Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

国立歴史民俗博物館




国立歴史民俗博物館


〒285-8502

千葉県佐倉市城内町 117
電話 043-486-0123


http://www.rekihaku.ac.jp/access/index.html




JR東日本
東京駅から総武本線佐倉駅(約60分)下車、バス約15分
(北口1番乗場から、ちばグリーンバス田町車庫行き乗車、「国立博物館入口」または「国立歴史民俗博物館」下車)

京成電鉄
京成上野駅から京成佐倉駅(約55分)下車、
徒歩約15分 (詳しくは案内図→駅からの徒歩路)
またはバス約5分 (南口1番乗場から、ちばグリーンバス田町車庫行き乗車、「国立博物館入口」または「国立歴史民俗博物館」下車)





開催期間
2011年11月8日(火)〜2012年1月15日(日)

会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A

料金 一般 830(560)円
高校生・大学生 450(250)円
小・中学生 無料

(  )内は20名以上の団体

※毎週土曜日は高校生は入館無料です。


開館時間
9時30分〜16時30分 (入館は16時00分まで)

休館日 11月28日(月)、12月5日(月)、12日(月)、19日(月)、26日(月)〜1月4日(水)、1月10日


主催 国立歴史民俗博物館



風景は人びとの生活と深く結びついています。人びとは風景のなかでくらし、風景は自然のみならず人びとの生活のなかで作り出されます。今回の企画展示では、写真が風景の記録として、歴史と文化を考えるためのかけがえのない資料であることを紹介します。


写真は高い写実性を備えているために、風景の記録としてたいへん優れた資料です。しかし、風景のある断片を瞬間的にとらえた一つの像にすぎません。写真の外側と前後には無限の空間と時間があります。しかも、古い写真では、撮影の時期と場所が不明なものも少なくありません。本展示では、この点に留意しつつ、風景の広がり、時間の流れのなかの風景、風景の多様性という三つの観点を中心に構成します。



展示資料としては、本館が所蔵する「石井實フォトライブラリー」の写真を活用するとともに、幕末日本を撮影したF.ベアトに代表される古写真、近代の絵はがきなどを中心に構成します。



主として取りあげる東京と長崎は、近世の絵図や古写真が豊富に残っており、時代を通じて風景の変遷を辿ることができます。そのなかで、それぞれ関東大震災や長崎への原爆投下という、「風景の破壊」の経験も視野に入れ、多角的に風景を捉えていきます。また、東京に関しては、石井實フォトライブラリーに収められた奥多摩の写真を活用し、地域社会を写真で記録したコーナーを設置する予定です。



このほか、タッチパネルの活用などにより、全体としては日本各地の風景を盛り込むとともに、とくに、今年3月以降の東日本大震災を踏まえ、被災地の写真展示も予定しています。




第1章 広がる風景−江戸・東京 都市の街並み−
日本に写真術がもたらされた幕末から明治・大正期までに、江戸・東京の街を撮ったパノラマ写真などによって、風景の広がりを記録することの意義を考えます。幕末に来日したイタリア人写真師フェリーチェ=ベアトが、眺望の名所愛宕山から周囲約225度にわたって撮影した江戸のパノラマ写真、現存最古の空中写真『帝都俯瞰写真』、記録のための風景写真『明治二一年撮影全東京展望写真帖』のほか、関東大震災による風景の破壊も追いながら、江戸・東京の風景を読み解いていきます。



【主な展示資料】
愛宕山から見た江戸の街並み」(北方)1863年8月 長崎大学附属図書館蔵
愛宕山からみた江戸の街並み」(東方)1863年8月 横浜開港資料館蔵
『帝都俯瞰写真』1904(明治37)年 宮内庁書陵部
『明治二一年撮影全東京展望写真帖』1932(昭和7)年 本館蔵
関東大震災写真帖』 1924(大正13年)年 本館蔵
「日比谷附近」(『大震災帝都ノ実況』) 個人蔵
絵はがき 本館蔵
ほか




第2章 くらしの風景 I −点描 東京の街−
銀座や新宿さらには下町などの新旧の写真によって、高度経済成長期前後における風景の変貌をとらえます。第七章の奥多摩とも呼応しあうような展示配置によって、地点の風景を点描することから「東京」の広がりを再構成します。

【主な展示資料】
「建設中の東京タワー」1960(昭和35)年8月3日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
淀橋浄水場」1967(昭和42)年5月27日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
数寄屋橋交差点」1960(昭和35)年8月3日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
ほか




第3章 旅の記録と写真
写真が風景を切りとり、持ち帰ることを可能にする点に注目します。旅の記録のアルバムとして、あるいはおみやげとして、風景の写真は愛用されました。一般の日本人による世界一周旅行のさきがけとなった世界一周会の旅の記録や外国人向けのおみやげとして盛んに作られた横浜写真、観光みやげの絵はがきなどを展示します。

