Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

インド ダヤニータ・シン展


東京・資生堂ギャラリー


2011年10月22日(土)-12月18日(日)


インド出身で同地を活動の拠点とする女性写真家、ダヤニータ・シンの個展を開催。



 これまでに、イギリスの出版社・シュタイドル等から数々の作品集を出版。2003年にはドイツ・ベルリンのハンブルガー・バーンホフ現代美術館、2010年にはスペイン・マドリードのマプフレ財団で個展を開催、2011年にはフランス・パリのポンピドーセンターで開催された「パリ―デリー―ボンベイ」展、第54回ベネチア・ビエンナーレのアルセナーレに出展するなど、欧米を中心に活躍している。



 ダヤニータ・シンは、1961年インド・ニューデリー生まれ。1980年から86年まで、アーメダバードの国立デザイン大学で学び、1987年から88年まで、ニューヨークのICP(国際写真センター)でフォト・ジャーナリズムとドキュメンタリー写真を習得しました。その後、フォト・ジャーナリストとして様々な雑誌や新聞のための仕事をしています。



 彼女の初期の作品は、世界的に有名なタブラ(北インドの太鼓の一種)奏者、ザキール・フセインの写真集〈1986〉、やインドの第三の性と呼ばれている一人のユーニック(去勢された男性)の生活を追った作品「Myself Mona Ahmed」(私自身 モナ・アフメド)〈2001〉などドキュメンタリーの作品で知られています。その後、カルカッタの女性たちの肖像を撮った「Privacy」(プライバシー)〈2003〉、工場を撮影した「Blue Book」(青い本)〈2009〉など、テーマに基づいた作品を制作し、そのつど本(作品集)を出版しています。彼女にとって出版物の制作は展覧会と同じように重要であり、作品の見せ方を模索してきました。



 作品を提示する理想的な方法として、彼女は2、3年前から冒険的な試みを始めています。その方法は、撮り集めた写真のなかから、彼女なりの関係性を求めて写真を組み合わせることによって新たな物語を紡ぐ手法で、写真の1枚1枚をイメージとして捉え、それらを組み合わせてグループで見せることによって1つの作品として成立させます。彼女は文学に造詣が深いこともあり、小説家が自分の経験や記憶、空想を取り混ぜて作品を書くように、ドキュメンタリーとして撮られた写真からフィクションを作り出すことを試みています。しかし、自分のストーリーを鑑賞者に押し付けるわけではなく、作品を見る人たちがそれぞれに個人的な解釈をしてもらうことによって写真に広がりをもたせたいと思っています。



 新作「House of Love」(愛の家)と未発表の作品「Adventures of a Photographer」(ある写真家の冒険)の2つのシリーズを展示します。「House of Love」は、撮りためた写真からフィクション(物語)を生み出す方法を本格的に試みた作品で、小説のように写真をいくつかの章に分け、一つの大きな物語を形成しています。
「Adventures of a Photographer」は、これまで彼女が制作してきた複数のシリーズからそれぞれ代表的なイメージを選び並べるという回顧的な要素を持つとともに、現在の視点を加えて自らの作品を再編集するというシリーズです。写真のイメージと共に「彼女」を主語としたフィクションの文体で、これまでの写真家としての道程を自らが書き下ろしたテキストと合わせて展示します。彼女のキャリアの重要な断片が新鮮な作品としてあらわれる作品です。


 彼女自身の写真(ドキュメンタリー)の境界を越えた物語(フィクション)を作り出すという、ユニークな方法を駆使する写真家、ダヤニータ・シンを紹介する展覧会です。



 ■ ダヤニータ・シン (Dayanita Singh)略歴

 1961年インド、ニューデリー生まれ。


主な個展

2011 House of Love, Peabody Museum, Boston
Dayanita Singh, Museum of Modern Art, Bogota
2010 Dream Villa, Nature Morte, New Delhi
Dayanita Singh, Mapfre Foundation, Madrid
2009 Blue Book, Nature Morte, New Delhi
2008 Ladies of Calcutta, Bose Pacia gallery, Calcutta
Sent a letter / Go Away Closer - Hermes traveling show New York, Berlin, Paris
2007 Go Away Closer, Kriti Gallery, Banaras
2006 Beds and Chairs, Valentina Bonomo Gallery, Rome
2005 Chairs, Isabella Stewart Gardner Museum, Boston
2004 Privacy, Rencontres d'Arles, Arles
2003 Dayanita Singh: Privacy, Nationalgalerie im Hamburger Bahnhof, Berlin
Myself Mona Ahmed, Museum für Indische Kunst, Berlin
2002 I am as I am, Myself Mona Ahmed, Scalo Galerie, Zurich
2001 Empty Spaces, Frith Street Gallery, London
2000 Demello Vado, Saligao Institute, Goa
1999 Mona Darling, Venezia Immagine, Venice
1998 Family Portraits, Nature Morte, New Delhi
1997 Images from the 90s, Scalo Galerie, Zurich



主なグループ展


2011 Illuminations, Venice Biennale, Venice
Paris - Delhi - Bombay, Pompidou Centre, Paris
2010 Today Art Museum, Beijing
2008 Blue series, Manifesta 7, Bolzano
Go Away Closer, Gwangju Biennale, Gwangju
Indian Highway, Serpentine Gallery, London
2007 Private / Corporate, Sammlung Daimler Chrysler, Berlin
2006 Sub-Contingent, Fondazione Sandretto Re Rebaudengo, Turin
The Eighth Square, Ludwig Museum, Cologne
2005 Presence, Sepia International, New York
Edge of Desire, Asia Society, New York
2004 Ten Commandments, Stiftung Deutsches Hygiene-Museum, Dresden
2002 Red Light, Australian Center for Photography, Sydney
Kapital und Karma. Aktuelle Positionen indischer Kunst, Kunsthalle, Vienna
2000 Century City, Tate Modern, London
1999 Another Girl, Another Planet, Greenberg Gallery, New York
1997 Out of India: Contemporary Art of the South Asian Diaspora, Queens Museum of Art, New York
1995 So many worlds - Photographs from DU Magazine, Holderbank, Aargau, Switzerland



出版物


Zakir Hussain, Himalayan Books, 1986
Myself Mona Ahmed, Scalo Verlag, 2001
Privacy, Steidl, 2003
Chairs, Steidl, 2005
Go Away Closer, Steidl, 2007
Sent a Letter, Steidl, 2008
Blue Book, Steidl, 2009
Dream Villa, Steidl, 2010
Dayanita Singh, Penguin studio and Mapfre Foundation, 2010
House of Love, Radius Books and Peabody museum Press, 2011



■関連企画



アヴィーク・セン(インド在住ジャーナリスト)が、ダヤニータ・シンの作品の魅力について語ります。ダヤニータ・シンの古い友人で、彼女のすべての出版物に作品解説等のテキストを寄稿しています。



2011年10月22日|土|13:00〜15:00   (10月14日|金|締切)
場所: ワード資生堂 (東京銀座資生堂ビル9階)
定員: 60名  無料
備考: 英語から日本語への逐次通訳付き
お問い合わせ: 資生堂ギャラリー  tel.03-3572-3901 fax.03-3572-3951
■ダヤニータ・シン展 ある写真家の冒険 開催要項


http://www.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/index.html




会場:資生堂ギャラリー


〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階


Tel:03-3572-3901 
Fax:03-3572-3951


平日 11:00-19:00 

日曜・祝日

11:00-18:00 

毎週月曜休 入場無料