Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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宇野信哉展 よみがえる江戸の情景

artscene2013-09-06



武蔵野文化事業団
www.musashino-culture.or.jp/a_museum/‎


〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町1−8−16
0422-22-0385


宇野信哉展 よみがえる江戸の情景
2013年9月14日(土)−10月20日(日)
会期中の休館日:9月25日(水)


宇野信哉は1974年北海道に生まれ、デザイン学校卒業後、札幌のデザイン事務所で勤務したあと独立を目指して上京しました。現在はフリーのイラストレーターとして、時代小説を中心に多くの挿画・装丁画を手がけています。



凛とした武士の佇まいや、気高さを秘めた花魁の艶姿、江戸の町の賑わい。これらを彩る色彩はすべて、たった7色の水彩絵具から生みだされています。その組み合わせと濃淡に加え、研究に研究を重ねたにじみの技を駆使して築き上げた画風は、多くの歴史小説家に認められるところとなりました。統一感ある落ち着いた色調ながら、考え抜かれた絶妙の配色と、無駄のない洗練された描線により、古風でありながら切れ味の鋭い研ぎ澄まされた画風を生み出しています。小説の内容を吟味したうえで、その最も印象に残った場面を絵にしていく周到な制作スタイルにより、物語のイメージが的確に描出され、時にはその精神性さえも漂わせます。思わず手を伸ばしてしまう宇野の装画は多くの小説に採用され、書店の陳列台の中でも、味わい深い画風でひときわ貫禄を感じさせる存在です。



 それぞれのストーリーから丁寧に拾い上げたワンシーンで飾る数々の表紙絵原画から、今回は約80点を選り抜きました。また2012年5月より日経新聞朝刊で連載された浅田次郎歴史小説『黒書院の六兵衛』の挿絵も手がけており、その原画全330点も一堂に会します。美術館でのお披露目は初の試み。平成の絵師・宇野信哉の職人技を是非その眼でお確かめください。



上段左より
『吉原手引草』松井今朝子・著 幻冬舎 2007年
風狂の空 平賀源内が愛した天才絵師』城野隆 祥伝社 2009年


中段左より
『胡蝶の剣』高妻秀樹・著 学習研究社 2005年
『口は禍いの門 町医北村宗哲』佐藤雅美・著 角川書店 2009年


下段左より
『黒書院の六兵衛』浅田次郎・著