Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより

artscene2014-06-14

Guess what? Hardcore Contemporary Art’s Truly a World Treasure:
Selected Works from the YAGEO Foundation Collection



東京国立近代美術館


www.momat.go.jp


独立行政法人国立美術館


〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園3−1
03-5777-8600





東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー + 前庭


会期
2014年6月20日(金)〜8月24日(日)
開館時間
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで
休館日
月曜日(7月21日は開館)、7月22日(火)


観覧料
一般1,200円/大学生500円


主催
東京国立近代美術館、ヤゲオ財団
協力
全日本空輸株式会社、ヤマトロジスティクス株式会社


本展は、政府による美術品補償制度の適用を受けています。



東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1


巡回
名古屋市美術館:2014年9月6日(土)―10月26日(日)
広島市現代美術館:2014年12月20日(土)―2015年3月8日(日)
京都国立近代美術館:2015年3月31日(火)―5月31日(日)


特設サイト
特別コンテンツもあります。ぜひご覧ください。
http://sekainotakara.com


http://www.momat.go.jp/Honkan/core/index.html

この展覧会では約40作家、約75点の作品が展示されます。アーティストは、常玉(サンユウ)、フランシス・ベーコン、ザオ・ウーキー、アンディ・ウォーホルサイ・トゥオンブリーゲルハルト・リヒター杉本博司、蔡國強、ロン・ミュエク、ピーター・ドイグ、マーク・クイン(以上、生年順)など、現代美術の挑戦者であり中核( ハードコア!)と言える人ばかり。作品もトップクラスのものがやってきます。
トーマス・シュトゥルート 《トカマク型装置(Asdex Upgrade)の内部2、
マックス・プランク・プラズマ物理研究所、ガーヒンク》 2009年 ヤゲオ財団蔵 ©Thomas Struth
トーマス・シュトゥルート 《トカマク型装置(Asdex Upgrade)の内部2、
マックス・プランク・プラズマ物理研究所、ガーヒンク》 2009年 ヤゲオ財団蔵 ©Thomas Struth
ともすれば、「難しい」とか「自分にもつくれそう」と言われがちな現代美術の作品ですが、タイトルが示すように、じつは、少なくともふたつの意味で「世界の宝」ではないかということを、今回の展覧会は言おうとしています。



ひとつは、市場価格的あるいは保険評価額的に、それは「世界の宝」です。ときおり報道されるように、現在、オークションでは、生きているアーティストの作品でも数十億円単位の金額をつけることがあります。本展にもそうした作品がいくつも入っています。
もうひとつは、美術史的な意味でもそれは「世界の宝」なのです。優れたアーティストとは、いま伝えるべきことを、これまでのアートの歴史を踏まえつつ、未来においても色あせることのない形で表そうとする人のことです。彼らの作品は、たとえちょっと滑稽に見えたとしても、今を生きる私たちと無縁ではありません。そして、様々な表現が世の中にあふれかえっている中で、時代の試練に耐えて訴えかけ続けようとするものなのです。ですから、やはりそれらは、「世界」にとってかけがえのない存在だと言えるでしょう。
本展では、そうした「世界の宝」である「現代美術のハードコア」を、「ミューズ」「崇高」「記憶」「新しい美」といったキーワードを使いながら10章に分けて展示いたします。

