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京都―洛中洛外図と障壁画の美

artscene2013-11-02


日本テレビ開局60年 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」
平成館 特別展示室 2013年10月8日(火) 〜 2013年12月1日(日)


重要文化財 洛中洛外図屏風(舟木本)(部分) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館



京都は、毎年、国内外から多くの人々が訪れる魅力あふれる地です。それは何よりも京都が、長い間日本の都として伝統文化を育み、継承してきたことによるところが大きいでしょう。この展覧会では、都の賑わいと四季の景観を描く洛中洛外図の優品が一堂に会するほか、京都を象徴する3つの場所―京都御所、二条城、そして石庭で知られる龍安寺を飾った障壁画を通して、京都ならではの美の空間を体感していただきます。特に、最近、修復を終えたばかりの絢爛豪華な障壁画で再現する二条城の空間は圧巻です。




展示作品リストへ
http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=3541




1089ブログ「京都―洛中洛外図と障壁画の美」

http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/48/




東京国立博物館 資料館 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」関連図書コーナー設置
http://webopac.tnm.jp/top/news/preOutput.do;jsessionid=4B272A3EF3228F2305385EDC305FB0CC?newsNo=285&method=load#285






開催概要
会 期 2013年10月8日(火) 〜 2013年12月1日(日)
会 場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間 9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日および、11月2日(土)、3日(日・祝)は20:00まで、11月4日(月・休)は18:00まで開館)


休館日 月曜日
(ただし11月4日(月・休)は開館、11月5日(火)は休館)


観覧料金 一般1500円、大学生1200円、高校生900円

中学生以下無料

障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。


* 「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1500円を1400円(100円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にてお申し出ください。

東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。


* 「京都―洛中洛外図と障壁画の美」会期終了後の2013年12月3日(火)〜12月23日(月・祝)まで、本特別展半券を当館正門総合文化展チケット売場にてご提示いただければ、当館総合文化展を半額の割引料金でご覧いただけます。


託児サービス 会期中(2013年10月〜11月)、託児サービスを実施します(事前予約制)。


詳細は「東京国立博物館 託児サービスのご案内」ページをご覧ください。


交 通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主 催 東京国立博物館日本テレビ放送網読売新聞社


特別協賛 タマホーム
協 賛 光村印刷日本興亜損保
協 力 全日本空輸日本貨物航空日本通運JR東日本BS日テレシーエス日本、ラジオ日本、J-WAVE文化放送テレビ神奈川楽天トラベル、 京都市


技術協力 キヤノンキヤノンマーケティングジャパンJVCケンウッド凸版印刷
カタログ・音声ガイド 展覧会カタログ(2500円)は、平成館2階会場内、および本館1階ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は500円でご利用いただけます。


展覧会ホームページ http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/




展覧会公式アプリ「洛中洛外図屛風」(iOS版)


本展覧会に展示される「洛中洛外図屛風 舟木本」をより楽しむアプリができました。無料版と完全版(有料)があります。 詳細は、アプリのページをご覧ください。


特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」のテーマソング EXILE ATSUSHI &久石 譲 『懺悔』が完成しました。

CDは10月16日(水)発売です。



「障がいのある方のための特別鑑賞会」(2013年11月9日(土)開催)のお知らせ

2013年11月9日(土)18:00より、三菱商事株式会社との共催により「障がいのある方のための特別鑑賞会」を開催します。応募方法及び詳細は三菱商事「障がいのある方のための特別鑑賞会」のご案内をご覧ください。(11月5日(火)締切)



