日展、全部門で最高賞の選考中止 不正審査問題で
Asahi
公募美術展・日展の「書」で入選数を有力会派に事前配分していた問題で、公益社団法人「日展」は2013年10月31日、国立新美術館(東京・六本木)で11月1日から始まる第45回日展において、書に加えて日本画、洋画、彫刻、工芸美術の全5科で最高賞の内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞の選考を中止する。31日に選考し、1日に発表する予定だった。最高賞が選ばれないのは史上初。
入選数の配分を指示したとされる書道界の権威で日展顧問の古谷蒼韻(そういん、89)が退会の意向を寺坂公雄(ただお)理事長(洋画)に伝えた。すでに展示していた顧問の作品は外した。
寺坂理事長は31日に記者会見し、日展幹部6人と外部有識者2人でつくる調査委員会の設置を発表。外部だけでつくるワーキンググループで朝日新聞が報じた2009年度の篆刻(てんこく)審査を中心に調べ、漢字やかななど他部門の審査員からも事情を聴く。09年度以外も調べる見通し。11月中に調査結果をまとめ、文化庁に報告する。
「報道は青天のへきれき。こんなことは許せない」
「鑑賞者にご心配をおかけすることは申し訳ないが、まずは作品を見に来て頂きたい」
と話した。
日展(日本美術展覧会)
http://www.nitten.or.jp/
http://www.nitten.or.jp/about/sr_daijinshou.html
Yomiuri
国内最大の公募美術展、日展の第5科「書」の2009年度の審査で、印を彫る「篆刻(てんこく)」の入選者数が有力会派に割り振られていた問題を受け、主催の公益社団法人・日展は10月31日、理事会を開き、東京・六本木で1日に開幕する今年度の展覧会では、幹部の評議員を対象とする内閣総理大臣賞・文部科学大臣賞と、日展会員賞を自粛することを決めた。
日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5科すべてが対象。社団法人主催に移行した1958年以降、これらの賞の選考を行わなかったのは初めて。
また、第5科「書」のトップで書家の古谷蒼韻(そういん)・日展顧問(89)は31日、顧問を辞任し、退会すると日展に伝えた。読売新聞の取材に対し、「日展全体の名誉を失墜させることになってしまい、責任をとらなくてはならないと考えた。ただ、私個人としては、審査過程で不正が行われた事実はなかったと信じている。今後、調査委員会できちんと調べていただきたいと心から願っている」と語った。