Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展 Ballets Russes: The Art of Costume

artscene2014-03-10


現代の芸術・ファッションの源泉 ピカソマティスを魅了した伝説のロシア・バレエ


国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

http://www.nact.jp

〒106-0032 東京都港区六本木7−22−2
03-5777-8600



現代の芸術・ファッションの源泉 ピカソマティスを魅了した伝説のロシア・バレエ
魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
Ballets Russes: The Art of Costume

展覧会ホームページ:
http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/


展覧会Facebook
https://www.facebook.com/balletsrusses.the.art.of.costume/




レオン・バクスト
「青神」の衣装(《青神》より)1912年頃
オーストラリア国立美術館
Léon BAKST
Tunic from costume for the Blue God, from the Ballets Russes' production of Le Dieu bleu (The Blue God), c.1912
National Gallery of Australia, Canberra


レオン・バクスト、アレクサンドル・ゴロヴィン
「不死身のカスチェイ王の従者」の衣装(《火の鳥》より)1910年
オーストラリア国立美術館
Léon BAKST and Aleksandr GOLOVIN
Costume for an attendant of the Immortal Köstchei from the Ballets Russes' production of L'Oiseau de feu (The Firebird), 1910
National Gallery of Australia, Canberra


レオン・バクスト
「女王タマールの友人」、「女王タマール」、「レズギン人」の衣装(《タマール》より)
1912年頃
オーストラリア国立美術館
Léon BAKST
Costumes for a friend of Queen Thamar, Queen Thamar and a Lezghin from the Ballets Russes' production of Thamar, c.1912
National Gallery of Australia, Canberra


オーギュスト・ベール
《《薔薇の精》─ニジンスキー 1913年
オーストラリア国立美術館
Auguste BERT
Le Spectre de la Rose ─ M. Nijinsky, plate 8 from Studies from the Russian Ballet, 1913
National Gallery of Australia, Canberra


ホセ=マリア・セール
ドレス(《女の手管》より)1920-24年
オーストラリア国立美術館
José-Maria SERT
Dress from the Ballets Russes' production of Ballet de l'Astuce féminine / Cimarosiana
(Women's Wiles / Cimarosiana), 1920-24
National Gallery of Australia, Canberra

1909年にパリで鮮烈なデビューを果たしたバレエ・リュス(ロシア・バレエ)は、革新的なステージにより一世を風靡した伝説のバレエ団です。主宰者セルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)の慧眼により、同バレエ団はワツラフ・ニジンスキー(1889-1950)をはじめとするバレエ・ダンサーや振付家に加え、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)ら、数々の新しい才能を輩出しました。ロシアのエキゾティシズムとして人気を集めたバレエ・リュスは、やがてピカソマティスコクトー、ブラック、ローランサン、シャネルら、当時パリで活躍していた前衛の若手アーティストを取り込み、新しいスタイルの「総合芸術」として、バレエだけでなく美術やファッション、音楽の世界にも革新と興奮をもたらし、大きな影響を与えました。
本展では、オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュスのコスチューム・コレクション32演目、約140点の作品を中心に、デザイン画や資料などと併せて、これまでにない規模でその魅力の全貌を紹介します。

バレエ・リュスとは

1909-29年にディアギレフによって主宰され、20世紀初頭の動乱の時代に、舞踊や舞台デザインの世界に革命をもたらしたバレエ団です。ロシア帝室バレエ団出身のメンバーが中心となり、パリを中心にヨーロッパ各地やアメリカ、オーストラリアなどで公演しました。「バレエ・リュス」とは、フランス語で「ロシア・バレエ団」を意味しますが、ロシアで公演したことは一度もありませんでした。伝説のダンサー兼振付家ニジンスキーをはじめ、レオニード・マシーン(1895-1979)やブロニスラワ・ニジンスカ(1891-1972)、セルジュ・リファール(1905-1986)、ジョージ・バランシン(1904-1983)ら、20世紀におけるバレエの革新に大きく貢献した振付家を輩出しました。ストラヴィンスキーが広く世に知られる契機となったのも、ディアギレフに依頼されバレエ・リュスのために作曲した《火の鳥》(1910年)や《春の祭典》(1913年)です。ディアギレフ没後、リファールはパリ・オペラ座の芸術監督を務め、バランシンはニューヨーク・シティ・バレエ団の母体をつくるなど、世界各地のバレエ団の礎はバレエ・リュス出身のダンサーたちによって築かれました。



会期
2014年6月18日(水)-9月1日(月)
毎週火曜日休館 ただし、8月12日(火)は開館


開館時間
10:00-18:00 金曜日、8月16日(土)、23日(土)、30日(土)は20:00まで
入場は閉館の30分前まで



会場
国立新美術館 
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

主催
国立新美術館、TBS、オーストラリア国立美術館読売新聞社

後援
オーストラリア大使館、公益社団法人日本バレエ協会

協賛
大日本印刷チャコット

協力
K-BALLET、日本航空ヤマトロジスティクス

観覧料(税込)
当日
1,500円(一般) 1,200円(大学生) 600円(高校生)