関連事業<講演会・講座> 記念講演会(1)「400年前の京都に遊ぶ−Forward to the Past(フォワード・トゥ・ザ・パースト)」
平成館 大講堂 2013年10月19日(土) 13:30 〜 15:00 受付終了<講演会・講座> 記念講演会(2)「舟木本洛中洛外図−浮世絵は京都で生まれた」
平成館 大講堂 2013年11月3日(日) 13:30 〜 15:00 受付終了<イベント> 洛中洛外図3Dプロジェクションマッピングと特別夜間開館
屋外 本館前・東洋館前 2013年10月16日(水) 〜 2013年10月17日(木) 18:00 〜 21:00 終了<ミュージアムシアター> VR作品「洛中洛外図屏風岩佐又兵衛
東洋館 TNM&TOPPAN ミュージアムシアター 2013年10月5日(土) 〜 2013年12月23日(月) (毎週 水・木・金・土・日・祝) 12:00(注2)、13:00、14:00(注2)、15:00、16:00(注1) (水・木・金曜)/11:00、12:00(注2)、13:00、14:00(注2)、15:00、16:00(注1) (土・日曜、祝・休日)
(注1)2013年10月20日(日)まで上演  (注2)2013年12月1日(日)まで上演
※受付締切は各上映時間15分前 当日受付<イベント> 京都展公式アプリ「洛中洛外図屛風 舟木本 完全版」トークイベント
2013年10月25日(金) 19:00 〜 20:00 終了<イベント> 特別展「京都」スペシャトークイベント 細田守 meets「洛中洛外図 舟木本」アニメーション映画監督 細田守が見た家族の肖像今昔
平成館 大講堂 2013年11月7日(木) 18:30〜21:00(開場18:00) チケット販売中<イベント> 「洛中洛外図屏風 舟木本」3Dプロジェクションマッピング「KARAKURI」 25分の1スケール投影
表慶館 1階 2013年11月1日(金) 〜 2013年11月29日(金) (毎週 金) 17:00 〜 20:00 <イベント> 「洛中洛外図屏風 舟木本」3Dプロジェクションマッピング「KARAKURI」 25分の1スケール投影
表慶館 1階 2013年11月3日(日) 17:00 〜 20:00 <イベント> 「洛中洛外図屏風 舟木本」3Dプロジェクションマッピング「KARAKURI」 25分の1スケール投影
表慶館 1階 2013年11月4日(月) 17:00 〜 18:00



展覧会のみどころ


第1部 都の姿─黄金の洛中洛外図

本邦初!国宝・重要文化財指定「洛中洛外図屏風」全7件が一堂に
国宝・重要文化財に指定されている、下記の7件をすべて展示します(会期中展示替あり)。
これらが一堂に会する展覧会は、本邦初です。


・国宝 「洛中洛外図屏風 上杉本」狩野永徳筆(山形・米沢市上杉博物館蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 舟木本」岩佐又兵衛筆(東京国立博物館蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 歴博甲本」(国立歴史民俗博物館蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 歴博乙本」(国立歴史民俗博物館蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 福岡市博本」(福岡市博物館蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 勝興寺本」(富山・勝興寺蔵)
重要文化財洛中洛外図屏風 池田本」(岡山・林原美術館蔵)


また、「洛中洛外図屏風 舟木本」の高精細画像を大型スクリーンに投影し、緻密に描かれた細部まで鑑賞いただけます。





第2部 都の空間装飾─障壁画の美


ニューヨークから初の里帰り
明治の廃仏毀釈で散逸した、龍安寺の襖絵。現在、メトロポリタン美術館とシアトル美術館が12面を所蔵しています。このうち、メトロポリタン美術館所蔵の「列子図襖」、「琴棋書画図襖」は、今回が初めての里帰り公開となります。

また、超高精細映像4Kで撮影した「龍安寺の石庭」の四季を、ほぼ実寸大の巨大スクリーンに映し出し、龍安寺にいるかのような感覚を体感いただけます。

二条城から全84面の障壁画を一挙展示
二条城二の丸御殿黒書院一の間、二の間を飾っていた、狩野尚信筆の障壁画、全69面と、城のシンボル、二の丸御殿大広間四の間を飾る狩野探幽筆「松鷹図」15面を展示。二条城の障壁画かこれほどの規模で出展されるのは史上初です。