ところで、「コレクションによる展覧会」というと、「テーマのない名作展なんて…」と考える人もきっといるでしょう。でも、ふたつの点で、本展はひと味違います。まず、美術史における連続性を表現することに挑んでいる点です。こうした、ある意味、当たり前の展覧会がこれまで日本では見られなかったのは、コレクターとのコネクションがなかったり採算性が疑わしかったりしてできなかったためです。今回は、ヤゲオ財団の全面的な協力を得られたことで実現しました。そしてもう一点は、「コレクションによる展覧会」だからこそのインタラクティブな仕掛けをご用意している点です。コレクターの感覚を追体験することができる、ちょっとした「ゲーム」を提供します。この展覧会は、単純に名作を見るのではなくて、作品の「価値」とはなにかを考える場にもなっているのです。この、国内では(多分)空前絶後とも言える展覧会をどうぞお見逃しなく!
ロン・ミュエク 《若者》 2009年 ヤゲオ財団蔵 ©Ron Mueck  Photo: Alex Delfanne
ロン・ミュエク 《若者》 2009年 ヤゲオ財団蔵 ©Ron Mueck  Photo: Alex Delfanne
ティエブ・メータ 《無題(リキシャに乗った女性)》 1991年 ヤゲオ財団蔵 ©The Estate of Tyeb Mehta
ティエブ・メータ 《無題(リキシャに乗った女性)》 1991年 ヤゲオ財団蔵 ©The Estate of Tyeb Mehta
マーク・クイン 《ミニチュアのヴィーナス》 2008年 ヤゲオ財団蔵 ©Marc Quinn
マーク・クイン 《ミニチュアのヴィーナス》 2008年 ヤゲオ財団蔵 ©Marc Quinn
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ここが見どころ
展示作品の保険評価額の総額は、信じられないくらい高額です(残念ながら詳細は言えません)。
コレクター気分を体験できる「ゲーム」を用意し、作品の「価値」を考える場ともします。
杉本博司 《最後の晩餐》 1999年 ヤゲオ財団蔵 ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司 《最後の晩餐》 1999年 ヤゲオ財団蔵 ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
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ヤゲオ財団とは?
台湾資本の大手パッシブ(電子部品)メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのCEOを務めるピエール・チェン氏(Mr. Pierre Tie Min Chen)、その家族、およびヤゲオ・コーポレーションからの寄付金によって創立された非営利の組織。台湾では「國巨基金會」の表記が用いられています。
ヤゲオ財団コレクションとは?
外国の有名な美術専門誌でここ二年間、世界トップ10にランクインしているコレクション。ふたつの軸があり、ひとつは西洋の近現代美術、もうひとつは中国の近現代美術です。この、洋の東西をあわせて持っているという特徴が、ヤゲオ財団コレクションをユニークなものとしています。そしてそれゆえに、今回、同じような特徴を持つ日本の国公立の美術館での展覧会が決まったわけです。
そのコレクションの選定に関わっているのが、ピエール・チェン氏。彼は、学生時代から、プログラミングのアルバイトをして貯めたお金で作品を買うほどのアートファン。その情熱の結果、わずか一代で壮大なコレクションを築きあげました。今では「living with art」「art is accessible」というコンセプトの下、自宅やゲストハウスはもとより、オフィスの中にも作品を展示しています(別荘では、バスルームにマン・レイがあったり、リビングにウォーホルがあったり!)。チェン氏は最近では、自らが所蔵する名画の模写もしていたりと、文字通り、アートとともに生きています。
そんなチェン氏が率いるヤゲオ財団は、近年、プライヴェートでは珍しく、ヘンリー・ムーアやアリスティド・マイヨールやルイーズ・ブルジョワなどの彫刻作品も収集しはじめています。今回、一部が来日するそれらは、いずれもミュージアム・ピース・クラスです。なお、ヤゲオ財団が所有する作品の一部は、テートなど、世界的な美術館に寄託されてもいます。
©Gerhard Richter, 2014
©Gerhard Richter, 2014
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イベント情報
講演会
保坂健二朗 (本展企画者、当館主任研究員)
日程: 2014年7月12日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階)
*開場は開演30分前
*無料(140名)、申込不要
ギャラリー・トーク
保坂健二朗 (本展企画者、当館主任研究員)
日程: 2014年8月1日(金)
時間: 18:30-19:30
場所: 企画展ギャラリー(1階)
*無料、申込不要、要観覧券
映画上映「ハーブ&ドロシー」
「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」
日程: 2014年6月21日(土)
2014年6月28日(土)
時間: 13:00-16:30
場所: 東京国立近代美術館講堂(地下1階)
*開場は開演30分前
*無料(140名)、申込不要
*「アートの森の小さな巨人」(87分)終了後、休憩をはさんで「ふたりからの贈りもの」(87分)を上映します