Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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東京と世田谷区・静嘉堂文庫

artscene2011-10-10



朝鮮陶磁名品展−高麗茶碗、漆工芸品



青磁象嵌葡萄文瓢形水注」 →


高麗時代 12世紀後半-13世紀



 静嘉堂文庫美術館(世田谷区岡本2)で企画展「朝鮮陶磁名品展」が開催されている。


 朝鮮陶磁をテーマにした展覧会は、1992年の同館開館以来10年ぶり3回目。同展では、高麗(こうらい)時代(918年〜1392年)から朝鮮時代(1392年〜1910年)を中心に、韓国陶磁史の概略を、同館所蔵の高麗青磁、朝鮮時代の粉青(ふんせい)や白磁、青花磁器(染め付け)、日本の茶人たちが賞美した「高麗茶わん」を約80点、そのほか朝鮮時代の螺鈿(らでん)漆器や華角張(かかくばり)工芸など約10点を展示する。



 高麗時代は、仏教の信仰があつく貴族文化が花開いた時代。『翡色(ひしょく)』と呼ばれる独特の青緑色をした『高麗青磁』が誕生した。素地(そじ)に文様部分を削り込み、そのへこんだ部分に赭土(あかつち)や白土を埋め込み、文様を表す『象がん』呼ばれる技法が特徴である。土の成分や焼成温度によって微妙に色が変わるが、全体が青緑色でないものもきれいに保管・伝承されており、『高麗青磁』がいかに高度な技術が要求され貴重なものとされていたかがうかがえる。



 朝鮮時代は、儒教を国家理念とし、清浄・潔白性・倹約などを人々に求めたこともあり、白い色彩への嗜好(しこう)が高まったとされている。こうした社会の変革や美意識の変化を受けて、陶磁器も白化粧を器面に施し、象眼などで装飾後、灰青色の白磁釉などをかけて焼成する『粉青』と呼ばれる技法が主流となった。さらに時代が下ると、装飾の技法が工具による刻門から筆による絵文様へと大きく転換しているのが特徴ということができる。

 

 韓流ブームの影響もあって、韓国の陶磁史に興味がある方が増えている。本展では、韓国における窯址(あと)発掘調査や沈没船資料なども参考に、当館所蔵品の制作年代、産地などを可能な限り地図で示すなどして展示している。



 開館時間
 10時〜16時30分(入場は16時まで)。
 
 月曜休館(祝日の場合は開館、翌火曜休館)

 入場料は、一般=800円、高校生・大学生=500円、中学生以下無料


 司書による列品解説も行う(10月29日と11月5日=11時〜、10月20日・11月17日・12月1日=14時〜)。12月4日まで。


 〒157-0076 
 東京都世田谷区岡本2-23-1  静嘉堂文庫美術館
 TEL.03-3700-0007



◆開館時間
午前10時〜午後4時30分(入館は午後4時まで)



◆休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館し翌火曜日休館)。ただし、展覧会によっては前後期の展示替作業のため、臨時に休館することがあります。詳しくは展覧会のページをご覧ください。
展覧会期間以外は休館です。常設展示はございません。



◆入館料
一般800円 大高生500円 中学生以下無料
(一般・大高生は20名以上団体割引あり)

◆アクセス
最寄り駅は東急田園都市線大井町線二子玉川駅




静嘉堂の東洋陶磁PARTⅢ
朝鮮陶磁名品展 ― 高麗茶碗、漆工芸品とともに ―
10月1日(土)〜12月4日(日)



休館日 毎週月曜日(但し10月10日は開館)、10月11日(火)


開館時間 午前10時〜午後4時30分(入館は午後4時まで)


入館料 一般800円・大高生500円(20名以上団体割引)
中学生以下無料



仏教に信仰篤く、貴族文化が花開いた高麗時代の朝鮮半島では、中国越窯青磁の影響を受け、「翡色」と称される独特の青緑色をまとう高麗青磁を誕生させました。14世紀末、儒教を国家理念とする朝鮮王朝の時代を迎えると支配者層の美意識も変容します。粉青技法が登場し、15世紀からは白磁と青花(染付)が官窯生産の主流となります。本展では朝鮮陶磁の流れを館蔵の優品からたどるとともに、高麗茶碗などの茶道具、そのほか朝鮮王朝時代の螺鈿漆器、華やかな絵文様を表す華角張工芸などもあわせ展示いたします。



講演会「日本人の好んだ朝鮮陶磁」

日時 11月12日(土) 午後1時30分から
場所・定員 地階講堂にて先着150名
演題 「日本人の好んだ朝鮮陶磁」
講師 片山 まび 氏(東京藝術大学 准教授)




学芸員による列品解説(展示室または地下講堂にて)

午前11時から 10月8日(土)・10月29日(土)・11月5日(土)
午後2時から 10月20日(木)・11月17日(木)・12月1日(木)

※講演会、列品解説ともに聴講は無料ですが、入館料を別途お支払ください




図録『静嘉堂蔵 朝鮮陶磁と漆芸の名品』

本展開催に際しまして、図録『静嘉堂蔵 朝鮮陶磁と漆芸の名品』(1,800円)を刊行いたしました。本展出品作品のうち高麗茶碗を除く88点を含め、合計96点を掲載しています。
また、完売につき販売終了しておりました図録『静嘉堂の茶道具 茶碗』(2,000円)を増刷して販売いたします。こちらは今回出品されている高麗茶碗のほかにも、国宝の曜変天目茶碗など81点の作品を掲載しています。





主な出品作品


青磁象嵌菊花文盞・托  高麗時代 12世紀後半〜13世紀


左:青磁輪花皿  高麗時代 12世紀
右:粉青象嵌牡丹唐草文瓶  朝鮮時代 15世紀


鉄砂雲龍文壺  朝鮮時代 17世紀


青花辰砂牡丹文壺・青花牡丹文壺  朝鮮時代 19世紀


左:重文 井戸茶碗 越後  朝鮮時代 15世紀
右:華角張十長生文箱  朝鮮時代 18世紀



●  大塚国際美術館、 3人に完成品を授与 
   思い出の写真や絵を陶板に 徳島県

 
 鳴門市の大塚国際美術館で8日、一般から募った思い出ある絵画や写真を、半永久的に残すために陶板にするイベントの授与セレモニーがあった。大地震に見舞われたニュージーランド(NZ)のクライストチャーチ大聖堂の写真を応募した高松市の会社員、遠藤美保さん(36)ら3人に完成した陶板が手渡された。


 イベントは同美術館が毎年開き、今年は全国から20人が応募。陶板化で2000年以上、色あせず保存が可能う。昨年までセレモニーでは本人から写真などを預かっていたが、今年から完成品を渡す形式にした。


 遠藤さんは短大生だった18年前、語学研修でクライストチャーチ市に滞在。現地ではホストファミリーに温かく迎え入れられた。大聖堂も思い出深い場所となったが、今年2月の大地震で倒壊。幸いにもホストファミリーは無事だったが、遠藤さんは変わり果てた街の姿を映像で見て涙を流したという。


 写真は当時、撮影したもので、陶板を受け取った遠藤さんは「思い出が詰まった場所。いつかお世話になったホストファミリーに贈りたい」と語った。遠藤さんのほか、死去した父親が生前に描いた絵で応募した鳴門市の自営業、四宮千代さん(60)と、手足のしびれなどをもたらす難病の多発性硬化症と闘い、日ごろから世話になる介助犬の絵で応募した東みよし町の色鉛筆画家、川上和彦さん(44)に、完成した陶板が贈られた。