Artscene 芸術の風景 -アートシーン 展覧会情報

芸術、美術、展覧会の紹介をしています。

ポーラ美術館

artscene2011-01-12


エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》
1896-1898年 油彩/カンヴァス
49.7×65.5cm ポーラ美術館

アンリ・ルソー 「パリの空の下で ルソーとその仲間たち」

2010年09月11日 〜 2011年03月13日 日曜
ホームページ http://www.polamuseum.or.jp/

入場料 一般 1800円、大高生 1300円、中小生 (土曜日無料) 700円
9:00から17:00まで

交通案内: 小田原駅箱根湯本駅より、箱根登山鉄道で「強羅駅」下車、施設巡りバス「ポーラ美術館」下車

〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
 電話: 0460-4-2111
 ファックス: 0460-4-3108

不思議な魅力で観るものを惹きつけてやまない異色の画家アンリ・ルソー(1844-1910)の作品は、ポーラ美術館のコレクションのなかで特別な位置を占め、充実した内容を誇ります。本展覧会では、画家の歿後100年を記念して、当館が収蔵するルソー作品8点と、国内で所蔵されている選りすぐりの作品を合わせ計16点を展観し、ルソーが描き出したパリとその近郊にみる近代的風景、熱帯のジャングルをモティーフにした夢幻の世界を探究します。また、ルソーの才能をいち早く評価し、老画家を敬愛したピカソをはじめとするモンマルトルの前衛画家たち、ルソーの系譜をひく素朴画家ボーシャン、ボテロ、そしてルソーを「偉大な世紀の芸術家」と讃えた日本の洋画家の岡鹿之助を紹介します。

出品作品:油彩画43点、水彩画・鉛筆画など約6点の合計約50点


ルソーの風景画には、技術革新の産物である鉄橋や高架橋、パリ万博を機に建設されたエッフェル塔、空には新世紀の到来を告げる飛行船やライト型飛行機が、華々しく登場します。異国の文明を紹介する万博会場が設置された世紀末のパリは、あらゆる時代と空間が混在する、巨大なコラージュ・シティの様相を呈していました。ルソーはその複雑な現実を、伝統的な画題にとらわれることなくユニークな視点で描きました。ルソーがとらえたパリのさまざまな風景に、画家のまなざしを探ります。

熱帯の色彩、濃密な空気、未知なる動植物と人間の生態に惹きつけられたふたりのフランス人画家―ゴーガンとルソーは、ともにパリでの生活を基盤にしつつも、絵筆を手に異世界への飛躍を果たした画家でした。かたや世界中を旅したゴーガンの《異国のエヴァ》と、国外へ一歩も出ることがなかったルソーの《エデンの園エヴァ》。それぞれの作品には、どのような意識が沈潜しているのか、彼らが抱いた熱帯への憧憬を浮き彫りにします。

1908年、モンマルトルのピカソのアトリエ兼住宅「バトー = ラヴォワール」(洗濯船)で、「ルソーを讃える夜会」と呼ばれる芸術家たちの夕べが開かれました。晩年のルソーに賞賛を捧げた若き前衛画家たち―ピカソ、ブラック、ローランサンの絵画に、ルソーと共通する同時代性と革新性を探ります。またルソーは、郊外の風景を画題として見出した先駆者でもありました。レオナール・フジタ藤田嗣治)はルソー作品に触発され、パリの下町の風景や貧しい生活者を繰り返し描いています。ユトリロもまたモンマルトルの街路に愛着を抱いた代表的な画家の一人です。ルソーの精神的な仲間といえる彼らの作品から、大都市のもうひとつの顔を見つめます。

