Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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70年代のポスター 再開発前の映像資料

artscene2012-06-23


 
 産経

 大阪市淀川区にあり、改装工事中の繊維卸団地、「新大阪センイシティー」が、かつて話題を集めた70年代の販促用ポスターの再活用を検討している。もともと3月末の休館に伴って廃棄する予定だったが、閉館セールで展示したところ評判を呼び、お色気ポスターとして当時の流行や時代性を反映した資料としても価値があると判断。街の計画からオープンまでを映像で記録したDVDとともに、来年12月の再オープン後に展示などで生かしたいという予定。新大阪駅に近いセンイシティーは、ヤミ市から発展した大阪駅南の繊維問屋街(梅田繊維街)を移転させたもので、3つの建物(1〜3号館)に約350社が入居、総工費は約100億円という大事業であった。これらのポスターも大手広告代理店に発注して作った(61歳、組合の湯浅信・事務局長)という。



 ポスターは昭和44(1969)年の開業から十数年間、セールの告知用に製作。顧客である地方の小売店に見てもらうため、国鉄(当時)の西日本の各駅に張り出した。ミニスカートの中が見えそうな女性や、胸や腰をケープのような布で隠しただけの女性の他、上半身を露出した外国人女性モデルの写真は今では見られない。ポスターは、施設を運営・管理する協同組合新大阪センイシティーが1種類につき1〜3枚程度、計約100枚を保管。今回の改築で建物の規模が縮小し、改築中の間借りのオフィスも手狭なため、当初は休館に伴って全部を廃棄する計画だった。開業当時の建物のうち3号館はホームセンターなどに賃貸しており、改築工事は1、2号館で実施。1号館は売却し、2号館を一部4階建てのビルに建て替え、センイシティーが入る。
 
 
 時代はちょうど70年代。女性ファッションが華やかに変化を遂げる時期で、ミニスカートや肌を大胆に露出させた衣装などが登場。女性モデルを使った健康なお色気路線で新しいファッションをPRする広告やCMがあふれた。センイシティーのファッショナブルでセクシーなポスターもそうした時代性、世相を反映していた。

 
 惜しまれたため、昨年秋から今年3月まで開催した閉館セールがきっかけで期間中、施設内でポスターの一部を展示したところ、訪れた人から「懐かしい」「高度成長期のファッションが元気だった時代を思い出す」との声が聞かれ反響を呼んだ。そこで廃棄は取りやめ、センイシティーの歴史や開業当初の時代性などを紹介する資料として活用を検討することにした。組合は、センイシティーの計画段階から建設、開業までの事業の記録映像(カラー)を収めたDVDも保管している。このDVDは、同組合の前身の新大阪繊維街協同組合が企画し、建設に携わった建設会社や設計会社の協力で製作した16ミリフィルムを編集したもの。元のフィルムは開所当時に作られ、資料映像として工事や取引の関係先などに渡された。


 ヤミ市の名残をとどめた移転前の梅田繊維街や新大阪駅北側に広がる計画用地、槌音響く建設現場、大臣らも来所した起工式と開所式、地方の業者らでにぎわう開業後の店内など、貴重な映像が収められている。梅田繊維街の店主がそろばん片手に客の相手をする様子や、新装のセンイシティー内に設置された電光案内板に人々が群がる様子など珍しい場面もある。

 

 センイシティーのある一帯はかつての再開発地区で、高層のオフィス棟などがスーパーブロックで立ち並んでいる。現在はさらに西の阪急三国駅に近い地区でも道路や高層マンションの整備など再開発が進行、センイシティーの改築とも合わせ新大阪駅北地区の街並みが変貌しつつある。