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国史跡・名勝「飛鳥京跡苑池(えんち)」(7世紀)

artscene2014-08-01



南池に配置された雲のような形の島の下に更に古い島があることが、奈良県橿原考古学研究所の調査で分かった。橿考研の東影悠・主任研究員が2日、公開の講座で発表した。苑池は天皇の宮殿に付属する国内初の本格庭園で、改修を重ねていたことを示す重要な資料としている。


 南池は南北55m、東西65m、面積2200平方mで五角形。島は最も近い北岸の沖約10mに石積み(高さ約1.3m)で築かれ、南北最大15m、東西32m、面積は約200平方mある。水深は30cm程度だったとされる。


 東影研究員によると、島中心部の発掘地から、古い島の北端とみられる石積み護岸などが見つかった。古い島の外側には泥状の土がたまった石敷きを確認。石敷きが泥に埋まった後、その上に雲形の島が造成されたらしい。


 更に雲形の島を長方形に取り囲むように配置された柱列(太さ推定約30cm)の跡も見つかった。東西約35m、南北約17mの範囲に2.4m間隔、ほぼ3列で並び、テラスのような施設があった可能性がある。その後、柱は抜かれ、北側の一部だけにテラス状とみられる木製施設が造られた。


 苑池は斉明天皇の時代(655〜661年)に完成し、天武天皇の時代(672〜686年)に改修したとされる。東影研究員は「7世紀半ばから末の約50年間で島は3時期に分けて改修された」とみる。


 仲隆裕・京都造形芸術大教授(日本庭園史)は「飛鳥時代に庭園が進化していたと分かったのは大きい。東アジアの古代庭園との比較や独自性、国内の庭園の変遷を考える上で重要だ」と評価している。