第1部 都の姿─黄金の洛中洛外図


京都の市中(洛中)と郊外(洛外)の景観を高い視点から見下ろして描いた「洛中洛外図」は、室町時代から描かれはじめ、江戸時代を通して数多く制作されました。
そのほとんどが屏風絵で、四季が巡るなか、御所(皇居)をはじめ貴族や武家の御殿、名高い寺社、観光名所をとりあげて、そこに暮らす人々の生活を余すところなく描き出した風俗画です。


現存する「洛中洛外図屏風」は100点ほどが知られていますが、本展では狩野永徳が手がけた「洛中洛外図」の最高峰「上杉本」や岩佐又兵衛の「舟木本」など、国宝、重要文化財の7件すべてを展示します。


当時の都市景観を反映したこれらの「洛中洛外図屏風」は、美術的な価値だけでなく、建築史など、さまざまな分野でも高い資料的価値をもっています。


一方で、黄金の光をまとう「洛中洛外図」は、当時の現実の京都を描いたのではなく、それぞれの絵の注文主と制作者たちが夢見た京都を描いているともいえます。それらを対照しながら、かつての都を俯瞰してみましょう。


重要文化財 洛中洛外図屏風 舟木本 岩佐又兵衛筆 
江戸時代・17世紀 東京国立博物館




[全期間展示]

重要文化財 洛中洛外図屏風 舟木本(左隻2扇部分「祇園祭」) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 この屏風は滋賀県の医師・舟木氏がもとの所蔵者であったため、舟木本の名で知られています。左右の屏風を並べると7mほどの画面幅に、南からみた京都の景観を、東から西へ連続的に展開させ、鴨川の流れが左右の画面をつなぎます。右端には、豊臣秀吉が建てた方広寺大仏殿の偉容を大きく描き、左端には徳川家康が建造した二条城を置いて対峙させています。


左隻・2扇の三条大橋高瀬川に架かる小橋が続くあたりには、祇園祭の風流が行きかいます。その先には南蛮人の姿もみえ、店先での商いや、街路をゆく芸能者などが通りをうめています。画面下方、東寺の堂内では僧たちが読経していますが、隅で若い人を抱きしめる僧の姿もみえます。


舟木本は、建物や人々をクローズアップして取り上げていることが特色です。熱気に溢れた京都の人々の生活の諸相をじっくりご覧ください。



左隻2扇(部分) 「祇園祭


重要文化財 洛中洛外図屏風 舟木本(右隻4・5扇「五条大橋」) 岩佐又兵衛筆 
江戸時代・17世紀 東京国立博物館
右隻4・5扇(部分)「五条大橋



牛若丸と弁慶が出会った場所として唱歌にも唄われた五条大橋。ここに描かれているのは、豊臣秀吉が建立した方広寺の大仏参拝のために新たに架けられた橋です。花見の宴が終わり桜の枝や扇、日傘をもった集団が、身をくねらせて踊りながら賑やかに橋をわたっていきます。酔いつぶれて二人に肩を担がれている男もいます。


橋下には薪を満載する高瀬舟が2艘並んで鴨川を上っていき、船頭が橋上の騒ぎに驚いて見上げています。喧騒が聞こえてくるようです。また、この橋から四条にかけての四条河原(画面左方)には、人形浄瑠璃、遊女歌舞伎など芝居小屋がひしめいて、人々の浮世への欲望が余すところなく活写されています。この五条大橋と周辺の情景は、画面中央あたりに大きく描かれた舟木本のハイライトといえるでしょう。


国宝 洛中洛外図屏風 上杉本 狩野永徳筆 室町時代・16世紀 山形・米沢市上杉博物館
[展示期間:2013年10月8日(火)〜11月4日(月・休)]





国宝 洛中洛外図屏風 上杉本(右隻3・4扇「正月を迎える歳末の風景」) 狩野永徳筆 
室町時代・16世紀 山形・米沢市上杉博物館
上京隻3・4扇(部分)「正月を迎える歳末の風景」