ポーラ美術館のコレクションを築いたポーラ・オルビスグループの前オーナー鈴木常司(1930-2000)は、日本におけるすぐれたルソーの紹介者である岡鹿之助との交流からルソーの世界に夢中になり、8点の作品を収集したルソー・コレクターでした。岡鹿之助はルソーの絵画技法を研究し、ルソーとは何者か、という謎に絵画制作のなかで迫った重要な画家です。ルソーへのオマージュともいえる岡が描いた風景画と静物画から、日本におけるルソーの存在について問います。



展示作品一覧

001 アンリ・ルソー≪夕暮れの眺め、ポワン・デュ・ジュール≫ 1886年 油彩/カンヴァス 88.7 x 116.0cm 個人蔵
002 アンリ・ルソー≪フリュマンス・ビッシュの肖像≫ 1893年頃 油彩/カンヴァス 92.0 x 73.0cm 世田谷美術館
003 アンリ・ルソー≪戦争あるいは戦争の惨禍≫ 1894年 リトグラフ/紙 27.0 x 38.7cm 世田谷美術館 ※展示期間9/11-12/8
004 アンリ・ルソー≪ムーラン・ダルフォール≫ 1895年頃 油彩/カンヴァス 37.8 x 45.5 cm
005 アンリ・ルソー≪パッシィの歩道橋≫ 1895年 油彩/カンヴァス 38.7 x 46.0cm  サントリーミュージアム[天保山]蔵 ※展示期間 9/25-11月末
006 アンリ・ルソーエッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望≫ 1896-1898年 油彩/カンヴァス 49.7 x 65.5 cm
007 アンリ・ルソー≪シャラントン=ル=ポン≫ 1905-1910年頃 油彩/カンヴァス 32.5 x 40.8 cm
008 アンリ・ルソー≪廃墟のある風景≫ 1906年頃 油彩/カンヴァス 33.4 x 41.2 cm
009 アンリ・ルソー≪《モンスーリ公園》のための習作(あずまや)≫ 1908-1910年 油彩/紙 19.2 x 25.7 cm(画面)
010 アンリ・ルソー≪散歩(ビュット=ショーモン)≫ 1908年頃 油彩/カンヴァス 46.2 x 38.4cm 世田谷美術館
011 アンリ・ルソー≪飛行船「レピュブリック号」とライト飛行機のある風景≫ 1909年 油彩/カンヴァス 59.8 x 73.1 cm
012 アンリ・ルソー≪オステルリッツ駅から左側を見た風景≫ 1909年 油彩/板 24.0 x 19.0cm サントリーミュージアム[天保山]蔵 ※展示期間 9/25-2011/3/13
013 アンリ・ルソー≪牛のいる風景―パリ近郊の眺め、バニュー村≫ 1909年 油彩/カンヴァス 33.0 x 46.0cm 大原美術館蔵 ※展示期間 2011/1月初旬-3/13
014 アンリ・ルソー≪牧場≫ 1910年 油彩/カンヴァス 46.0 x 55.3cm 石橋財団ブリヂストン美術館
015 アンリ・ルソー≪ライオンのいるジャングル≫ 1904年 油彩/カンヴァス 37.7 x 45.9 cm
016 アンリ・ルソーエデンの園エヴァ≫ 1906-1910年頃 油彩/カンヴァス 46.5 x 61.4 cm
017 ポール・ゴーガン≪異国のエヴァ≫ 1890/1894年 水彩/紙 42.8 x 25.1 cm(画面)
018 ポール・ゴーガン≪小屋の前の犬、タヒチ≫ 1892年 油彩/カンヴァス 41.2 x 67.1 cm
019 パブロ・ピカソ≪男の胸像≫ 1909年 油彩/カンヴァス 65.8 x 42.2 cm
020 パブロ・ピカソ≪母子像≫ 1921年 油彩/カンヴァス 101.8 x 83.5 cm
021 パブロ・ピカソ≪坐る女≫ 1921年 油彩/カンヴァス 33.2 x 24.2 cm
022 パブロ・ピカソ≪新聞とグラスとタバコの箱≫ 1921年 油彩/カンヴァス 30.0 x 56.1 cm
023 ジョルジュ・ブラック≪レスタックの家≫ 1907年 油彩/カンヴァス 60.3 x 49.3 cm
