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盗難のルノワール絵画、サザビーズの競売で落札

artscene2013-08-04


Madame Louis Valtat Nee Suzanne Noel

Pierre Auguste Renoir


 2000年に東京都世田谷区の住宅から盗まれたルノワールの油絵が2013年2月、英国の競売大手Sazabys=サザビーズによる競売に出品され、約105万ポンド(約1億5千万円)で落札されていた。


 この事件は警視庁成城署が窃盗事件として捜査したが、今も容疑者は特定されていない。海外には盗難美術品のデータベースがあるが、この油絵は登録されておらず、競売会社の盗品チェックもすり抜けたとみられる。盗まれた名画をめぐる国際協力の在り方に課題を残している。


 油絵はルノワールが知人の画家の妻を描いた「マダム・ヴァルタ」で、1903年制作。2000年8月、帰宅した世田谷区の男性が、シャガールの油絵「花束」や日本画家の故平山郁夫氏の「法隆寺の塔」など5点とともになくなっているのに気付いた。


 競売は今年2月5日にロンドンであり、落札されているのに気付いた男性が3月、警視庁などに問い合わせて発覚した。男性は返還を求める意向だが、購入者の特定や返還請求の期限の問題があり、取り戻すのは難しい。サザビーズは取材に対し、顧客情報は極秘として出品者や落札者を明らかにしていない。また、警視庁への捜査にも協力していない。

 「(出品時の)調査では出品者は正当な持ち主で、保証もあった」と主張している。

 出品者は2000年に絵を取得したといい、盗まれてから短期間のうちに買い手が付いたとみられる。盗難品の可能性についてサザビーズは「調査中で、関係者と協議している」と説明している。