米沢藩主上杉家に伝わったもので、洛中洛外図の中でも最高傑作とされます。将軍足利義輝が日本を代表する絵師のひとり狩野永徳に描かせたもので、永禄8年(1565)に完成し、義輝没後に織田信長が入手して、上杉謙信へ贈ったと考えられています。将軍家と関わりの深い相国寺の七重大塔から眺めた景観を描いたともいわれ、金の雲間から尖った屋根をのぞかせる表現が特徴的です。貴族、武家の邸宅や寺院など京都のランドマークが数多く描かれ、登場人物も老若男女2500人近くにのぼり、重厚な金雲のあしらいや自然や建物の色感は華やかで、見る者に圧倒的な印象を与えます。


画面中ほどの小川通では、門松を作る年男が箸を使ってその先端に歳玉(餅)を備えるしぐさが事細かに描かれているなど、民俗的な資料としても興味深く、若き永徳の細密表現の技量の高さにも目を奪われます。



重要文化財 洛中洛外図屏風 歴博甲本 室町時代・16世紀  国立歴史民俗博物館
[展示期間:2013年11月6日(水)〜12月1日(日)]



重要文化財 洛中洛外図屏風 歴博甲本(右隻6扇「念仏踊りの風流」) 室町時代・16世紀  国立歴史民俗博物館
上京隻6扇(部分)「念仏踊りの風流」



三条公爵家から町田家に伝来し、三条本あるいは町田本ともいわれています。現存する洛中洛外図屏風のうち最古の作品で、1520年代から30年代ころまでの京都の景観が描かれており、応仁の乱後の京都を細密にあらわした資料価値が高い作品です。左隻は鴨川が左から右へ流れ、東山から比叡山、そして洛中下京の景観を四季の変化にそって描いています。画面中ほどに、祇園祭の山鉾が描かれ、右隻は北野天神、龍安寺桂川太秦から雪に覆われた上加茂社などを見渡すことができ画面中ほどに上京の町並みを描いています。通例の屏風絵とは違って、左から右へ春から冬へと季節が巡っていきます。また、金箔地を使わず金泥で霞が棚引くように装飾された画面は穏やかで、気品のある表現となっています。

洛中洛外図屏風 舟木本」を大型スクリーンで鑑賞

洛中洛外図舟木本スクリーン投影イメージ



スクリーンイメージ 「洛中洛外図屏風 舟木本」の高精細画像を4×4mの大型スクリーン4基に拡大投影。緻密に描かれた細部までご覧いただきます。


第2部 都の空間装飾─障壁画の美
「洛中洛外図」で空高く俯瞰する視点から京都を眺めた後は、そこに描かれている建物のなかに入ってみましょう。展示室では伝統と権威の象徴である京都御所、世界的にも知られる禅宗寺院の龍安寺、そして徳川将軍家の権力を誇る二条城の3つの建物の室内を彩った障壁画をご覧いただきます。
絵筆をとったのは、天下人、織田信長豊臣秀吉に仕えた狩野永徳、そして徳川家康に仕えた狩野探幽など、画壇の頂点を極めた当代一流の絵師たちです。彼らはその絵によって、宮廷の伝統的権威を高め、信仰の場を荘厳し、武家の威光を示しました。本展では龍安寺の襖絵や二条城黒書院の障壁画を、当時の配置を生かしながら再現展示し、かつての京都の美的空間が甦らせます。

1 王権の象徴─京都御所

重要文化財 群仙図襖 狩野永徳筆 安土桃山時代天正14年(1586) 京都・南禅寺
[全期間展示]



重要文化財 群仙図襖 狩野永徳筆 安土桃山時代天正14年(1586) 京都・南禅寺
4面(17面のうち)



