京都大学総合博物館
埃及考古−ペトリーと濱田が京大エジプト資料に託した夢−
2011年10月19日 - 2011年12月18日
企画展で展示される国内最大級のエジプト考古資料。人の顔をかたどった木棺の一部も初めて公開される。
国内最大級のエジプト考古資料を所蔵する京都大総合博物館(京都市左京区)が明日、19日から、開館10周年に合わせて企画展「埃及(エジプト)考古」を同館で開催する。明治から昭和初期にかけて、英国から京都帝国大(現・京大)に寄贈された資料群を初めて本格的に公開する。
京都帝国大考古学教室の初代教授・濱田耕作(1881-1938)が、師事した英国の考古学者フリンダース・ペトリーから贈られた土器や石版など、約5千年前から5-6世紀までの資料約1500点のうち、700点余りを紹介する。
ナイル川上流域のアビドス遺跡で出土した約4千年前の直方体の石には、象形文字で「センアンク」という人物の家系の人名が46人分刻まれ、当時の社会を知る上で重要な遺物とされる。人の顔をかたどった木棺(年代不明)の一部や装飾品も展示する。
エジプト考古学に詳しい中部大の中野智章准教授は、これだけの時代の幅を持ち、質と量を兼ね備えたコレクションは国内では例がなく、学生が古代エジプトを学べるように、英国が寄贈資料を厳選したことがうかがえるという。
企画展は12月18日まで(月、火曜休館)。
小学生以上は入館料が必要。
京都大学総合博物館は、今年、開館10周年の節目の年を迎えました。それを記念して、文学研究科考古学研究室と共同で展示準備委員会を組織し、京都大学が所蔵してきたエジプトの考古資料を初めて本格的に公開することを企画しました。
京都大学のエジプト考古資料は、約100年前にイギリスから贈られたものです。京都帝国大学考古学教室の初代教授濱田耕作と、ロンドン大学教授フリンダース・ペトリーとの交流の中で所蔵資料は充実し、古代エジプトを研究するための基本的な考古資料のコレクションとなりました。
現在、総合博物館では、文学研究科考古学研究室と協力して、来年度の目録完成を目指してエジプト考古資料の調査を進めているところですが、その過程で、収蔵品の学術的価値を再認識しました。また、展示会を開催するにあたって、エジプト探査協会並びにロンドン大学ペトリ―・エジプト考古学博物館で調査を行い、どのような経緯で寄贈されたのかが明らかとなりました。さらに、古人骨やコプト織物、鳥のミイラなどいくつかの資料に対して、生物学的研究や最新の技術を用いた解析を進め、新たな発見が生み出されつつあります。
今回の展覧会では、100年前に発掘された考古資料とともに、現代的関心の下で実践された研究の成果を合わせて展観します。エジプトの悠久の歴史はもちろんのこと、日本における考古学の歴史、大学における研究の姿に触れていただける機会になれば幸いです。
埃及考古−ペトリーと濱田が京大エジプト資料に託した夢−
開催期間:2011年10月19日 - 2011年12月18日
http://www.museum.kyoto-u.ac.jp
〒606-8501
075-753-3274
9:30-16:30(入館は16:00まで)
休館日
月曜日、火曜日(平日・祝日にかかわらず)
観覧料
個人観覧料
一般 400円
高校・大学 300円
小・中学生 200円
団体観覧料(20人以上の場合)は100円割引。
身体障害者手帳をお持ちの方、および70歳以上の方は無料