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東洋の青磁

artscene2012-07-27




東京国立博物館140周年特集陳列 東洋の青磁



本館 14室 2012年5月15日(火) 〜 2012年7月29日(日)


重要文化財 青磁輪花鉢 南宋官窯 中国 南宋時代・12〜13世紀 横河民輔氏寄贈




青磁は東洋独特のやきものです。窯を使って素焼きの土器を焼成する際に、燃料の灰が器物の表面に降りかかるとガラス化して自然釉(しぜんゆう)を形成します。この現象に着目して、中国では早くも商時代前期(紀元前16世紀頃)に人工的に釉薬(ゆうやく)を施したやきものの生産が始まりました。灰釉(かいゆう)とよばれるこの釉薬が改良を重ね、むらなくなめらかで青い色を呈しているのが青磁なのです。

青磁後漢(ごかん)時代に成熟の水準に到達しました。これより元時代までの中国陶磁史は青磁を軸に展開したといっても過言ではありません。青磁は価値観の上でも頂点に位置し、宋時代には官窯(かんよう)が置かれて宮廷向けの青磁が焼かれました。

青磁の技術はやがて近隣諸国へと伝わります。とくに朝鮮半島において高麗(こうらい)時代(918〜1392)に高度の発達を遂げ、独特の透明感をたたえた青磁は「翡色(ひしょく)」の名で賞賛されました。

青磁の青い色は、何か特殊な成分が加えられたことによる発色ではありません。胎土や釉薬に含まれる微量の鉄分が、窯の中で酸素の供給が制限された状態で焼成されることにより呈する色です。青磁は色や艶に産地や時代の特色があらわれます。この特集では中国、朝鮮、ベトナム、タイ、そして日本の青磁を一同に展示いたします。各地で独自の発達を遂げた青磁の美をお楽しみください。

担当研究員の一言

東洋各地の青磁の優品が一堂に揃い踏みするまたとない機会です。是非お見逃しなく。/今井敦

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主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
国宝 青磁下蕪瓶 中国 南宋時代・13世紀 東京・公益財団法人アルカンシエール美術財団
青磁透彫唐草文箱 朝鮮 高麗時代・12世紀
重要文化財 青磁四耳壺 中国 法隆寺伝来 唐時代・7世紀
重要文化財 青磁輪花鉢 南宋官窯 中国 南宋時代・12〜13世紀 横河民輔氏寄贈
重要文化財 青磁螬形瓶 南宋官窯 中国 南宋時代・12〜13世紀 広田松繁氏寄贈
重要文化財 青磁茶碗 銘馬蝗絆 龍泉窯 中国 南宋時代・13世紀 三井高大氏寄贈
青磁牡丹文大皿 鍋島 江戸時代・18世紀
パンフレット


東洋の青磁

会期中、本館14室にて配布しています。
※なくなり次第、配布は終了します。
PDF(PDF, 6.40MB)

http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2012/05/28/%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E3%81%AE%E9%9D%92%E7%A3%81/


関連事業<講演会・講座> 東京国立博物館140周年月例講演会 「東洋の青磁
平成館 大講堂 2012年6月9日(土) 13:30 〜 15:00 <列品解説> 国宝 青磁下蕪瓶について
本館 14室 2012年6月1日(金) 18:30 〜 19:00