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パルテノン神殿彫刻をロシアで公開 ギリシャは激怒

Asahi

 かつて英国の外交官、エルギンがギリシャ駐在時に勝手に彫刻を切り取って英国へ持ち帰り、今は大英博物館が「所蔵」するギリシャパルテノン神殿の彫刻の一部がロシアに移送されて公開が始まった。19世紀に英国に移されてから、他国での公開は初。彫刻の返還を求めているギリシャ政府は激怒している。


 6日からサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館で一般公開が始まったのは「川の神イリッソス像」。彫刻群は、オスマントルコ支配下ギリシャに駐在した英外交官が切り取って母国に持ち帰ったもので、外交官の名から「エルギン・マーブル」と呼ばれる。元々はパルテノン神殿の西側上部を飾っていた大理石の彫刻群にあった頭のない神像。今回、ロシアのエルミタージュ美術館が創設250周年になったことを記念して6日から来年1月18日まで展示される。


 英国への移送の経緯としては、19世紀初頭に英大使エルギン伯爵がオスマン帝国領だったアテネパルテノン神殿から、スルタン(君主)の許可を得て切り取って英国に運んだもので、以降は大英博物館の収蔵品となり展示されている


 今回、英国が海外に対して、しかもウクライナへの軍事侵攻やマレーシア航空機MH-17の撃墜などで国際的な制裁が課されているロシアへの移送に、ギリシャのサマラス首相は「ギリシャ国民への挑発行為だ」と批判する声明を出している。ギリシャは彫刻群の返還を強く求めてきたが、大英博物館側が「壊れやすいので移送できない」と拒んできた経緯がある。サマラス首相は


 「移送できないという英国側の言い分は、もはや存在しない」

 と主張した。

 サマラスはかつて文化スポーツ相としてアクロポリス博物館の開設に尽力。英国がギリシャに対して反論した台詞、
 
 「ギリシャには重要な文化遺産を所蔵する能力がない」

 という批判を覆すためだった。このアクロポリス博物館には、彫刻群が返還された時のための空間が現在、すでに確保されている。

神戸大、信長・秀吉らの書状を発見

 織田信長豊臣秀吉らが水軍で知られる九鬼家に宛てた書状が神戸市内の民家から見つかった。神戸大が8日発表した。九鬼家は戦国期に信長の配下に入って秀吉の家来となった。書状の寄託を受けてこれからも研究を進める。


 村井良介研究員らによると、見つかったのは16世紀後半に書かれたとみられる書状5通など。信長の書状は革衣(かわごろも)などの贈り物が届いたことに感謝する内容だった。秀吉は書状で朝鮮出兵を九鬼家に指示し、豊臣秀次の書状は朝鮮での戦功を称賛する内容だった。


 書状は九鬼家の一族に伝来していたと考えられ、民家に住む女性の祖父が前の所有者から譲り受けたとみられる。神戸大は一般公開を検討している。