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テオ・ゴッホの肖像画

artscene2011-06-24

 オランダの画家、ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の自画像として知られてきた肖像画が、実は弟テオ(Theo)の肖像だったことを「発見した」と、アムステルダム(Amsterdam)にあるファン・ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)が21日発表した。生前のゴッホは数多くの自画像を残しているが、「自画像ではなく弟のテオの肖像画」と判定されたのは、青い背景に濃紺のジャケットを着て、黄色の帽子をかぶった姿の1枚。



 美術館によるとゴッホは、彼の生活を経済的に援助していた5歳年下の弟、テオの肖像を描いたことはないとされてきたが、上級学芸員のルイ・ファン・ティルボルフ(Louis van Tilborgh)は1887年に描かれたこの1枚はテオの肖像だと説明する。この兄弟には身体的に明らかに違う特徴がいくつもあり、これらを比べた結果、これはテオの肖像だという結論に至ったという。


 他の自画像のひげはもっと赤みがかっているのに対し、この絵の男性のひげはオークル系で、耳も他の自画像よりも丸く、目の色も異なっている。こうした身体的特徴や服の着方などが、現存しているテオの写真と一致するという。


 新発見については、ティルボルフ氏ら4人の学芸員が編纂した600ページの美術館のカタログで発表され、同美術館は世界で最も多くのゴッホ作品や、ゴッホの書簡を所蔵している。


 ゴッホは1890年7月、フランスのオーヴェル・シュル・オワーズ(Auvers-sur-Oise)の小麦畑で自分を銃で撃ち亡くなったが、弟テオもその半年後に亡くなっている。