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奈良文化財研究所


日本史解明の発掘技術 国際的な文化協力のコンテンツに(産業経済)


奈良文化財研究所が1993年からカンボジアで始めた遺跡調査。現地スタッフが主体的に調査できるように指導している
2012年2月、カンボジアシェムリアップ地域


 日本の歴史を解明してきた技術が、海外の遺跡の発掘や修復に生かされている。「文化へのこまやかな配慮、培ってきた技術は国際的な文化協力のコンテンツとして日本が誇れるものになった」と研究者たちは胸を張る。


 奈良文化財研究所(奈良市)はカンボジア内戦終結2年後の1993年、アンコール遺跡群など文化遺産保護に乗り出した。平城京などを発掘した奈文研(当時は奈良国立文化財研究所)の技術に、文化庁が白羽の矢を立てたのだ。


 アンコール遺跡群の調査・修復にはカンボジア旧宗主国であるフランスも携わっているが、奈文研都城発掘調査部の杉山洋副部長は「方法が日本と全く異なる」という。


 フランスは、まず調査区域を深く掘り、地層の壁を見て、発掘時の出土品と地層を検討して年代や遺構の有無を調べる。日本式は地層ごとに出土品の状態を確かめるため平面的に掘る。奈文研はそんな丁寧な発掘手法を現地に伝えた。杉山副部長は「現地の人材育成にも努めた」と話す。


 2011年には奈良県明日香村にある高松塚古墳の石室解体で培った古代の石材を扱う方法を活用した寺院遺跡修復を始めた。奈文研はカンボジア以外でも、10年からベトナムで遺跡調査や技術指導を開始、今年からはミャンマーの遺跡調査に取り組む。


 一方、1958年に日本人の学術調査が始まったペルーのアンデス文明。調査にかかわる南山大学の渡部森哉准教授は「日本の国際貢献」として94年に開館した現地の博物館を挙げる。日本人調査団が発見した黄金製副葬品の保管場所であり、建設資金の元は日本で開いた副葬品の展覧会会場で募った寄付金だ。
 渡部准教授は「目的は学術調査でも博物館建設や人材育成などで国際貢献となっている」と強調する。





http://www.tobunken.go.jp/japanese/rescue/110627/index.html

http://www.bunka.go.jp/bunkazai/tohokujishin_kanren/chokan_message.html

http://www.tobunken.go.jp/japanese/rescue.html