ターナー展 Turner from the Tate: The making of a Master
18世紀後半から19世紀半ばにかけて活躍し、今なおイギリスを代表する画家と称されるJ.M.W.ターナー(1775−1851年)。日本でまとめて作品を見る機会が少ないターナーの、待望の回顧展です。
弱冠26歳にして英国王立アカデミーの正会員に選出されたターナーは、生涯にわたって英国ロマン主義を牽引しました。近代西洋絵画における風景画の地位を飛躍的に高め、モネやピサロなど後の印象派の画家にも多大な影響を与えました。
本展はターナー作品約2万点を所蔵し、世界最大のターナー・コレクションを誇る英ロンドンのテート美術館から、油彩の代表作30点以上のほか、水彩など約70点を紹介し、西洋美術史上に輝く巨匠の足跡を振り返ります。
若き日の「自画像」をはじめ、画壇で評価された「グリゾン地方の雪崩」、17世紀の画家クロード・ロランへの憧憬がよく表れている名作「レグルス」などが来日。「チャイルド・ハロルドの巡礼−イタリア」は、夏目漱石が小説「坊っちゃん」で言及したとされることでも知られます。さらに、壮年期以降ターナーの心をとらえ続けた伊ヴェネツィアの街を主題とした「ヴェネツィア、嘆きの橋」のほか、光や大気まで描くかのような独自の画風を展開する晩年の傑作「平和−海上の儀式(水葬)」、後の抽象画をも想起させる革新的な最晩年の作品まで、ターナーの画業の全貌を網羅します。