中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付き添いの方1名を含む)は入場無料

7月25日(金)、26日(土)、27日(日)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)

前売券は2014年2月26日(水)から6月17日(火)まで販売。

ただし、国立新美術館では6月16日(月)まで



国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。



お問合せ
ハローダイヤル 03-5777-8600
展覧会の見どころ

現代の芸術、ファッションの源泉―
豪華な顔ぶれのアーティストたちが関わった伝説のバレエ団

20世紀を代表する画家パブロ・ピカソ(1881-1973)やアンリ・マティス(1869-1954)、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)、ロシア出身の画家レオン・バクスト(1866-1924)やナタリヤ・ゴンチャロワ(1881-1962)、ミハイル・ラリオノフ(1881-1964)、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)、ファッション界の革命児ココ・シャネル(1883-1971)……。多くの前衛アーティストたちがバレエ・リュスに参画し、音楽や舞台装置、衣装デザインを手がけました。

空前絶後! バレエ・リュスのコスチュームを大規模に紹介する日本で初めての展覧会

バレエ・リュスは、その革新性からいまだに大きな影響力を持つ伝説的存在ですが、今日の私たちは、その偉業をわずかに残された手がかりを元に想像するしかありません。そうした中、コスチュームは、ダンサーの身体を想起させ、当時の様子を最もリアルに伝える格好の遺産であるといえます。
考え抜かれたデザインやカット、構造、鮮やかな色彩、装飾・・・バレエ・リュスの衣装は、それを身に着けたダンサーの動きに、さらなる視覚的なインパクトを付与するものでした。バクストをはじめアレクサンドル・ブノワ(1870-1960)やマティスジョルジュ・ブラック(1882-1963)、ゴンチャロワ、ラリオノフ、アンドレ・ドラン(1880-1954)、デ・キリコら、錚々たる顔ぶれのアーティストたちによってデザインされた斬新で煌びやかなバレエ衣装を展示します。

オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュス衣装コレクション

オーストラリア国立美術館は、1973年にロンドンのサザビーズで約400点ものバレエ・リュス関連の作品や資料を購入して以来、バレエ・リュスの衣装を館の重要なコレクションとして積極的に蒐集してきました。
本展覧会では、約40年かけて丁寧に修復されたコスチュームが、オーストラリア国外で初めてまとまった形で展示されます。世界屈指のバレエ・リュス衣装コレクションが一堂に会する、貴重な機会となります。




多彩な関連イヴェント

展覧会を多角的な視点でとらえる機会として、様々な分野から専門家をお招きした講演会やワークショップなど各種イヴェントの開催を予定しています。イヴェントの詳細については、展覧会ホームページでご案内いたします。

充実した展覧会カタログ

オーストラリア国立美術館で開催された本展覧会(2010-2011年)の英語版カタログを、日本語に翻訳して出版します。図版を多く掲載した本カタログは、バレエ・リュスのコスチュームを知る入門書として、格好の1冊となることでしょう。

鑑賞ガイド

子どもから大人まで、来場された方々が年齢に関係なく展覧会を楽しめるようなガイドブックを会場で無料配布する予定です。

音声ガイド

音声ガイドではK-BALLET COMPANY(Kバレエカンパニー)芸術監督・熊川哲也氏も出演いたします。展覧会会場限定のオリジナルコンテンツを是非会場でご堪能ください。



展覧会の構成


I.初期 1909-1913年 (ロシア・シーズン)
1909年5月にパリのシャトレ座で《アルミードの館》(美術・衣装デザイン:ブノワ)、《ポロヴェツ人の踊り》、(美術・衣装デザイン:レーリヒ)、《饗宴》(美術・衣装デザイン:ゴロヴィン、本展不出品)で鮮烈なデビューを果たしたバレエ・リュスは、その後わずか短期間のうちに《クレオパトラ》(1909年、美術・衣装デザイン:バクスト)や《シェエラザード》(1910年、音楽:リムスキー=コルサコフ、美術・衣装デザイン:バクスト)、《火の鳥》(1910年、美術:ゴロヴィン、衣装デザイン:ゴロヴィン、バクスト)、《ペトルーシュカ》(1911年、美術・衣装デザイン:ブノワ)、《青神》(1912年、美術・衣装デザイン:バクスト)などの傑作を次々と発表し、一世を風靡しました。
その後1911年頃には、それまで振付を担当したミハイル・フォーキンに代わり伝説のスターダンサー、ニジンスキーが振付を手掛けるようになります。中でも、《牧神の午後》(1912年、音楽:ドビュッシー、美術・衣装デザイン:バクスト)や《春の祭典》(1913年、音楽:ストラヴィンスキー、本展不出品)はよく知られています。この時期、鮮やかな色彩で東洋のエキゾティシズムやロシア的な原始性を最高度のテクニックで表現したバレエ・リュスは、異国情緒溢れる甘美な作品を多く生み出しました。


