Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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■明治時代初期に作られたとみられる地球儀

 直径33センチが京都市内で見つかった。地名などすべてが手書き。古地図を多数所蔵する神戸市立博物館などが調査したところ、大海に浮かぶ小島の名称や人口も細かく記されておりこれまで国内で確認された手書きの地球儀約30点(17〜19世紀)より精細だった。これほど詳しく書かれたものは確認されておらず、貴重だと驚かれている。



 
 京都市内で6月にあった道具市で、同市中京区の主婦が購入した。日本は「大日本」とあり、陸地部に奥羽、中国、四国、九州と墨書し、各地の地名も詳しく記載。南大西洋に浮かぶセントヘレナ島は「聖ヘレナ島 英ニ属ス 人口五千人」とし、1869年開通のスエズ運河も描いている。


 
 球状の張り子に顔料を塗り、さらにその上から彩色し、文字を書き込んでいる。地形や表記などは、江戸時代末の61年、幕臣勝海舟の弟子で鉄道敷設などに尽力した蘭学者・佐藤政養(1821-77年)が作製した地図「官許新刊輿地全図」と酷似。地球儀の余白には「北川嘉七模造」という製作者名があり、この人物が佐藤の地図をもとに作ったとみられる。


 北川の名前の脇には、72年(明治5年)に誕生した「三重縣(県)」の住所表記がある。また京都は「西京」、大阪は「大坂」と、77年(同10年)頃まで使われた表記を用いていることから、同博物館は、地球儀が72-77年の間に製作されたものと判断した。