館との共同で企画。藤牧の生前に残された版画・素描・白描絵巻・資料の展示ならびに、白描絵巻の全貌を把握できる映像展示を加えて、作品・資料点数100点程度で構成する。

 
● 同時開催 コレクション展示「油彩その他」「近現代の彫刻I」


2011年7月16日(土)−8月28日(日) ※会期中一部展示替えをいたします

前期:7月16日(土)−8月7日(日)/後期:8月9日(火)−8月28日(日) 
時間 午前9時30分−午後5時 ※入館は閉館30分前まで


休館日 毎週月曜日

(8月15日は開館)


観覧料 一般500円、大高生250円
※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は 無料


協力 多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科研究室


巡回予定 神奈川県立近代美術館 鎌倉 2012年1月21日(土)−3月25日(日)


tinamini
過去、藤牧義夫の名前を冠した展覧会は、6回開かれた。
①1935年6月25日〜27日 「藤牧義夫版画個人展覧会」(神田 東京堂画廊)

 生前の藤牧義夫の最初で最後の個展だったが開催期間はわずか3日。正確な出品目録も残らず、開催のいきさつにも不可解な点が多い。藤牧が亡くったのはこの展覧会からわずか69日後である。


②1978年 1月〜 2月 「藤牧義夫遺作展」(銀座 かんらん舎) (2月 館林市民会館)

 忘れられていた藤牧義夫を発掘した記念すべき展覧会。


③1987年 7月〜 8月 「1930年代の版画家たちー谷中安規と藤牧義夫を中心として」(鎌倉 神奈川 県立近代美術館)

 初めての公立美術館での開催。


④1995年10月〜11月 「藤牧義夫 その芸術の全貌」(館林市第一資料館)

 副題にある通り、埋もれた藤牧作品を発掘・網羅その全貌に迫ろうとした最大規模の展覧会。



⑤1999年 9月〜11月 「藤牧義夫 」(阿佐ヶ谷 小野忠重版画館)

小野館が所有する藤牧作と称する作品展。



注  没後に開かれた②-⑤までの展覧会の出品作には、別人の手になる贋作、改ざん作が多数含まれていたことが明らかになっている。



⑥2008年 1月〜 2月新春特別展示 「藤牧義夫」(八重洲 かんらん舎)

藤牧の真作だけの初めての展覧会。