Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

千葉県佐倉市・国立歴史民俗博物館

artscene2012-04-10



人間文化研究機構連携展示 

都市を描く−京都と江戸−第I部


洛中洛外図屏風と風俗画」



http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html#a


2012年3月27日(火)〜5月6日(日)


会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室


料金 一般 830円
高校生・大学生 450円
小・中学生 無料


※毎週土曜日は高校生は入館無料です。


開館時間 9時30分〜17時00分 (入館は16時30分まで)


休館日 4月9日(月)、16日(月)、23日(月)


主催 国立歴史民俗博物館



16世紀初頭、首都京都の全景を一双の屏風に描いた「洛中洛外図屏風」が登場します。そこには、応仁の乱から復興し、新たな近世都市へと向かう京都の姿がつぶさに描かれていました。現実の都市社会を題材にした洛中洛外図屏風は、権力者の自己主張から名もなき人々の暮らしまで、非常に多くの要素を包含し、歴史資料としても貴重な存在です。


洛中洛外図屏風に描かれていた多彩な内容は、時代が進むにつれてさまざまなジャンルに分化していきます。名所、祭礼、職人、遊楽などの、身近な対象をクローズアップした、人間中心の絵画への発展が著しく、そこには背景となる社会や政治体制、そして人々の都市を見る視点の変化が反映されています。


本展では、当館が所蔵しながら、なかなかまとまって展示する機会がない6点の洛中洛外図屏風と、新出資料を含む関連絵画資料を中心に、他館ご所蔵の資料も加えて、洛中洛外図屏風から近世風俗画への展開を体系的に提示いたします。来館者に絵の読み解きを楽しんでいただくために、タッチパネルによる拡大装置なども用意いたします。


また、当館の共同研究・科研研究として行ってきた「洛中洛外図屏風歴博甲本の総合的研究」(2009〜11年度)の成果として、洛中洛外図屏風歴博甲本の復元複製や人物データベースなどもご披露します。



以上の当館における展示を人間文化研究機構連携展示「都市を描く─京都と江戸─」の第 I 部とし、連携して研究を行なってきた国文学研究資料館において、江戸を対象とした第 II 部 「江戸名所と風俗画」をほぼ同時に開催します。両者相まって、さらに総合的に、描かれた都市の世界を堪能していただけるものと思います。



※期間中一部の資料に展示替えがあります。



1 洛中洛外図屏風の成立−月次風俗図・祭礼図と都市図−

京都の名所と風俗を地理的な位置関係に即して描いた洛中洛外図屏風は、16世紀初頭に成立しましたが、その前提として、名所絵や月次(つきなみ)の祭礼風俗を描く屏風絵がありました。洛中洛外図屏風は成立後もその性格を持ち続け、また名所図や月次祭礼図も、都市を描く絵画として洛中洛外図と共通する様相を帯びていきました。


【主な展示資料】
月次祭礼図屏風模本(東京国立博物館蔵) 洛中洛外図屏風歴博甲本(本館蔵 重文) 月次風俗図屏風(東京国立博物館蔵 重文) 洛中洛外図屏風東博模本(東京国立博物館蔵) ※十二ヶ月都風俗絵巻(本館蔵) ※東山名所図屏風(本館蔵) 月次風俗図屏風(たばこと塩の博物館蔵) (※は初めて展示される資料。以下同。)




2 洛中洛外図屏風の展開 −風俗への傾斜と新たな権力の表象−

権力者が首都としての京都を描かせていた初期の洛中洛外図屏風は、室町時代の終焉と共に、いくつかの方向に展開していきます。同時代の風俗に注目するもの、権力者に批判的な視点から描いたもの、京都を離れて権力の所在地自体を描かせたもの、行幸という政治的な盛儀を描いたもの、などです。


【主な展示資料】
洛中洛外図屏風歴博乙本(本館蔵 重文) 洛中洛外図屏風歴博D本(本館蔵) 洛中洛外図屏風歴博C本(本館蔵) 寛永行幸記絵巻(本館蔵)