II.中期 1914-1921年モダニズムの受容)
1914年に第一次世界大戦が勃発し、世紀末から続いたベル・エポックが終焉を迎えた頃、ディアギレフはそれまでの東洋趣味から離れ、パリで活躍していたピカソジャン・コクトー(1889-1963)ら若手の前衛アーティストを、バレエ・リュスの活動へ積極的に取り込みます。振付においても、フォーキンやニジンスキーに代わる振付家としてマシーンが活躍し、新たにコミカルさという要素も加わりました。
本展では、ゴンチャロワが美術および衣装デザインを担当した《金鶏》(1914年、音楽:リムスキー=コルサコフ)の衣装やマティスがデザインした《ナイチンゲールの歌》(1920年、音楽:ストラヴィンスキー)など、バレエ・リュスがモダニスムと関わり始めた時代のコスチュームを展示します。


III.後期 1921-1929年(モンテカルロ
マシーンがバレエ・リュスを去った後、ニジンスキーの妹ニジンスカが振付を担当し、《結婚》(1923年、本展不出品)や《牝鹿》(1924年、美術・衣装デザイン:ローランサン)、《青列車》(1924年、台本:コクトー、衣装デザイン:シャネル、本展不出品)など、モダンで洗練された作品が数多く生み出されました。一方、この時期、ディアギレフはチャイコフスキーやプティパによる伝統的なクラシック・バレエの最高傑作を西欧に紹介したいと考え、《眠り姫》(1921年、美術・衣装デザイン:バクスト)や《オーロラの結婚》(1922年、美術・衣装デザイン:バクスト)なども上演しています。また、ディアギレフは音楽家プロコフィエフの若き才能を見抜き、《道化師》(1921年、美術・衣装デザイン:ラリオノフ)やソヴィエト社会をロシア構成主義的な作風で表現した《鋼鉄の踊り》(1927年、美術・衣装デザイン:ヤクーロフ)のための作曲を依頼しました。その他、全身レオタードに蛍光塗料が塗られた実験的な衣装を採用した《頌歌》(1928年、美術・衣装デザイン:チェリチェフ)が上演されたのも、この時代です。


IV.バレエ・リュス解散後 (バレエ・リュス・ド・モンテカルロを中心に)
ディアギレフの没後、バレエ・リュスは解散し、バレエ・リュスに触発されたバレエ団が数多く誕生しました。中でも最も重要なのが、1932年にバジル大佐とルネ・ブリュムによって結成された「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」です(36年に二人は訣別し、ブリュムは新たに「モンテカルロ・バレエ」を結成、後に残されたバジル大佐は一座を「バジル大佐のバレエ・リュス」と改名しました)。彼らは「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」にディアギレフの腹心であったセルジュ・グリゴリエフ(1883-1968)やボリス・コフノ(1904-1990)を呼び寄せ、また、バレエ・マスターとしてジョージ・バランシンを起用しました。
こうして、同バレエ団はディアギレフのバレエ・リュス時代の主要メンバーが参加し、活動を展開しました。このほか、バロノワ、リャブチンスカ、トゥマノワという3人の有名な「ベイビー・バレリーナ」が活躍したのもこのバレエ団です。
モナコを拠点としたこのバレエ団は、世界中を広く巡業し、オーストラリアでもツアー公演を行っています。同バレエ団で活躍したダンサーたちが、後にオーストラリア・バレエの礎を築きました。本展では、《予兆》(1933年、衣装デザイン:アンドレ・マッソン)や《公園》(1935年、衣装デザイン:ジャン・リュルサ)などを展示します。



講演会
「Ballets Russes: The Art of Costume」

6月18日(水)14:00−15:30
講師:ロバート・ベル氏(本展企画者、オーストラリア国立美術館装飾芸術・デザイン部門シニア・キュレーター)(逐次通訳付)

「バレエ・リュスの功績」
7月13日(日)14:00−15:30
講師:薄井憲二氏(公益社団法人日本バレエ協会会長)

上映会
「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」(監督:ダン・ゲラー、デイナ・ゴールドファイン 2005年、118分)

6月21日(土)および8月16日(土)10:30、13:00、15:30

解説会

7月11日(金)、8月15日(金)両日とも18:30−19:00
講師:本展担当研究員

いずれも会場は当館3階講堂 定員:250名(先着順)
参加は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です


〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
国立新美術館