Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

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Leonard Fujita

artscene2011-01-13


 優美な裸婦などを描き、乳白色の絵肌で知られる画家・藤田嗣治(ふじたつぐはる)(1886〜1968)が、戦時中の作品で日本製のベビーパウダー「シッカロール」を画材に用いていたことが分かった。

 3月から藤田の企画展を行うポーラ美術館(神奈川県箱根町)が12日、明らかにした。

 1942年頃、写真家の土門拳が制作中の藤田を撮影した一連の写真を、同館の内呂(うちろ)博之学芸員が調査したところ、キャンバスの脇にシッカロールの缶が写り込んでいた。生乾きの画面にかけてすり込むか、油絵の具に混ぜるかしたと推測されるという。

 藤田は生前、自らの技法をほとんど語らなかったことで有名で、独特な乳白色の発色については、謎に包まれた部分が多かった。近年の修復調査で、20年代の作品の表面からシッカロールの主成分でもある「タルク(滑石)」が検出されていたが、具体的に何をどう用いたかはよく分かっていなかった。 (読売新聞 1月13日(木))

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 戦前にパリの画壇で活躍した、画家の藤田嗣治の、特徴的な乳白色の色使いは、市販のベビーパウダーを用いて表現されたとみられることが、画材の分析や、写真家の土門拳が撮影したアトリエの写真などから、明らかになりました。

 これは、神奈川県箱根町のポーラ美術館が、藤田嗣治の作品展を開くために調査を進めていた過程で明らかになったものです。藤田嗣治は、大正から昭和にかけてパリの画壇で活躍した洋画家で、特に人物の描写に用いた淡い乳白色の色使いで、今も根強い人気があります。これまで行われた絵の表面の分析などから、藤田は、乳白色の色合いや、滑らかな質感を表現するために、キャンバスに白い粉末をまぶしていたことが分かっていました。今回、写真家の土門拳が戦時中にアトリエで藤田を撮影した写真を、美術館が調べたところ、手元に写っていた缶が、当時市販されていたベビーパウダーのものと分かりました。藤田は、油絵の画材に日本の墨を用いるなど、さまざまな技法に挑戦したことで知られており、ポーラ美術館の内呂博之学芸員は「日用品のベビーパウダーなど、使えるものは何でも使おうという藤田の柔軟性がうかがえる」と話しています。この研究成果は、ポーラ美術館でことし3月19日から開かれる「レオナール・フジタ展」で紹介されます。

東京国立近代美術館藤田嗣治展」(2006年開催)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Foujita/index.html

「シッカロール」とは
乳幼児スキンケア・和光堂 http://www.wakodo.co.jp/product/nyuuyouji/skincare/sikkaroll/
シッカロール - 昭和生まれだ、文句あっか!(2010年3月5日) http://bonkura-oyaji.blog.so-net.ne.jp/2010-03-05-1