Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

「新春浮世絵展」

artscene2013-01-04


初日の出・宝船描いた作品も

七福神を載せた宝船を大きく描いている「宝船」(歌川国芳・歌川国貞・溪斎英泉)
 

 中でも見どころは、歌川国芳・歌川国貞・渓斎英泉の合作「宝船」。七福神を載せた宝船を大きく描いているほか、長寿を象徴する鶴やミノガメ、水平線から昇る太陽、富士山などを描いている。

 開館時間

10時30分〜17時30分(入館は30分前まで)


月曜休館(月曜が祝日の場合は翌火曜)


入館料
一般=700円、大高生=500、中学生以下無料ほか


2013 1/3 - 1/27


原宿「太田記念美術館

渋谷区神宮前1、TEL 03-3403-0880



新しい年を迎えたこの時期に開催する同展。江戸時代の人たちも、元旦には海から昇る初日の出を見るために出掛け、子どもたちは羽根つきやたこ揚げして遊んだほか、初詣や寺社仏閣での行事なども催されたという。同展では、年の瀬から新年を迎えた江戸の町の様子などを、浮世絵を通して紹介する。


 展示するのは、諸大名にとって「重大な」年中行事であったという正月の江戸城への登城の様子を描いた「温故東の花 旧正月元旦 諸侯初登城の図」(橋本周延)や、眺望に優れ初日の出の名所として人気を集めたという洲崎を描いた「江戸名所 洲崎はつ日の出」、万歳や三味線を奏でながら市内を回る「鳥追い」と呼ばれる芸能民を描いた「富士三十六景 東京駿河町」(歌川広重)など。


 新しい一年を迎えるお正月。江戸時代の人々もまた、現代の私たちに負けず劣らず新年の訪れを楽しんでいました。元旦、海から昇る初日の出を拝みに人々は出かけました。また様々な芸人たちが新年を祝い、子供たちは羽根つきや凧あげなどに興じました。他にも初詣や初買い、神社仏閣でも新春ならではの行事が催されます。江戸っ子たちも新しい一年が幸多いものになることを願い、また非日常感がただようお正月気分を満喫したのでした。


 本展では押し迫る年の瀬から、新年を迎えおめでたい空気に包まれた江戸の町の様子などを、浮世絵を通して紹介いたします。作品を観賞しながら、江戸っ子とともに新春の風景をお楽しみ下さい。


画面いっぱいに大きく描かれるのは、七福神を乗せた宝船。空には鶴が飛翔し、水中には蓑亀が泳いでいます。どちらも長寿を象徴する動物です。背後には水平線から朝日が昇り、雪を頂いた富士山が見えます。いかにもおめでたい一図ですが、このような宝船を描く絵は、実は江戸の正月に欠かせないもののひとつでした。正月二日の夜、宝船の絵を枕の下に敷いて眠れば吉夢を見て新年の運があけると信じられていたのです。そのため正月には、宝船の絵をうる宝船売りが江戸の町を行き交ったといわれます。なお本図は国芳、国貞、英泉という当時のトップ浮世絵師三人の合作という豪華版。新年の幕開けに浮世絵師たちもひと役かっていたようです。