南禅寺の大方丈(本堂)は、慶長16年(1611)に御所の建物を移築したものです。その室内を飾る襖絵は現存最古の御所の障壁画として極めて貴重です。
そのなかでも、傑出したできばえを見せるこれら「群仙図襖」は、狩野永徳によるものです。もとは天正14年(1586)に豊臣秀吉の命によって建てられた正親町院(おおぎまちいん)の仙洞御所(せんとうごしょ、譲位後に天皇が住む建物)のうち、対面所(主従関係のものが対面する儀礼の場)の飾る襖絵でした。安土桃山時代を代表する絵師永徳が一門を率いて、宮廷の最も格式高い宮殿を闊達な筆遣いで彩り豊かに飾っていたのです。
この襖絵には理想とされる神的存在として仙人たちが描かれています。図版は、鍾離権(しょうりけん)がその弟子、呂洞賓(りょどうひん)に仙術を伝授している場面です。

重要文化財 賢聖障子絵 狩野孝信筆 江戸時代・慶長19年(1614) 京都・仁和寺
[10面ずつ展示替]

重要文化財 賢聖障子絵 狩野孝信筆 江戸時代・慶長19年(1614) 京都・仁和寺






御所の正殿である紫宸殿は、即位や大嘗会(だいじょうえ)など朝廷の重要な儀式を行う最も格式の高い場です。その母屋と北廂(ひさし)との境に立てられる障子には、中央部分に一対の松と、獅子・狛犬が配置されて、その左右に中国古代の賢人聖人たち32人が描かれました。名臣たちは高御座(たかみくら、玉座)の背後に控え、天子はその徳を偲びます。
今に伝わるこの作品は、当時、宮廷の絵所預(絵師の長)も務めていた狩野孝信が、慶長期に建てられた紫宸殿のために、永徳亡き後、狩野一門を統率する絵師として、最も格式ある画題に腕を揮ったもので、力強い筆線と彫りの深い顔の表現が特徴的です。寛永18年(1641)、仁和寺に下賜された紫宸殿に設えられていた現存最古の賢聖障子絵です。

1面(20面のうち)「仲山甫と太公望




2 仏法の荘厳─龍安寺

列子図襖 江戸時代・17世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館
[全期間展示]

列子図襖 江戸時代・17世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館蔵 
© The Metropolitan Museum of Art. Image sauce. Art Resource, NY



龍安寺の方丈は、寛政9年(1797)の火災で焼失したため、慶長2年(1606)に織田信包(おだのぶかね、信長の弟)によって建立された塔頭、西源院の方丈が移築されたものです。その室内を飾る襖絵は、狩野一門の手によるもので、桃山絵画の特徴が色濃くあらわれた力強い人物画を中心としたものでした。


それらの襖絵は明治の廃仏毀釈の波に飲まれて、九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門の手に渡り、昭和8年(1933)に大阪城築城350年を記念した展覧会で一般公開された後、昭和26、27年ころに所在がわからなくなりました。
この絵はフロリダのコレクターがハワイで購入し、1989年にメトロポリタン美術館へ寄贈したもので、もとは龍安寺の方丈の中央の部屋(室中の間)を飾っていたことがわかっています。


画面には風を意のままに操ることができたという仙人・列子が描かれています。この4面とともメトロポリタン美術館に所蔵されている「琴棋書画図襖(きんきしょがずふすま)」4面は、はじめての里帰り公開となります。

群仙図襖 江戸時代・17世紀 京都・龍安寺
[全期間展示]


群仙図襖 江戸時代・17世紀 京都・龍安寺蔵 



明治28年(1895)に龍安寺を離れて流浪の旅に出たのちに、平成22年(2010)、115年ぶりに帰還した襖絵6面を展示します。画像は、そのうちの4面です。メトロポリタン美術館蔵の列子図襖と同様、室中の間を飾っていたものです。
残りの2面には、従者が琴を持っている場面があり、メトロポリタン美術館、シアトル美術館に分蔵される「琴棋書画図襖(きんきしょがずふすま)」と同じ、室中の間の西隣にある上間南の間(檀那の間(だんなのま))を飾っていたことがわかっています。



