Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

浮世絵Floating World−珠玉の斎藤コレクション

artscene2013-05-24



会期 2013年6月22日(土)〜9月8日(日)
第1期:6月22日(土)〜7月15日(月・祝)
第2期:7月17日(水)〜8月11日(日)
第3期:8月13日(火)〜9月8日(日)
※会期中2回展示替を行います。

三菱一号館美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2


[交通案内]
3 minutes from Tokyo station (Marunouchi exit)

東京メトロ千代田線「二重橋前」駅・1番出口より徒歩3分
都営三田線「日比谷」駅・B7番出口より徒歩4分
JR「東京」駅・丸の内南口/ JR「有楽町」駅・国際フォーラム口より徒歩3分



開館時間 木・金・土10:00〜20:00
火・水・日・祝10:00〜18:00
*入館は閉館の30分前まで


休館日
月曜(但し、祝日の場合は翌火曜休館。9月2日は18時まで開館。)
主催 三菱一号館美術館、TBS


特別協力 川崎・砂子の里資料館
協賛 大日本印刷
協力 日本通運株式会社
お問合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
美術館サイト http://mimt.jp/


〒100-0005 東京都千代田区丸の内2−6−2
03-5777-8600

三菱一号館美術館

mimt.jp


2010年に開館した三菱一号館美術館は、これまで明治期に設計された建物の特性を活かし、近代市民社会の成立した19世紀の西洋近代美術中心の展覧会を開催してきました。今回は少々趣向を変え、「浮世絵」展を開催致します。「はかない世の中であるならば、せめて浮かれて暮らしたい」という江戸の人々の気分を反映した浮世絵。現実とも享楽の世界とも思える“Floating World”を鮮やかに描いた浮世絵は、好奇心のまま最先端の風俗や事象を捉え、江戸の人々に留まらず、19世紀には欧米の人々を魅了し、さらに現代の私たちの心をも浮き立たせる華やかな光景に溢れています。



本展は、江戸から明治までの、浮世絵の誕生から爛熟に至る全貌を、3期に分けてご紹介します。川崎・砂子の里資料館長斎藤文夫氏の膨大な浮世絵コレクションから選りすぐりの名品を展示するとともに、浮世絵の影響を受けたロートレック他の当館所蔵ヨーロッパ近代版画を対比させ、時代や地域を越えた浮世絵の普遍的な魅力に迫ります。

江戸時代、江戸城内濠と外濠の間に位置し、「大名小路」と呼ばれた主要大名の上屋敷が建ち連なった丸の内において、是非「浮世」の世界にタイムトリップして下さい。


1会期あたり約200点を展示。2回の展示替えごとに作品を総入れ替え。「これぞ浮世絵」と呼ぶに相応しい、浮世絵の全貌をお見せします。


19世紀欧米人が、浮世絵を飾っていた室内風景を追体験するかのような展示をお楽しみください。


現存唯一となる、鈴木春信《風流やつし七小町》の“揃い”[第1期出品]
葛飾北斎唯一の双六《鎌倉江ノ嶋大山新板往来双六》[第2期出品]
「浮世絵にスカイツリーが描かれていた?!」と話題沸騰の、歌川国芳《東都三ツ股の図》[第3期出品]


斎藤文夫氏

川崎・砂子の里資料館は、東海道の宿場として栄えた川崎宿の復興をめざし、2001年、旧東海道川崎宿に開館した。同館館長である斎藤文夫氏が蒐集してきた浮世絵コレクションを広く一般に無料公開し、川崎の文化拠点として注目を集める。そのコレクションは、東海道をはじめとする神奈川・川崎など斎藤氏の郷土に縁のある浮世絵のほか、世界的に希少な作品を含み、浮世絵の発生期から幕末、明治期以降の版画にいたる幅広いコレクションを形成している。内外の美術館・博物館などでの浮世絵紹介にも積極的で、2005年米ワシントンD.C.、2006年米メリーランド州ボルチモア市、2012年仏南西部タルン県アルビ市で浮世絵名品展を開催している。




