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藤田嗣治の遺作が一般公開

artscene2012-10-26


 藤田の妻の甥にあたる堀内雄也さんとアザン・ランス市長


 パリで活躍したエコール・ド・パリの日本人画家、藤田嗣治(つぐはる、レオナール・フジタ、1886〜1968)の未公開作品を含む遺作が22日、藤田が妻の君代さんとともに眠る仏ランス市に寄贈された。没後50年にあたる2018年に開館する予定の市立美術館に常設展示室が設けられ、一般公開される。


「自画像」(1922年)

 寄贈されたのは、09年に亡くなった君代さん所蔵の遺作のうち油絵や水彩画など計35点。パリの画壇で著名になり始めたころの「自画像」(1922年)をはじめ、滞在先のブラジルの女性を描いた「マンゴー」(32年)、「礼拝堂」(56年)、「猫」(63年)など。新美術館の開館までに、追加の寄贈も検討されている。


 「マンゴー」(左、1932年)と「裸婦」


 藤田は生前の日記に

「できればミュゼ(美術館)はつくって死にたい。画だけは散らさずに、そこに残したい。画が残せるのは芸術家画家としての誇りだ」

と書き残していた。ランス市への寄贈はその遺志を尊重したもの。



 寄贈式は市役所で行われ、藤田の妻のおいにあたる堀内雄也さん(72)とアドリーヌ・アザン市長が文書に調印。堀内さんは「故人は日記に『美術館を作りたい』と記しており、その思いをかなえられた。作品は分散させたくなかったので、大変うれしい」と話した。


 美術館は、藤田の遺体が埋葬される「フジタ礼拝堂」の近くに2018年オープンの予定。総面積約1万平方メートルの館内に、約240平方メートルの「フジタ展示室」が設けられる計画。藤田は1968年に死亡し、パリ近郊で埋葬されたが、2003年にランスで礼拝堂に改葬された。