3 公儀の威光─二条城

重要文化財 松鷹図 二の丸御殿 大広間 四の間(西側)
狩野探幽筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵
[全期間展示]

重要文化財 二条城 二の丸御殿 大広間 四の間障壁画(西側)「松鷹図」 狩野探幽筆 
江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵 
二の丸御殿は江戸時代初期



に建造された城郭のうち現存する唯一の遺構です。車寄、遠侍、式台、大広間、蘇鉄の間、黒書院、白書院という6棟が建ち並びます。

松鷹図は、大広間四の間の四周に描かれたもので、黄金を背景に滝から渓流が生まれ、長押を突きぬけて天井まで届くほどの太い幹枝の松には3羽の猛禽が止まっています。この画面(本展出品:西側の壁)では、狗鷲(いぬわし)がじっと左手をにらみ、岩に止まって振り返る角鷹(くまたか)と呼応しています。さらに南側の壁では、滝を背にした大きな松の枝先から獲物を狙うかのように蒼鷹(おおたか)が見下ろしています。


古来、鷹狩は支配者の権威を示すもの として行われ、とくに家康、家光は鷹狩を好みました。どっしりと根を下ろす松の大木とともに、落ち着いた風格の猛禽の姿は、戦国の世を終わらせた徳川将軍 家が絶対的な権威を揺るぎないものとしたことを絵によって端的にあらわしたものです。

重要文化財 桜花雉子図 二の丸御殿 黒書院二の間(東側)
狩野尚信筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵
[全期間展示]




黒書院は小広間とも呼ばれ、将軍が執務を行う部屋として使われました。また身分の高い公家や僧侶、御三家や親藩、譜代の大名たちとの謁見の場として使われた内向きの建物です。幕末、ここで大政奉還(慶応3年10月14日)の前日に、最後の将軍徳川慶喜が近臣へ自らの決意を述べたといわれています。


これらの絵は、狩野探幽の弟、尚信によるものです。桜花は胡粉(白色)を盛り上げて彩り鮮やかに咲き誇り、木々や水流が優雅な曲線を描くなかに、直線的な籬(まがき)があいまってコントラストを高めています。


本展では黒書院一の間、二の間を飾る障壁画69面すべてを展示して、武家建築の厳かな空間を再現します。厳粛でありながら優美で、そして激動の幕末期の舞台裏を彷彿させる空間を体験していただきます。


重要文化財 二条城 二の丸御殿 黒書院 二の間障壁画(東側)「桜花雉子図」 狩野尚信筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵
4面(全69面のうち)



雌雉と若雉が遊ぶ庭に小川が緩やかに流れています。一の間にいる雄雉が鳴いて雌と呼応しています。この東面の壁の桜は今が盛りです。

重要文化財 桜花図(桜花雉子図のうち) 二の丸御殿 黒書院二の間(南側)
狩野尚信筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵
[全期間展示]



重要文化財 二条城 二の丸御殿 黒書院 二の間障壁画(東側)「桜花図」 狩野尚信筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵 二の間南面に描かれたこの桜は庭の桜よりも、少し時間が経っており、花びらが散って水流に漂っています。また、丸い緑の盛り上がった土がいくつか重なって遠くまで桜木が続いていきます。この襖絵の上には遠景として楼閣山水図が描かれていて広々とした空間を感じさせます。

2面(全69面のうち)

超高精細映像4Kで体感する龍安寺石庭の四季

龍安寺石庭・秋 静止画像投影イメージ
一年にわたって超高精細映像4Kで撮影した「龍安寺の石庭」をほぼ実寸大(幅約16m)の巨大スクリーンに映し出し、空間として表現します。国内外を問わず人気を誇る石庭の移ろいゆく四季を体感いただきます。