第1期 浮世絵の黄金期


浮世絵が庶民の楽しみとして生まれた17世紀後半、その関心の視線は当世の風俗、とくに遊里や芝居町といった享楽の場所に注がれていました。菱川師宣は版本や肉筆で江戸風俗を描き、浮世絵の地位を確固たるものにします。
はじめ墨1色であった浮世絵は、明和期(1764-72)に多色摺の錦絵に発展します。鈴木春信は古典的な物語を、当世風の華奢な男女に見立てて(やつして)描きました。また勝川春章、鳥居派、喜多川歌麿らの絵師によって美人画や役者絵の数々が生み出されています。浮世絵は木版の大量複製によって安価で手に取りやすいメディアとなり、人々はそこに描かれた風俗を、雑誌のグラビアを眺めるようにして楽しんだのです。



1. 初代歌川豊国《初代市川男女蔵の曽我五郎》寛政11(1799)年 大判 錦絵 鶴屋喜右衛門
2. 東洲斎写楽《二代目市川門之助の伊達与作》寛政6(1794)年 大判 錦絵 蔦屋重三郎
3. 喜多川歌麿《柿もぎ》享和(1801〜1883)頃大判三枚続 錦絵 若狭屋与市
4. 勝川春章《東扇 初代中村富十郎娘道成寺》安永6(1777)年 間倍判 錦絵 岩戸屋源八
5. 喜多川歌麿《青楼十二時 続 丑の刻》寛政6年頃(1794) 大判 錦絵 蔦屋重三郎
6. 鈴木春信《風流やつし七小町 草子あらひ》宝暦後期(1751〜1764) 細判 紅摺絵 版元不詳




第2期 北斎・広重の登場

浮世絵においてはじめ背景でしかなかった風景表現は、天保年間(1830-44)に葛飾北斎の《冨嶽三十六景》や歌川広重東海道五拾参次之内》といったシリーズの作品によって、浮世絵の主要なジャンルとして確立されます。この背景には、名所図会によって各地の風物が紹介され、19世紀初頭には十返舎一九滑稽本東海道中膝栗毛』がヒットするなどして旅や行楽に対する関心が高まっていたことがありました。また透視図法による遠近描写や、ぼかしを使った摺りの技法が進歩するなど浮世絵の技術革新も見逃すことができません。これらによって四季折々の風情をともなった名所と風俗が描き出されることになります。



1. 葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》文政末〜天保初期(1818〜1844) 大判 錦絵 西村屋与八
2. 葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》文政末〜天保初期(1818〜1844) 大判 錦絵 西村屋与八
3. 初代歌川広重東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》天保5(1833)年 大判 錦絵 竹内孫八・鶴屋喜右衛門
4. 三代目歌川豊国・初代歌川広重《双筆七湯巡 宮の下》安政元年2月(1854) 団扇絵 錦絵 伊場屋仙三
5. 歌川国芳《縞揃女弁慶 安宅の松》天保15(1844)年 大判 錦絵 伊場屋久兵衛
6. 初代歌川広重《月に雁》天保初期(1830〜1844)年 中短冊 錦絵 川口屋正蔵










第3期 うつりゆく江戸から東京

浮世絵はどの時代においても、最先端の風俗を好奇心の赴くまま新奇な趣向に彩って描いてきました。
幕末から明治にかけて激動の時代、浮世絵は時代の鏡としてジャーナリスティックな側面を帯びることになります。
海外からの脅威を受けて幕藩体制が崩壊し、新しい国家の成立していくこの時代、横浜絵における開化の風物、ガス灯、洋風建築、鉄道、洋装の美人など新しい風俗が取材されました。
そんな中で明治9年(1876)から小林清親が東京の名所を描いたシリーズは、夕陽や街灯など時間や状況に応じた光の変化を微妙な陰影によって描き出し「光線画」と呼ばれました。
これらの作品は近代化する東京の姿の裏に、江戸へのノスタルジーをにじませています。



1. 小林清親《海運橋 第一銀行雪中》 明治9(1876)年頃 大判 錦絵
2. 初代歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》安政4年9月(1857) 大判 錦絵 魚屋栄吉
3. 初代歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋舗》安政4年9月(1857) 大判 錦絵 魚屋栄吉
4. 楊洲周延《真美人 十四》明治30(1897)年 大判 錦絵
5. 歌川芳員《亜墨利加蒸気船 長四十間 巾六間》文久元年4月(1861) 大判三枚続 錦絵 丸屋甚八
6. 歌川国芳《東都三ッ股の図》天保2(1831)年頃 大判 錦絵 山口屋藤兵衛
7. 初代歌川豊国《三都美人競艶 花魁立案図》江戸 文化期(1804〜1818) 絹本着色