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鍋島焼と図案帳展

artscene2014-01-16




http://www.toguri-museum.or.jp

【現展示案内】
鍋島焼と図案帳展
会期: 2014年1月7日(火) 〜 3月30日(日)  





鍋島焼と図案帳展
会期:2014年1月7日(火)〜3月30日(日)


色絵 石榴竹垣文 皿
色絵 石榴竹垣文 皿
鍋島
江戸時代
(17世紀末〜18世紀初)
高5.7? 口径20.1?
高台径9.8?

色絵 石楠花文 皿
色絵 石楠花文 皿
鍋島
江戸時代
(17世紀末〜18世紀初)
高5.8? 口径20.5?
高台径11.0?

色絵 椿文 皿
色絵 椿文 皿
鍋島
江戸時代
(17世紀末〜18世紀初)
高5.9? 口径20.3?
高台径10.8?


図案帳(石榴文 皿)
図案帳(石榴文 皿)
元禄9年(1696)銘・宝永6年(1709)銘
色絵 石楠花文 皿
図案帳(桜樹文 皿・猪口2種)
享保3年(1718)銘



展覧会概要

 江戸時代、諸大名にとって幕府への献上は参勤交代と同様の義務であり、将軍への忠誠を表わす重要な行事。鍋島家も献上品に事の他気を遣い、江戸時代初頭には中国から輸入した陶磁器などを献上していました。しかし、17世紀後半、中国の内乱の影響で陶磁器が入手困難となり、鍋島家はそれに代わる献上に相応しい新たなやきものとして、鍋島焼を創出します。藩内で培った伊万里焼の技術の粋を集めて生み出された鍋島焼は、17世紀末、大川内山(現伊万里市)に築かれた御道具山(藩の御用品を焼く窯)にて本格製造が開始されました。


 鍋島家の記録や伝世品から、鍋島焼の形や文様、種類には一定の規格があったと考えられています。それを裏付けるように、鍋島家にはその形や意匠などを記した図案帳が伝わっています。


今展示では、献上品としての規格性に注目し、盛期の鍋島焼を中心に名品の数々を展示、あわせて図案帳もご紹介致します。



展示構成
◆鍋島焼の規格性

鍋島焼は17世紀末から18世紀初頭に最盛期を迎え、最高水準の製品がつくられました。この頃の製品には以下のような規格性が見られます。
・皿の形…「木盃型(もくはいがた)」と呼ばれる、丸くて深い皿に高い高台がついた形
・皿の種類…尺皿(約30cm)・七寸皿(約21cm)・五寸皿(約15cm)・小皿(9〜12cm)
・色数…ベースとなる染付の青、色絵の赤・緑・黄色の計4色に限定
・文様の描き方…染付の青または赤の輪郭線、その中を丁寧に塗り埋める描法が基本
・裏文様…染付で三方に七宝繋文などを配す、高台側面に櫛目文、高台内に目跡なし

色絵 椿文 皿 鍋島
色絵 椿文 皿 鍋島
江戸時代(17世紀末〜18世紀初)
高5.9? 口径20.3? 高台径10.8?


 鍋島家の「重茂公御年譜」(1760)には、例年献上の内、毎年11月に献上された「陶器(鍋島焼)」の内訳について「五箱(鉢二、大皿二十、皿二十、小皿二十、茶碗皿・猪口此内二十)」と記されており、これを伝世品と照合すると、鉢=尺皿・大皿=七寸皿・皿=五寸皿・小皿=三〜四寸皿に当てはまります。
 鍋島焼に描かれた文様は植物から器物まで多岐に渡りますが、人物や動物を描いた例はほとんど見られず、その種類には偏りがあります。理由として、献上品という性質上、将軍に対して失礼にあたらない文様でなければならない事、吉祥・慶祝の意味を持つ文様が好まれた事などがあげられます。中には年代を超えて繰り返し描かれた文様もあります。「染付 桜樹文 皿」(画像?)は同じ図案の色絵製品が九州陶磁文化館に収蔵されており、鍋島家伝来の図案帳にも描かれています。染付と色絵で技法は異なりますが、図案帳を元に同図案の製品が繰り返しつくられていた事がわかります。
 規格の整った精緻な造形・絵付けは、献上を目的とした鍋島焼の最大の特徴であり、鍋島藩窯の職人達の技術の高さを表しています。今展示では、鍋島焼に見られる規格性と、それを可能にした様々な技術についてもご紹介致します。


◆鍋島家伝来・図案帳の役割

図案帳
上方には織物に取材したと思われる蝶文様。左の文様には「聚楽邸描金」と書き添えられている。下方には「東大寺什御倚懸紋」と記された装飾品に表わされる鳳凰文様のスケッチが描かれている。


 佐賀藩主鍋島家には、鍋島焼の意匠を記した図案帳が伝わっています。今展でご紹介する図案帳は、綴本の形状ではなく各ページがバラバラで、描かれているのは文様意匠や図面など。それぞれ紙質や大きさが異なり、「元禄」「宝永」「正徳」「享保」といった異なる年代が記されたものがあるため、これらは同じ時代に描かれたのではなく長年に渡り描きためられたものと思われます。中には鍋島焼を製造する際の指示書、もしくは製品化した意匠を記録する目的で描かれたと思われる、伝世品と文様・形状が一致する図案もあります。


 元禄6年(1693)鍋島藩主光茂から代官にあてた文書「手頭」では、「最近鍋島焼の作風がマンネリ化している、珍しい意匠があれば書き付けて差し出すように。」といった命令が下されました。図案帳の中にはやきものの図案や、「織物蝶圖」と記された蝶文のスケッチなどが描かれており、陶磁器・絵手本帖・染織品など文様意匠を幅広く取材した様子がうかがえます。図案のほとんどは類似する伝世品が未だ見つかっておらず、実用的な指示書というより、藩の年寄や進物役へ提出するためのアイディアブックとして、鍋島焼の新たな意匠を描きためたものとも考えられます。


 実態は未解明ですが、文様意匠のスケッチやアイディアがふんだんに描きこまれた図案帳は、職人たちが試行錯誤しながら鍋島焼の意匠を生み出した様子を垣間見る事のできる貴重な史料と言えるでしょう。関連する伝世品とあわせてご紹介致します。


【お問い合せ先】
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TEL:03-3465-0070
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●交通
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●開館時間
午前10時〜 午後5時
(入館は午後4時半まで)


●休館日
毎週月曜日
(ただし月祝の場合開館、翌日休館)
展示替え期間中
年末年始
展示ごとの詳しい休館日は展示案内をご覧下さい。



●入館料
一 般 1,000円 (800円)
高大生  700円 (500円)
小中生  400円 (200円)
( ) 内は20名以上の団体料金
●ご注意
専用駐車場・駐輪場はございません。
エレベーター・スロープがございません。あらかじめご了承ください。
団体のお客様は事前にご予約ください。
 電話:03-3465-0070