3 洛中洛外図屏風から風俗画へ −遊興と生業−

安土桃山時代ころから、洛中洛外図屏風の一部をクローズアップしたような、人物を中心とする絵画が描かれるようになります。当初は野外での酒宴や輪舞を描いていましたが、やがて周囲から切り離された邸内での遊興を好んで描くようになり、また街頭を題材にした風俗画も描かれました。職人などの生業を描く絵も作られ続け、洛中洛外図屏風に描かれる町も職人尽し的なものになっていきました。

【主な展示資料】
妓楼遊楽図(本館蔵) 輪舞遊楽図(本館蔵) 風俗図(たばこと塩の博物館蔵) 職人風俗絵巻(本館蔵) 洛中洛外図屏風歴博F本(本館蔵) ※洛中洛外図屏風亘理(わたり)伊達(だて)本(伊達市開拓記念館蔵)




4 名所への関心−屏風絵と地誌−

洛中洛外図屏風は、京都から政治的な事柄がなくなり、風俗画が自立すると、京都の名所を主な題材にした装飾的な絵画になっていきました。一方で名所への大衆的な関心から、名所案内的な地誌類が刊行されるようになり、洛中洛外図屏風もその影響を受けていることがうかがえます。

【主な展示資料】
洛中洛外図屏風歴博E本(本館蔵) 京童(きょうわらべ)(国文学研究資料館蔵) 都名所図会(国文学研究資料館蔵) 京都名所図屏風(本館蔵) 花洛一覧図(本館蔵) 京都一覧図(本館蔵)

洛中洛外図屏風歴博甲本(風流踊の場面)(室町時代、本館蔵、重要文化財

※東山名所図屏風(清水寺の場面)(室町時代、本館蔵) (※は初めて展示される資料。以下同。)

洛中洛外図屏風歴博乙本(御霊会の場面)(安土桃山時代、本館蔵、重要文化財
※十二ヶ月都風俗絵巻(五月の場面)(江戸時代、本館蔵)

輪舞遊楽図(部分)(江戸時代、本館蔵)
職人風俗絵巻(部分)(江戸時代、本館蔵)

洛中洛外図屏風歴博F本(行幸の場面)(江戸時代、本館蔵)
洛中洛外図屏風亘理伊達本(二条城付近)(江戸時代、伊達市開拓記念館蔵)



※資料の一部は展示替えを行います。



洛中洛外図屏風 歴博甲本 人物データベース



歴博講堂にて開催、14時00分〜16時00分、入場無料、当日先着順に受付、定員260名


第339回 「洛中洛外図屏風から風俗画へ」日時 3月10日(土)
講師 小島 道裕 (本館研究部)



歴博フォーラム

歴博講堂にて開催、13時00分〜16時00分、入場無料、当日先着順に受付、定員260名
第82回 「描かれた都市の風俗と名所−京都を中心に−」日時 4月21日(土)
講師 岩崎 均史(たばこと塩の博物館) 他



ギャラリートーク日程 時間 担当者
3月31日(土) 13:30〜 小島 道裕 (当館歴史研究系)
4月7日(土) 13:30〜 小島 道裕 (当館歴史研究系)
4月18日(水) 13:30〜 大久保 純一 (当館情報資料研究系)
4月25日(水) 13:30〜 小島 道裕 (当館歴史研究系)
5月1日(火) 13:30〜 大久保 純一 (当館情報資料研究系)




第3展示室特集展示 「もの」からみる近世
近世の風俗画


4月17日(火)〜5月20日(日)
豊臣秀吉を描く「醍醐花見図屏風」(重要文化財)、新出の「蝶々踊り図屏風」など、本展に関連する館蔵資料を展示します。
人間文化研究機構連携展示「都市を描く−京都と江戸−」第II部
江戸名所と風俗画



3月28日(水)〜5月6日(日)
国文学研究資料館(東京都立川市緑町10-3)において開催されます。
江戸図屏風などの本館所蔵資料も展示されます。