バーン=ジョーンズ展 ― 装飾と象徴
【美術展】「バーン=ジョーンズ展 ― 装飾と象徴 ―」
三菱一号館美術館/物語や神話を美しく劇的に描いた画家
バーン=ジョーンズ展 ― 装飾と象徴 ―
会期: 2012年6月23日(土)〜8月19日(日)
会場: 三菱一号館美術館
主催: 三菱一号館美術館、東京新聞
後援: ブリティッシュ・カウンシル
協力: 日本航空、J-WAVE
サー・エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ (Sir Edward Coley Burne-Jones, 1833年8月28日 - 1898年6月17日)
神話などの世界を美しく、劇的に描いた画家。今回が日本初の個展。
バーン=ジョーンズはイギリスの工業都市バーミンガムで額縁職人の家に生まれ、オックスフォード大学で生涯の友ウィリアム・モリスと出会い、1861年にはアーツ・アンド・クラフツ運動の起点となる共同事業を創始する。19世紀末には、その詩情に溢れた静謐な画風によってヴィクトリア朝絵画の頂点を極める。
バーン=ジョーンズの活動については、これまでラファエロ前派やモリス商会との関わりから注目されることが多く、その全体像が十分に把握されてきたとはいえない。
元々聖職をめざしていたバーン=ジョーンズが芸術の道へと転換したのは、モリスと北フランスの大聖堂を巡った1855年。翌年、大学を去ったバーン=ジョーンズは、ラファエル前派を代表する画家、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティに弟子入りし、美術批評家ジョン・ラスキンの導きでイタリア美術を学ぶ。
このロセッティの弟子であり、画風も似ていることからバーン=ジョーンズもラファエル前派と絡めて論じられることが多いが、バーン=ジョーンズが弟子入りした頃、ラファエル前派は事実上解散していたので、バーン=ジョーンズ自身をラファエル前派と評価することは実際は言い難い。
ロセッティも美しい女性を描きますが、顔が少し男性的という特徴があり、バーン=ジョーンズもその傾向がある。
日本初個展としてバーン=ジョーンズの全貌に迫るべく、ランカスター大学ラスキン図書館・研究所長スティーヴン・ワイルドマン氏を監修者に、世界屈指のコレクションを収蔵するバーミンガム美術館の協力をとりつけて、油彩画、水彩画、素描、貴重書、タペストリーなど、国内外から厳選した約80点を聖書・神話・物語のテーマごとに展示している。バーン=ジョーンズ芸術の真髄を伝える代表的連作が紹介される。
『果たされた運命−大海蛇を退治するペルセウス』
連作『ペルセウス』より 1882年頃
ギリシア神話の半神の英雄ペルセウスをテーマとした連作の1点。大海蛇を倒し、生贄として鎖につながれていたエチオピアの女王アンドロメダを救うシーン。甲冑のデザインの装飾性も際立ち、アンドロメダの白く美しい裸身との対照が見事。
『メドゥーサの死 ?』 連作「ペルセウス」より 1882年
ペルセウスは、その顔を見ると石に変えられてしまうという、蛇の頭髪の怪物メドゥーサの退治を王から命じられ、首を切り落とした。今まさに首を抱えて去ろうとするシーン。
ペルセウスーは一番右、その足元に倒れているのが斬首されたメドゥーサ。最も左の女と、中央の羽をつけた女は、メデューサの二人の姉、ステンノーとエウリュアレー。メドゥーサは三女に当たり、ゴルゴーン(ゴーゴン)三姉妹と呼ばれている。
『ピグマリオンと彫像』シリーズの1点でピグマリオン(ピュグマリオーン)はギリシア神話に登場するキプロス島の王(男)。この絵には当のピグマリオンは描かれていない。
『眠り姫』−連作「いばら姫」より 1872-74年頃
洗礼の日から100年の眠りにつかされた王女が、美しい王子によって目を覚まされる物語。1891年公開された時にはロンドンの観衆が熱狂したという、バーン=ジョーンズの代表作。
『慈悲深き騎士』1863年
11世紀のフィレンツェの騎士物語をテーマに描いた一枚。仇敵に出会った折、復讐せずに許しの行為をしたとしてイエス・キリストから慰めを受ける騎士を描いている。
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