【主な展示資料】
『世界写真帖』1910(明治43)年 奈良大学図書館蔵
『明治期写真集 日本残像』明治中期 本館蔵
草津絵葉書』1918〜33(大正7〜昭和8)年 個人蔵
ほか







第4章 府県写真帖に残された風景
明治・大正期に盛んに刊行された府県写真帖をとりあげます。そこに収められた写真には歴史資料としての価値が高く、また写真帖が編纂される際にどのような写真が選ばれたのかということ自体が、時代性や地域性を映し出しています。


【主な展示資料】
三重県写真帖』1910(明治43)年 奈良大学図書館蔵
『奈良写真集』1908(明治41)年 奈良大学図書館蔵
『神奈川県写真帖』1913(大正2)年 奈良大学図書館蔵
ほか




第5章 風景を記録する−石井實と『地理写真』−
戦後60年にわたって日本の風景を記録し続けた石井實氏のフォトライブラリー(本館蔵)を紹介します。約九千本の35ミリ・ネガフィルム、コマ数にして約30数万コマの写真は撮影日順に整理されています。また、そのすべてをコンタクトプリントにして貼り付けた写真帖268冊には、撮影地や被写体に関する情報、写真の主題なども記されています。


【主な展示資料】
ガラス乾板 1952(昭和27)年頃 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
石井實が使用したカメラ 昭和20年代前半 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
撮影記録と走行記録手帳 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
35mmフィルムコンタクトプリント写真帖 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
ほか



第6章 変わる風景−長崎の風景史−
長崎市街を一望におさめる風頭山からの定点写真によって、ベアト撮影(長崎大学附属図書館蔵)の幕末から1970年代までの、変わりゆく風景の歴史を考えます。とくに1945(昭和20)年の原爆投下は、長崎の風景を大きく破壊しました。展示では、全体としての風景の変化のみならず、場所ごとの相違にも留意して風景史を立体的にとらえます。



【主な展示資料】
「風頭山からみた幕末の長崎」1866年 長崎大学附属図書館蔵
「大正長崎パノラマ写真」1925〜26(大正14〜15)年 長崎大学附属図書館蔵
「風頭山から撮影した長崎市内のパノラマ写真」 (1975(昭和50)年8月22日撮影)本館蔵(石井實フォトライブラリー)
「風頭山上空から長崎市街中央部を望む」 長崎原爆資料館
『昭和二〇年八・九月 戦災記録絵はがき』 個人蔵
絵はがき 本館蔵
ほか



第7章 くらしの風景 II −東京の山村 奥多摩
石井實氏のフォトライブラリー(本館蔵)から、奥多摩という地域社会における風景の多様な姿を描き出します。風景の一断片・一瞬間をとらえた一枚の写真にとどまることなく、それらを多角的に組み合わせることによって、地域の風景の多様性を記録することの意義について考えます。



【主な展示資料】
奥多摩町峰・奥集落」1984(昭和59)年12月24日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
「三匹獅子舞」1975(昭和50)年9月15日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
「小河内小学校」1983(昭和58)年9月30日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
ほか



特設コーナー 風景の記録と記憶−東日本大震災によせて−
この展示の準備を進めているさなかに、未曾有の大地震が東日本を襲いました。地震津波、さらには原子力発電所事故による風景の破壊。このような状況にあって、復興に向けて、いま歴史と文化の大切さが再認識されています。この眼前の風景を記録することはもとより、歴史と文化のなかで築かれてきたかつての風景を記録した写真を見直すこと。この記録が人びとの記憶と結びつき、復興への原動力になることを願って、被災地の風景を記録した写真を展示します。



【主な展示資料】
気仙沼港」1995(平成7)年5月4日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
石巻港」1969(昭和44)年11月1日撮影 本館蔵(石井實フォトライブラリー)
ほか




関連の催し

歴博講演会
歴博講堂にて開催、14時00分〜16時00分、入場無料、当日先着順に受付、定員260名


第335回 「カメラがとらえた地域と景観」
日時 11月12日(土)
講師 青山 宏夫(当館歴史研究系)


第336回 「奥多摩山村の景観・歳時と写真資料」
日時 12月10日(土)
講師 松尾 容孝(専修大学



ギャラリートーク
開始予定時刻までに企画展示室前に集合してください。

日程 時間 担当者
11月19日(土) 14:30〜 青山宏夫 (当館副館長)
11月26日(土) 14:30〜 青山宏夫 (当館副館長)
12月10日(土) 13:00〜 青山宏夫 (当館副館長)
12月17日(土) 13:30〜 原山浩介 (当館歴史研究系)
12月24日(土) 13:30〜 原山浩介 (当館歴史研究系)
2012年1月7日(土) 14:30〜 原山浩介 (当館歴史研究系)



※図録のご案内
「風景の記録 − 写真資料を考える −」 1,700円(税込) 送料340円
※図録及び販売物についてのお問い合わせ
財団法人 歴史民俗博物館振興会
電話 043-486-8011 (9時30分から17時00分まで)