024 ジョルジュ・ブラック≪パレットのある室内≫ 1941年 油彩、砂/カンヴァス 100.1 x 100.0 cm
025 ジョルジュ・ブラックギヨーム・アポリネール『彼方でぼくが死んだら』≫ 1962年刊 木版/紙 外形: 47.9 x 37.3 x 4.0 cm
026 マリー・ローランサン≪風景のなかの二人の女≫ 1926年頃 油彩/カンヴァス 60.9 x 50.0 cm
027 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪自画像≫ 1929年 水彩、墨/絹本 62.0 x 43.0 cm ※展示期間 12/9-2011/3/13
028 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪姉妹≫ 1950年 油彩/カンヴァス 60.8 x 45.3 cm、85.5 x 69.0 cm(額寸) ※展示期間 9/11-12/8
029 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪古着屋≫ 1958年 油彩/ファイバーボード 15.0 x 15.0 cm
030 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪猛獣使い≫ 1959年頃 油彩/ファイバーボード 15.0 x 15.0 cm
031 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪風船売り≫ 1959年頃 油彩/ファイバーボード 15.0 x 15.0 cm
032 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪釣り人≫ 1959年頃 油彩/ファイバーボード 15.0 x 15.0 cm
033 レオナール・フジタ (藤田嗣治)≪挿絵本『しがない職業と少ない稼ぎ』≫ 1960年刊 木口木版/紙 19.1 x 19.1 cm (画面)
034 モーリス・ユトリロ≪用水池≫ 1910年頃 油彩/カンヴァス 54.1 x 72.7 cm
035 モーリス・ユトリロ≪サノワの製粉場≫ 1912年頃 油彩/カンヴァス 61.2 x 82.1 cm
036 モーリス・ユトリロ≪物見櫓のある塔≫ 1913年頃 油彩/カンヴァス 54.0 x 73.0 cm
037 アンドレ・ボーシャン≪バラとパンジー≫ 1923年 油彩/カンヴァス 88.5 x 116.2 cm
038 アンドレ・ボーシャン≪花瓶の花≫ 1928年 油彩/カンヴァス 54.3 x 73.1 cm
039 アンドレ・ボーシャン≪洞窟の入口≫ 1928年 油彩/カンヴァス 64.8×54.2 cm
040 アンドレ・ボーシャン≪水浴の女たち(楽園)≫ 1943年 油彩/板 45.6 x 54.0 cm
041 アンドレ・ボーシャン≪タルススでアントニウスに逢うクレオパトラ≫ 1952年 油彩/カンヴァス 54.1 x 65.2 cm
042 フェルナンド・ボテロ≪滝≫ 1981年 油彩/カンヴァス 146.1 x 112.0 cm
043 フェルナンド・ボテロ≪家族≫ 1988年 コンテ、鉛筆/紙 35.9 x 50.9 cm
044 岡鹿之助≪掘割≫ 1927年(昭和2) 油彩/カンヴァス 80.7 x 100.2 cm
045 岡鹿之助≪礼拝堂≫ 1937年(昭和12) 油彩/カンヴァス 36.6 x 44.7 cm
046 岡鹿之助≪献花≫ 1964年(昭和39) 油彩/カンヴァス 72.7 x 90.9 cm
047 岡鹿之助≪水門≫ 1968年頃 油彩/カンヴァス 38.1 x 45.5 cm
048 岡鹿之助≪村の発電所≫ 1972年(昭和47) 油彩/カンヴァス 73.0 x 90.9 cm
049 岡鹿之助≪三色董≫ 1977年(昭和52) 油彩/カンヴァス 45.6 x 38.0 cm

***≪所蔵先の明記がない作品は、すべてポーラ美術館の所蔵です≫ ***