コートールド美術館 Samuel Courtauld
コートールド美術館
- 44 (0) 20 7872 0220
galleryinfo + @ + courtauld.ac.uk
Somerset House, Strand, London WC2R 0RN
館長 エルンスト・ヴェゲリン
電話番号 020 7848 2526
営業時間 10:00-18:00 (最終入場は17:30まで)
休業日 12/25、12/26
料金 大人5ポンド
特別割引料金4ポンド=60歳以上および留学生
※月曜の午前10時から午後2時までは入場無料(祭日を除く)
http://www.courtauld.ac.uk/gallery/languages/jp/index.shtml (日本語)
その他の情報 (12/24と12/31)10:00-16:00、(1/1)12:00-18:00
※フラッシュと三脚を使用しない限り、館内での写真撮影は可能。ビデオ撮影は禁止。
交通 access
地下鉄テンプル(Temple/ディストリクト、サークル線)駅下車。
テンプル・プレイスの通りを西に進み、突き当たったらサーレー・ストリートを北上。
バスなどが走る大通りストランド(通り)を左に進む。駅から約7〜8分。
Charing Cross駅、Embankment駅、Covent Garden駅も徒歩圏内。
http://en.wikipedia.org/wiki/Samuel_Courtauld
コートールド・ギャラリー (Courtauld Gallery) とはロンドンのウェストミンスター地区にある美術館。1932年に実業家のサミュエル・コートールド(英語版)のコレクションを元に設立された。コートールドは当時まだあまり注目されていなかった印象派を中心に収集していた。その後いくつかの個人コレクションを加えて現在の形となった。
形式上、厳密にはロンドン大学附属コートールド美術研究所 (Courtauld Institute of Art) の美術館でありサマセット・ハウス内に設けられている。サマセット・ハウスの中庭にはアイススケートリンクがあり冬にはスケートを楽しむことができる。小規模な美術館であるが印象派や後期印象派のコレクションが先駆的に収集されてきた美術館である。
17世紀絵画、ティエポロと18世紀ベネチア絵画、18世紀肖像画と風景画
19世紀絵画、コートールドの銀器コレクション
オランダ絵画
所蔵作品数
約500点の油彩、約6,000点のドローイング、約26,000点の版画類
サミュエル・コートールド
最高の印象派芸術を英国にもたらした実業家
サミュエル・コートールドは、1876年生まれ。父方の家系は代々、銀細工を生業としていたフランスのプロテスタントであり、19世紀初頭に絹織物業に転じて英エセックスに工場を設けた。第一次世界大戦後、人工絹(人工シルク、レーヨン)の生産に乗り出して巨万の富を築いて大企業に発展。コートールドはパブリックスクールであるラグビー校を卒業後、父を助けて家業に携わり、1921年から1947年に亡くなるまで会長を歴任している。
46歳でルノアールの「靴の紐を結ぶ女」を美術作品として初めて購入して以来、美術品収集に力を入れた。収集購入はほぼ印象派一筋に100点あまり。ポール・セザンヌが友人へ宛てた直筆手紙など、画家の手紙収集でも著名である。
セザンヌの風景、静物画はおよそ10点あるが、当時セザンヌは英では酷評されていた画家だった。ドガ、モネなどは受け入れられつつあったものの依然として後期印象派へは抵抗が強かった。セザンヌは良くても下手な画家、悪くいえば詐欺師といわれていた時代である。
セザンヌとコートールドは、ロンドンのバーリントンクラブでロジャー・フライが開いた過去100年の印象派という展覧会の会場でセザンヌに出会いその才能を評価。伝統絵画ではなかったが冒険的購入として「石膏像のある静物」を初めて購入した。
「アヌシ一湖」1896年 フランスの山麓の佇まいを描いた絵であり、当時8000ポンドで購入された。
「サント・ヴィクトワール山」 1887年 セザンヌのふるさと 1925年後購入し、その後、9年後に英ナショナルギャラリーに貸し出すことになった。当時、セザンヌ作品の英における初公開の機会であった。その際、コートールドは、
「英でセザンヌが認められることに手助けできてこの上なく幸せです。」
と挨拶しているが、概してコートールドは、自身が収集した絵画についてはほとんどあれこれ語っていない。
1931年、妻に先立たれショックで収集が鈍ったが、その後、自宅にコートールド美術研究所を開設。これが今、サマセットハウスに研究部門が移転している。英最古の歴史を持つ美術研究所であり、フレスコ画や油彩を学ぶコースもあってコートールドの意志は継承されている。
マネが描いた人生最後の大作、「フォリー・ベルジェールのバー(1881−82)」はマネが良く通ったバーを描いた作品。悲しく、空しい都会の夜のつかの間の美が描かれた人気作。1882年、サロンに出展されたが、当時はこのモデルになった女性店員について、退屈、悲しがっている、すねている、あるいは明るく生き生きとしているなどと色々批評家にいわれて話題になった。この絵は、見るものの気分を反映する力があり、詩的、美術史的にも重要であるが、同時に非常に主観的、感情的な一枚でもある。画面右手の紳士は自分かもしれないと暗示させている。
フランス本国においてようやく印象派絵画が評価されはじめた20世紀初めに、絹織物業でなした財をもとに精力的に作品を収集し、イギリスにおけるこの分野の開拓者コレクター。ピークは1922年からの約10年間。
この比較的短期間にフランス近代美術の第一級の作品を集めた鑑識眼は、米のバーンズ博士やコーン姉妹とも比較される。テート・ギャラリーとナショナル・ギャラリーへの印象派絵画購入のためにおこなった信託基金の寄付【コートールド基金】(1923年)や、自らのコレクションをロンドン大学に寄贈しこれを基礎とした【コートールド美術研究所】を設立(1931年)するなど社会貢献活動によって特に名高い。
コートールド美術館
ロンドン中心部の憩いの空間
サミュエル・コートールドが寄贈した印象派・後期印象派の名作がずらり展示されているのが、コートールド美術館である。
コートールド美術館は、サミュエル・コートールドがロンドン大学に寄贈したコレクションを基礎に、1931年に設立されたコートールド美術研究所の付属施設で、1990年に現在のサマーセットハウスに移転した。サマーセットハウスはロンドン中心部、ストランド大通りに面する由緒ある建造物。18世紀イギリス建築界の巨頭ウィリアム・チェンバースの設計で、もともとはロイヤル・ソサエティ、ロイヤル美術アカデミーなど、政府・学術機関が入っていた。
この建物の2−4階にかけて展示ギャラリーと研究所がフロアを半分ずつ占めている。1階には収蔵品ほかの絵葉書やカード、パズル、各種美術書などを売るミュージアム・ショップもある。
美術史の研究所としては英国で最も古いコートールド美術研究所には現在、約400人の学生がいて、うち学士は約3分の1であり、3分の2はより高度な研究に従事している。研究所の卒業生にはナショナル・ギャラリーの館長であるニール・マックレガー、V&Aミュージアム館長のアラン・ボルグ、テート・ギャラリー館長のニック・セロタなどがいる。世界的な美術評論家のケネス・クラークが教鞭をとっていたことでも有名である。