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第33回 教会音楽講習会

グレゴリオの家 宗教音楽研究所
第33回 教会音楽講習会
2013年5月5日(日)〜6日(月・祝)
補習コース 5月4日(土)
グレゴリオ聖歌
ネウマ譜は、いまも私たちに語りかけている
「音で聴く聖書のことば、音で語る聖書のことば」
 グレゴリオ聖歌の最も重要で、かつ最古の資料は西暦900年初頭に記されたSt.Laon(239),
St.Gallen(359)Einsiedeln(121)などの写本があげられます。


これらの写本に記されている記号(ネウマ譜)は音の高低、つまりメロディは記されておりませ
んが、テキスト―聖書のことば―をどのように表現していたかが詳しく記されております。


このことから、典礼(礼拝)において彼らが聖書の言葉をいかに響かせて世に伝えようとしたの
か、聖書の言葉をいかに畏敬の念を持って唱えていたのかを窺い知ることができます。


ラテン語のテクストに記された記号(ネウマ)を読み取りながら、聖書のことばを歌う時、わた
くしたちは、その音に秘められている神のメッセージを深く味わうことになります。当時の人々
が持っていた音の響きへの感性に、また深い信仰にふれることにもなるのです。


中世の教父たちの神学と聖書の解釈に基づいて歌われた典礼の祈りの歌、グレゴリオ聖歌に記さ
れているネウマ譜は、指揮者の手ぶり身ぶりを記したものと考えられています。ネウマ譜は、わ
たくしたちを宇宙的な信仰の聖歌の世界に誘ってくれます。わたくしたちを新たな神への愛に目
覚めさせてくれます。


中世の修道者たちが世に響かせた神のことば、その語りを書き記したネウマ譜によって私たちが
歌うということは、再びあの神秘にあふれる信仰の歌を世に響かせることにつながると云えるで
しょう。それはキリスト教徒のみならず、現代に生きる人々にとっても、計り知れない精神的財
産となって心に残るものだと考えております。


グレゴリオの家 宗教音楽研究所
所長 橋本 周子